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更に翌日、俺は再度竜ヶ峰帝人君に接触することにした。
"とある目的"と、なまえを助けてくれたのが彼なのかどうか確かめるために。
彼の予定は知っている。今日から通常の授業が開始されるから、昨日より遅い時間に下校するだろう。
昨日はシズちゃんに邪魔されたから、今日は来良学園の校門前に隠れて、彼を待ち伏せすることにした。
今日こそ確認するために、なまえも連れてきている。今は来神高校時代にお世話になった教師が居るかどうか知りたいと言って職員室に行ってるんだけど。
…さっき終礼のチャイムが鳴ったから、そろそろ出てくるかな?
なまえを呼び出そうかとポケットから携帯を取り出そうとすると、
「あ!タカシ!こいつだよ、こいつ!」
校門前から女の子の大声が聞こえた。
「お前、俺の彼女の携帯ぶち壊した奴と知り合いなんだってな。」
「知り合いって程では。」
どうやら昨日俺に携帯を踏み潰された女の子が彼氏にそのことを伝えて、彼氏が報復のために俺を探しているようだ。
あー…、これ俺のせいだよね…。また逃げられたら困るし、助けておこうかな。
「で、どこよ、てめえと一緒に居たって野郎は。」
溜め息を漏らしてから俺が校門前に姿を見せると、そこには女の子の彼氏が地面に倒れており、俺は容赦なくその背中に飛び乗り、そのまま何度も何度も飛び跳ねた。
「ありがとう。」
女の子達が放心する前で、恭しく一礼して見せた。俺の下には、気絶したと思しき女の子の彼氏の姿がある。
「君はーー俺が女の子を殴る趣味が無いからって、わざわざ男を用意してくれるとは!なんて殊勝な女の子なんだろう。でもごめんね、俺は君に興味無いから帰れ。」
と言い終わる前に女の子は逃げ出してしまっていた。
そんなことよりも…俺はきょろきょろと辺りを見回して、なまえの姿が無いか確認した。うん、居なさそうだね。なまえに見られなくて良かった。
女の子に見捨てられた彼氏の上から退き、呆然としている彼に声を掛ける。
「や、昨日は邪魔が入っちゃって残念。ここならシズちゃんも来ないだろうからね。自宅を調べて押し掛けるのも悪いと思ったから、校門前に隠れて待ってたんだよ。」
にこにこと笑いながら彼を見るが、彼はつられて笑わなかった。
「ところでさ、なんで黒バイが居るの?」
不思議そうに首を傾げるが、昨日なまえから黒バイが彼を追い掛けていたことを聞いているため、黒バイがここに居る理由は想像がつく。
…先になまえのことを確認しよう。
ポケットから携帯を取り出して、なまえに電話を掛ける。電話はすぐに繋がり、なまえは既にこちらに向かっているとのことだった。
「臨也、お待たせ。」
「なまえ、この少年で間違いないかな?」
すぐにやって来たなまえに、短く問い掛ける。なまえは数秒彼を見てから小さく頷いた。
彼の方もなまえのことを思い出したようで、なまえに反応を示した。
「この前は、ありがとうございました。本当に助かりました。」
「あ、い、いえ、気にしないでください…!」
深々と頭を下げるなまえと、そんななまえに恐縮する彼。これでちゃんとお礼を言えたから、なまえも満足だろう。
目的の一つは果たした。残りはーー。
「じゃ、じゃあ園原さん、僕はこれで!」
「え…あ、は、はい。」
彼は眼鏡の女の子にしどろもどろな別れの挨拶を交わし、さっさとこの場を離れようとした。
だが、今日は逃がすつもりはない。なまえの手を掴み、彼の後を追う。…黒バイも一緒に。
彼が話すまで黙って後を追っていたが、校門からしばらく離れたところで彼は恐る恐る振り返り、俺に声を掛けた。
「あ、あの…何がなんだか分かりませんが…とりあえず、私の家に行きませ…。」
そこまで言って、彼ははっと息を呑んだ。そして俺から視線を逸らして、黒バイに声を掛けた。
「いや…その、ええと、黒バイクの人にお尋ねしたいんですけれど…。」
それを聞くと、黒バイはライダースーツのポケットから一台のPDAを取り出し、その画面上に何かを打ち込んだ。
…はぁ、まさか黒バイが居るなんてね。
◆160921
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