ずっとずっと続く、愛の約束



君が居なくなってからどれ程の月日がたったのだろう
楽しく過ごしていたあの平和な時期は記憶の遠い彼方に消えた
一族に縛られた君は俺の事はもう忘れてしまったのだろか
俺にはこんなにも纏わりつく呪いをかけたというのに
君の事が頭から離れないという呪いを……

「……君は本当にずるいよ
片時も、俺の中から離れない」

君の後を追うように死のうとしたこともあるが、天火に止められた
絶対に生きているからって
そして、俺は旅に出た
君を見つける為に

それも、今日で丁度1年
君が居なくなってから2年
だんだんと一人でも大丈夫になってきた
君が居なくても大丈夫

………なんて、云えたらどんなに良かったか
未だに君の顔が離れない
君の体温が離れない
息づかいが、心音が、声が、全てが俺から離れてくれない

独り川辺で項垂れていたら、目の端に何か白いものが写った
直ぐに居なくなってしまったけれど、見間違える筈がない
あれは……

「白子……っ!」

俺の最初で最後の愛した人
君が居なきゃ何も出来ない
それなのに独りで行ってしまった意地悪な人

走った
とにかく走った
痕跡を見つける為に細心の注意を払いながら
途中で森に入った
木々で腕や足に細い裂傷が走るけれど気にしてなんかいられない
近くにいる、白子が近くにいるんだ…

「はぁ……はぁ、白子
出てこいよ…白子ぅ!……風魔、風魔小太郎ぉぉぉっ!」

ガサッと木の上から音が聞こえ白いものが目の前に表れた
でも、それは恋い焦がれた最愛の人ではない

「失礼ながら、貴方は知らないのですか?」
「何を……」
「長は、一年前に亡くなりました
ご自分で身を滝に投げ入れられて……」

足元から崩れ落ちる感覚がした
いや、実際に崩れ落ちていた

君は云った
俺より先には死なない、死ねないと
もし、離れ離れになったなら、君は迎えに来てくれるとも
君は嘘を余り付かない人だから、信じていたのに
大事な、大事な所で嘘をつかれた…



俺は今日からどう生きていけばいい?
いきる希望を無くした俺は…

「嘘つき……っ
迎えに来てくれるって云っておきながら俺が迎えに行ってるじゃないか」

死ぬしかない


とても怖いけれど君がその先で待っていると分かっていれば幾分かその怖さも和らぐ
この先には確か、滝があったはずだ
死ぬならば、どうか同じ死に方で

ふらふらと歩く俺はさぞ滑稽だろう
それでも、俺は歩く
君と同じ死に方が出来るのならどれ程不恰好でもいい

暫くして開けた場所に出た
そこは、とても広大な景色が広がっていた
歩いていた最中にも傷が出来、更に血が流れ出ているがそんなこと気にならない


「ここで、死ねたら白子の元に行けるかなぁ……

白子、………小太郎…
好きだよ、大好き、死ぬほど好き
なんで君は先に逝ってしまったの…?
なんで君は俺を愛してくれたの…?
なんで俺は君を愛してしまったの…?
なんで今君はここにいないの……っ」
「誰が、居ないだって?」

突然聞こえたとても聞き心地がいい声に流れていた涙が止まる
その声は最愛の人のもので……

ゆっくり振り向くと、やはりそこに居るのは俺の最愛の人

「なっ、で……」
「俺がお前より先に死ぬわけがないだろ?」

ニヤリと笑い俺を抱き締める君は俺が求めていた君そのもの

「それに、約束したしな
お前を離さないし、離れ離れになったなら迎えに行くと

愛の約束だから、これを破るわけがないだろ」
「ふへへっ……
そうだよね、白子だもんね
あれ?でも、なんで風魔の人は死んだなんて嘘を……」

君はイタズラが成功した子供みたいな笑顔で言い切った

「お前と生きる人生と風魔で生きる人生を考えたら、お前と生きたい
だから、風魔小太郎は死んだ
お前だけの俺になったんだよ」


あぁ、神様これほど幸せで良いのでしょうか?
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