(会話文のみ)
「というわけで! 今日四木さんに会うことになったよ!」
「……電話することを二週間くらい真剣に悩んでたけど、ようやく前進したんだね。」
「とりあえずパンツスーツにしたけど、私スーツ似合ってる? 大丈夫かな?」
「スーツが似合わない人間なんているの?」
「普通にうんって言ってくれたら良いのに! 折原君の馬鹿!」
「逆ギレしないでよ。」
「……あ、あと一時間後には四木さんの目に映ってしまう……。緊張して今日何も食べてないんだけど、さすがにお腹空いてきた……。」
「……朝も昼も抜いたら腹減るに決まってるだろ。」
「何か食べようかな……折原君付き合って?」
「その辺の喫茶店で良かったら。」
「ありがとう。」
「……今日は妙に素直だね。」
「四木さんに会えるから嬉しくて……! 今なら何でも許せるかも!」
「へぇ。それじゃあ、この前四木さんから受けた依頼をもう終わらせちゃったことも許せるのかな?」
「は?」
「……一瞬で表情と声が変わってるけど。仕方ないじゃん、俺が電話したら忙しいって言って切ったのは君だよ?」
「だだだだって、あのときは四木さんへの電話で真剣に悩んでたから……! でも、四木さんのお仕事だって言ってくれたら良かったのに……!」
「はいはい。喫茶店で聞いてあげるから。」
「うー……不覚……。」
「……さて、何を頼むんだい?」
「そうだね……甘い物……じゃ力が出ないし……、ミックスサンドイッチにしようかな。あとアイスティー。」
「ハンバーグとかじゃなくて良いの?」
「ハンバーグはちょっとがっつりかなぁって。折原君は何を頼むの?」
「俺はアイスコーヒーだけで良いかな。あんまり腹減ってないし。」
「そっか。すみませーん、ミックスサンドイッチとアイスティーとアイスコーヒーお願いしますー。」
「……まさか本当に四木さんの部下になるために動くとはねぇ。」
「えぇっ、提案したのは折原君じゃん!」
「提案……ってわけじゃないよ、思い付いたことを言っただけさ。」
「でも、ちょうど事務員を探してるって教えてもらえたのは助かったなぁ。」
「本当に事務員だと思ってるの?」
「まさか。わるーいこともやらなきゃ駄目って分かってるよ。」
「軽い言い方だね。」
「ま、折原君の依頼も大概悪いことだしねー。」
「人聞きが悪いなぁ。俺は依頼人のために精一杯働いてるだけなのに。」
「はいはい。……あ、サンドイッチ美味しそうー。いただきまーす。」
「……それ、結構なボリュームじゃない?」
「んぐんぐ……確かに、予想より多いかも……。折原君も食べなよ。」
「一つだけ食べようかな。」
「よし、じゃあお礼に面接練習して!」
「は? ……別に良いけど。じゃあはい、志望動機は?」
「四木さんのお役に立ちたいからです!」
「……。」
「駄目!?」
「……うーん……他には?」
「これしか考えてない!」
「マジかよ……。」
◆170623〜
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