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あの後臨也から返信が来て、私は池袋駅の近くにあるカフェに入って臨也が来るのを待っていた。
「…。」
メニューを捲りながら、何から聞くべきなのかぼんやりと考えていると、カフェのドアが開き、臨也が現れた。臨也はすぐに私に気付いて、私と向かい合うように椅子に座った。
「お待たせ。ちょっと来客があってね。」
「気にしないで。私が早かっただけだから。」
「何頼むか決まった?」
「まだだよ。お昼、此処で食べようかなって。」
先に出された冷たい水を一口飲み、メニューをじっと見る。ランチメニューは数種類あり、何を頼もうかと少し悩んでしまった。
「…うーん、このハンバーグランチにする。」
「俺はドリアにしようかな。すみませーん。」
臨也が注文してくれたので、メニューをテーブルの端に置き、私はテーブルの下で拳を握って、話を切り出した。
「…情報収集の件だけれど、合ってるか、確認したいの。」
「良いよ。…その前に、誰に聞いたのか教えてくれる?」
「門田くん達だよ。セルティにも聞きたかったんだけれど…返信が来なくて。」
知っている範囲のことを順序立てて話すよりも、まず最初に聞きたいことを問い掛けよう。周りに居る他のお客さんには聞こえないように小声で話した。
「…紀田くんが黄巾族のボスっていうのは、本当なの?」
「そうだよ。」
「…。」
あっさりと肯定されてしまった。門田くん達が嘘を吐いているかもしれないと思っていたわけではないけれど、臨也が肯定すると真実味が増した。
「…昨日、紀田くんと会った?」
「会ったよ。ダラーズのボスについて知りたいって言われたから、教えてあげたよ?」
私が聞きたかったことを先に告げられて、どう返せば良いのか分からず曖昧に頷いた。
ダラーズのボスは竜ヶ峰くんで、黄巾族のボスは紀田くん。二人とも高校生なのに、行動力があるというか何というか…すごいなぁ…。
そんなことを考えているのを見透かしたのか、臨也が話の続きを促すように小首を傾げた。
「…他には?」
「あ…、えっと…ダラーズも黄巾族も斬り裂き魔に斬られて、お互いがお互いを斬り裂き魔だと思ってる…って聞いたけれど…そうなの?」
「うん。斬り裂き魔はリッパーナイト以来出なくなったけど、逮捕されたわけじゃないから、緊張状態になってるみたいだよ。何かきっかけがあれば、抗争になっちゃうかもねえ。」
「そう、なんだ…。」
抗争ーーその単語を口にした臨也は何だか楽しそうに見えた。…多分、私の気のせいではない。
門田くん達に教えてもらったことはこれですべてだ。でも、何だか腑に落ちない。今確認したことは事実なのだろうけれど…。
「…まだ聞きたいことがある、って顔だね。」
「…っ、…岸谷くんのお父さんが…この件に、臨也が深く関わっているって言ってたけれど…、どう関わっているのか、教えてくれる?」
ここで聞きたいことはもう無いと嘘を吐くのは無意味だと判断して、ずっと気になっていたことを臨也に直接聞いた。臨也は少し考え込むような素振りを見せて、口を開こうとしたところで、注文したものがテーブルに並べられた。
「先に食べようか。冷めちゃうし。」
「…うん。いただきます。」
食べながら聞くような話ではなさそうなので、雑談をしながら食事を始めた。
ーー気になることがあるからだろうか、いつもと同じようにしているつもりだけれど、いつもと同じように臨也との食事を楽しむことは出来なかった。
◆161118
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