05


「ふぅ……なまえ、大丈夫? のぼせてない?」

「……うん、大丈夫だよ。」

なまえがフレンチトーストを食べ終えて片付けをしてから浴室にこもり、あんなことやこんなことをしてひとまず満足した俺は浴室から脱衣所に出た。念のためになまえの状態を確認しながら、用意していたバスタオルを差し出した。

「そう、良かった。せっかくだし、拭いてあげようか?」

「だ、大丈夫……自分で拭けるから……!」

なまえはバスタオルを受け取って勢い良く首を左右に振り、俺に背中を向けてしまった。俺は自分のバスタオルを手に取り、大人しく自分の髪と身体の水滴を拭き取る。

……今何時かな。そろそろ、セルティがチャットルームに現れてるかな?

「ごめん、ちょっと仕事が残ってるのを忘れてたから、髪乾かしておいてくれる?」

「うん、分かった。」

「部屋で待っててね。」



♂♀



ーー甘楽さんが入室されました

甘楽【やっほー、みんなー。っていうか、新しい人が居ますね。】

田中太郎【こんばんわー。】

狂【ああ、お久しぶりです甘楽さん。まさか現実よりも先にこうして電脳の世界で再会を果たすことになろうとは! ネットというのは人と人との距離を離しもするし近付けもする……まこと未来的なツールであるかと存じます。】

参【ひさしぶり。】

バキュラ【ばんわー。】

甘楽【えーと、……ちょっと待ってください。】

内緒モード 甘楽【クルリ、マイル、お前らだろ。お前ら、どうやって此処のアドレス調べた!】

内緒モード 狂【波江さんが懇切丁寧に教えてくださいましたわ、臨也お兄様?】

内緒モード 甘楽【……もう接触までしてたのか……。】

内緒モード 甘楽【いいからお前ら、今日のところは帰れ。後でいろいろと教えておかなきゃいけないことがあるから。】

内緒モード 狂【分かりましたわお兄様。現実で声を聞くことを楽しみにしております。】

参【はい、帰ります。】

田中太郎【?】

内緒モード 甘楽【内緒モードを使え! いや、もういいから帰れお前ら!】

狂【ちょっと甘楽さんが私達のことなんか嫌いだと言うので、もう帰ります。】

甘楽【ちょっとちょっと、冗談きついですよー☆】

狂【次に会うときは甘楽さんが機嫌を直してくださっていることをお祈りしますわ。】

罪歌【けんかは よくないです】

参【ごめんなさい。】

甘楽【ああッ! 冗談ですってばぁ! そんな気にしないでくださいッ!】

狂【それでは、皆様ごきげんよう。】

参【ばいびー。】

田中太郎【あ、おやすみなさいませー。】

ーー狂さんが退室されました

ーー参さんが退室されました



♂♀



「はぁ……疲れた……。」

「……? お仕事大変だったの?」

チャットを切り上げて、クルリとマイルに電話を済ませてから寝室に入った。なまえはベッドに腰掛けて漫画を読んでいたが、それを閉じて心配そうに俺を見てきた。

「……まぁ、そんな感じかな。さっきなまえに癒されたばっかりだっていうのに……。」

「お疲れ様……。」

ゆっくりとした足取りでベッドに歩み寄り、なまえの隣に腰掛けると、なまえが横から抱きついてきた。

「……ん?」

「……く、くっついたら……元気になるかなって……。」

「そうだねぇ……また癒してもらおうかな?」

なまえは眠るときにブラジャーを着けないから、俺の片腕に胸の柔らかい感触がパジャマ越しに伝わってくる。
……なまえはそんなつもりは無かったかもしれないけど、俺はそんなつもりになっちゃったから、まぁ仕方無いよね。

なまえの腕を解いてから、そっとベッドに押し倒す。少し驚いた表情をしているのは気にしないことにして、俺はなまえの耳元へと唇を寄せ、囁いた。

「……さっきの続きをしようか。まだ、足りないだろ?」

「……っ、うん……。」

「……1週間分、しなきゃね?」

なまえが同意したことに気を良くして、宣言通り、たっぷりと可愛がってやった。





◆161211







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