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なまえと昼食を食べながら、なまえが手に入れた情報を頭の中で整理していく。

黄巾族のボスの正体、黄巾族のボスがダラーズのボスについて聞くために俺に会いに来たこと、そしてダラーズと黄巾族の緊張状態について…これくらいなら、知られても特に問題無い。

ブルースクウェアについても知ってるならそのことも聞いてくるだろうけど、どうやらドタチン達は話さなかったみたいだね。ま、進んで話したい内容じゃないだろうけどさ。

「…ご馳走様。」

「ごめん、もう少し待って…。」

「急いで食べなくて良いよ。ちゃんと待つから。」

先に食べ終わったので、テーブルに頬杖をついてなまえの様子をじっと眺める。いつも通りに見えなくもないけど、考えながら食べてるって感じかな。

まったく、本当に余計なことを言ってくれたよね。なまえは巻き込みたくないから、話さないつもりだったのに。
昨日なまえを抱いたのは、危険を覚悟したうえで俺の側に居ると言ってくれたことが嬉しかったのが7割、抱いて誤魔化せないかと思ったのが3割だったけど、失敗したし。

「…ご馳走様。」

なまえも食べ終わると、近くに居た店員が空になった皿を下げて、すぐにセットのドリンクが運ばれてきた。俺はホットコーヒーに何も入れずに、そのまま一口飲んだ。

「…話の続きをしようか。」

「…うん。」

「俺がどう関わっているかだけど、俺は情報屋として関わっているんだよ。知りたいって言われたから教えただけ。」

嘘ではない。ただ、なまえが信じるかどうかは分からない。

なまえは俺をじっと見て、アイスティーのグラスを両手で握りしめている。そして、ゆっくりと口を開いた。

「…分かった。じゃあ、あと一つだけ。昨日、私も無関係じゃないって言ったのは、どういう意味?」

「…なまえが紀田君と知り合いだから。紀田君がなまえに黄巾族の話をするとは思わなかったけど、もしかしたら危ないことに巻き込まれたかもしれないだろ?」

彼にナンパ癖があるのは知ってたし、なまえが俺の妹だと知らないと踏んでたから、接触するかもしれないと思ってたけど、本当に接触したと知ったときは少し驚いたよ。なまえには自分が俺の妹だって自分から言わないようにしてって言ってるから、なまえが自分で言うことは無いと思ってたけどね。

「…やっぱり、私が紀田くんと知り合いだって知ってたんだね。じゃあ、園原杏里ちゃんのことも?」

「俺は情報屋だよ?知ってるに決まってるさ。」

なまえは確認するように話して、テーブルの端に置かれていたガムシロップを一つ手に取り、それをアイスティーの中に入れた。ストローでアイスティーを掻き混ぜると、からからと氷の音がした。

「そっか…。だったら、教えてほしかった、な。」

「…なまえのことは巻き込みたくないんだよ。」

嘘ではない。本当は彼らと接触すらしてほしくなかった。でも、接触してしまった以上、知らなかった頃には戻れない。だから、必要最低限のことだけを教えた。

「分かってくれるよね?」

グラスに添えている方の手にそっと手を重ねて、優しい声音だが有無を言わせない口調で言葉を紡いだ。
俺が強く言えば、なまえは大概素直に言うことを聞く。これは卑怯なやり方だと、自覚はしている。

「…うん…。」

「…他に聞きたいことがあるなら、今聞いて。」

「…、もう大丈夫だよ、ありがとう。」

なまえは少し沈黙した後に、小さく笑った。
そう言うなら、とりあえずこの話は終わりで良いか。

「俺はちょっと用事があるんだけど、なまえは?帰る?」

「私も寄りたいところがあるから、夕方には帰るよ。」

「分かった。気を付けてね。」

少し温くなったコーヒーを一気に飲み干して、俺は今頃行われているであろう黄巾族側の出来事に期待を膨らませた。

なまえがアイスティーを飲み終えると、会計を済ませて一緒に店を出て、俺達は店の前で別れて、それぞれ行きたい場所へと向かった。





◆161120







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