1.5 05


今日は、俺の大事ななまえの誕生日だ。双子だから、俺の誕生日でもあるけど。

今日はほとんど仕事をしていない。まあ、今日のために少し前から仕事を片付けたからね。なまえが離れたときだけ携帯をチェックしているけど、特に急ぎの仕事は入っていなかった。

もし急ぎの仕事が入ったとしても、今日は仕事をするつもりは無い。なまえと過ごすって決めているから。誰にも邪魔はさせないよ。



「なまえ、着いたよ。」

「…服を買うの?」

「うん。」

小さなカフェを出て、元々調べておいた店の内の一つに到着した。ちゃんと説明していなかったから、なまえは不思議そうにしているけど、その手を引くと大人しく店内に入ってくれた。

「さて、どれが良いかな。」

「?」

なまえに似合いそうな色のワンピースを手に取り、なまえに当てていく。きっと何でも似合うだろうけど、せっかくだから一番似合うものを着せたい。

「…臨也、あの、プレゼントは…。」

なまえのために選んでいるということが分かったらしく、さっきと同じように断ろうとしてきたので、首を横に振り苦笑いを浮かべる。

「これは受け取ってもらうよ?必要だからね。」

「…パーティーでも行くの?」

「違うよ。でも、ちょっと良いところだからさ。」

…そう言えば、何処でディナーにするか言ってなかったっけ。まあ着いたら分かるし、とりあえず買い物を済ませよう。

「俺に選ばせてよ、ね?」

なまえの返事を聞く前に有無を言わせないように笑顔で告げて、俺は必要なものを選んでいった。



♂♀



「ご馳走様。すごく美味しかったね。」

「そうだね。なまえに喜んでもらえて良かったよ。」

予約していたホテルのレストランでのディナーを終えて、俺の隣に座っているなまえは満足そうに笑った。予め頼んでおいたケーキとシャンパンも無くなったから、そろそろ移動しないとね。

「夜景を見ながら食事が出来るって、贅沢だなぁ…。」

「また来ようか。横浜だから近いし。」

高層階の窓から見下ろす横浜の夜景は素直に綺麗だと思う。ただ、夜景自体よりも、夜景を見て嬉しそうにしているなまえの方がもっと綺麗だ。

先程俺が選んだワンピースもよく似合っている。
色はピンクベージュで、形はAラインでふんわりとしている。…早くあの胸の下で結ばれているリボンを解きたい…なんてことを考えているとバレないように、俺は口角を上げた。

「…今日、泊まるって言ってただろ?」

「うん。」

「このホテルで部屋を取ってるから、部屋に行こう。」

着替えや必要なものは今朝ホテルのフロントに送ってある。デートもディナーも終わったし、あとはプレゼント交換をして、愛を確かめ合おう。



「…すごい、ここでも夜景が見えるんだね。」

今日はホテルの最上階の部屋を取った。スイートルームでも良かったんだけど、一度別のホテルのスイートルームを取ったら、なまえが恐縮しちゃって…そんなところも可愛いんだけど。

ガラス張りになっている窓の前に立って、再び高層階の窓から夜景を見下ろして嬉しそうにしているなまえの後ろに立ち、なまえのワンピースと一緒に買ったジャケットのポケットからプレゼントが入っている箱を取り出した。

「…結局、たくさんプレゼントしてもらっちゃったね。」

「俺がしたくてしたんだから、なまえが気にする必要はないよ。素直に受け取って。…これもね。」

箱を開けるとなまえのプレゼントにと買ったシンプルなネックレスがあり、それを手に取って、なまえに着けてやる。

「…!ありがとう、臨也。私も、プレゼントがあるんだよ。」

ガラス越しに見えるネックレスはなまえによく似合っている。もう一つの方と悩んだけど、こっちにして良かったよ。

ネックレスに触れてから、プレゼントを渡そうとしようとして後ろを振り返ったなまえを腕の中に閉じ込めた。

「臨也…?」

「…誕生日おめでとう、なまえ。」

「ありがとう。臨也も、誕生日おめでとう。」

ーー俺の片割れとして生まれて、俺を愛してくれて、今も側に居てくれるなまえが愛しい。この仕事を辞めるつもりは無いけど、なまえを手放すつもりも無い。

「…ね、臨也…キスしたい…。」

「…キスだけで良いの?」

なまえの言葉に、俺は抱き締める力を少し弱くした。俺を見上げるなまえの瞳が少し潤んでいるのは、きっと気のせいではない。可愛さの余り、意地悪な質問をすると、なまえは俺から視線を逸らして、小さな声で答えた。

「…臨也が、欲しい…。」

「…俺の目を見て、もう一度言えたら、全部あげるよ。」

「…!」

恥ずかしがっているのはすぐに分かったけど、目を逸らされちゃあ及第点はあげられない。恥ずかしがり屋ななまえの唇を指先でなぞってみる。

「…ほら。」

「…っ、臨也が…欲しい、です…。」

一度目を瞑ってから、しっかりと俺を見て、小さな声で紡がれた言葉に、俺は気持ちが昂るのをもう抑えられなかった。なまえの唇を奪い、自分の想いをぶつけるかのように、何度も貪った。

「…は、ぁ…っ、…すき…。もっと…。」

「…ん、俺も好きだよ、なまえ…。」

立ったままじゃなまえがしんどそうだから、一旦なまえから離れて、なまえを横抱きにしてベッドへと運び、そっと横たわらせた。ジャケットを脱ぐのも忘れて、しっかりと結んでいたネクタイを緩めながら、なまえに覆い被さる。

「…全部あげるから、覚悟してね。」

耳元で熱っぽい声で囁き、ピンクベージュのリボンをそっと解いた。





◆161004







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