今、俺の彼女が家に来ているわけで。
しかも泊まりに来ているわけで。
健全な男子としては期待もするわけで。
まあちょっぴりドキドキしてた、なんて。
ちゅーしかしてない関係もこれで終わりか、なんて思ってひとり浮かれてたのが恥ずかしいというかなんというか。
簡潔に言うと俺が風呂からあがったら既に彼女は夢の世界へ誘われていたのだ。
ベットにたどり着く前に力尽きたのか、それにもたれかかる形で寝ている彼女の寝顔の愛らしいことといったら。
高三にしては童顔過ぎる顔にぷにっと柔らかい桃色ほっぺた、日本人らしからぬ(あ、日本人じゃねえ、中国人か)東洋人らしからぬ異常なほどの肌の白さ。
周囲から完璧に浮いているほどかわいい。
周りの女が可哀想になるくらいかわいい。
俺が言ってんだから間違いねえ。
しかもいつものぼんぼりは外され、思ったより長かった髪が「かわいい」にプラスアルファーとして「大人っぽい」も付け足されていた。
ほんと、正直俺やばいです。
でもここで耐えるのが男ってもんだ。
このまま本能に従えば、こいつと俺の関係はジ・エンド、俺は強姦した男として一生恨まれることになるんだろう。
それだけは嫌だ。
嫌われるなんて死んでも嫌だ。
俺の本能を奥にしまい、優しさを全面的に出した雰囲気を醸し出して神楽の肩を軽く揺すぶった。
「神楽、起きろ。お前風呂入ってねーだろ。」
「んん…ん。」
少し嫌がるように眉を寄せて俺の手を退けた。
くぐもった声が妙に色っぽく聞こえた。
やべえ、俺相当重症だわ。
「神楽、ちょ、早く起きろ。マジで。」
「やあ……。」
「無理だって早く起きろっつってんだろ頼む早くお前のためにも俺のためにもォォ!」
「むう…。」
がくがくと相当大きく揺らしても全く起きない。
これならもしかして起きねーんじゃね?
何しても起きねーんじゃ……。
「そ、ごぉ…すき、ある……。」
「!!」
神様仏様、こんなかわいく純粋な少女を汚そうとした僕を許してください。
アーメン!.
*みくず様(yogurt)