シディムの谷より




【warning】この先、性的表現並びに暴力表現がございます。閲覧後に不快感を催されましても、書き手側は一切の責任を負いかねます。
全てを了解した上で、ご自身で全責任を負えるという方のみ、このままお進み下さい。









「あ、ああっ……!!」

 どくん、と脈に合わせて熱を伴った白濁が噴き出す。自ら跨るように促した今の体勢で、それは重力に従ってぱたぱたと俺の胸元や腹部に散った。

「汚れた。舐めて」
「ひ、あ……」
「舐めろって言ってるの」
「ぅああっ!?」

 射精の余韻に浸って放心するばかりのその態度を咎める代わりに性器を爪先でぐりぐりと抉った。先端に僅かに残った残滓を掻き出すように、手加減無しに。敏感な部分にとっては激痛を伴う程の刺激だろうけど、そのお陰でレーゼはすぐさま我に返った。

「すみ、ませ……、すぐ、」
「遅いんだよ。俺が何か言ったらすぐに返事しろってあれだけ教えたのに、まだ分からないの?」
「ごめんなさ……っ」

 言い訳を紡ぐ口を顎ごとぎりぎりと掴み上げる。唇の周りの柔い皮膚に爪が食い込み、薄らと血が滲んだ。その深紅を指先で拭い、頬になすりつける。

「分かったらさっさと行動に移して。お前が汚した俺の身体、ちゃんと綺麗に舐めてね」
「は……い」

 震える腕を支えにゆっくりと腰を持ち上げ結合を解除すると、レーゼはそのまま身体を傾けて自身の精液を舌で拭いはじめた。当の俺は寝台に仰向けになったまま、只その様子を眺める。そして時折戯れのように頬を撫で、その度にいちいち過敏に反応する滑稽さに嗤いを浮かべた。


 大体の部分を終えたところで、レーゼは舌を止め、戸惑うような視線を送ってきた。もういいだろうかと窺う瞳。
 俺はそれににこりと微笑み、





 ――――レーゼがほっとしたような表情を見せた瞬間に、その新緑の髪を力一杯掴み上げた。痛みに歪んだ顔を無理矢理に上向かせ、瞳の奥の怯えを覗き込んだまま頬を張り飛ばす。ばしん、と小気味良い音が響いて柔らかな頬がじわじわと赤く染まっていった。

「ひッ!」
「勝手に終わろうとしないでよ。まだあるでしょ? お前の所為で汚れちゃったところが」
「あ、で、でも」
「お前に挿れてた所為でこんなにドロドロになったんだから、ちゃんと後始末しなくちゃ。分かるよね?」
「……はい」

 レーゼは力無く項垂れ、油の切れたブリキ人形のようにぎこちなく身体を動かして俺の股間に顔を埋める。そして先刻まで自分の中に入っていたものを、精液と秘部からの出血にまみれたそこを恐る恐る舐め始めた。全体を拭うように舌を動かし、それから先端から茎を伝って付け根、内股にかけてまでを往復する。その動きには躊躇いや葛藤が容易に見て取れ、それがまた俺の嗜虐心を擽った。

「……下手くそ」
「っ!」
「するならするでもっと上手くやったらどう?」
「すみませ……っ」
「咥えて」
「え、」
「咥えろ。早く」

 ひゅ、としゃくりあげるような呼吸音の後、レーゼは従順にその口腔の中へ俺を含んだ。それを確認した瞬間に、後頭部を掴んで激しく前後に動かす。

「ふむっ!? んぐ、んんんぅっ!!」
「間違っても歯を立てたりしないでよ? そんなことしたらお仕置き程度じゃ済まないからね」
「うぐっ、んん!!」

 喉奥を穿つように、何度も何度も。レーゼの眦に滲む涙の量に比例して、局部に熱が溜まっていく。

「……出すよ。呑み込んで。一滴でも零したら許さないから」
「ふ、ううっ」

 
 返答など元より聞くつもりもない。嗚咽に揺れる頭を抑えつけ、口腔に劣情を解き放った。

「ぐっ、う、うぅ……」

 ぼろぼろと、堪えきれなくなったかのようにレーゼの両目に溜まった涙が決壊して頬を伝った。その間も一切の力を緩めることはせず、レーゼは必死に咽を動かして吐き出された精液を飲み下していった。

「……んくっ、ふぁ、は……っ」
「よくできました、と言ってあげたいところだけど。ちょっとお粗末すぎやしないかなぁ? 今まであれだけやってきたことなのにちっとも上達してないだなんて。お前のこの口は何の為にあるのかな。食事? 会話? それともただ喘ぐだけ?」
「う、あ」
「違うよねぇ。……言ってご覧。お前の目が、口が、身体が、心が。お前という存在が、一体誰の為にあるのかを」

 顎を捉えたまま、つ、と親指の腹で唇をなぞる。その動作に導かれるように、薄く色づいたそこがゆるゆると動いた。

「グランさま、です……。私は、ぜんぶ、グラン様の為に……、んぅ」
「うん、いい子。お前のその従順なところは嫌いじゃないよ」

 小振りな口元が紡ぐ言葉に接吻で応え、舌を絡ませて呼吸を奪う。ぴちゃぴちゃと生々しい水音を響かせ、存分に蹂躙したところで両頬を包んでレーゼの双眸を覗きこんだ。涙と怯えと、それから確かな愉悦に濡れた黒い瞳。

 この瞳が情欲に乱れながら堕ちてゆく様を見ることが、今のところ俺の一番お気に入りの娯楽だ。



「それじゃあ特別に、今日は俺がお手本を示してあげようか。お前に任せていたらいつまで経っても上達しないからね」
「え……!?」

 そう告げるなり俺はレーゼを寝台に押し付け、脚を開かせた。先刻の余韻か、まだ少し勃ち上がった状態のレーゼのそれは、事前に散々嬲ったせいで赤く腫れている。べろりと舌先で舐め上げるだけでも過剰なくらいに身体が震えた。

「ひっ、うあ、あぁあっ!!」
「本当にお前は敏感だね。たったこれだけでもうこんなになって……。ふふ、いやらしい身体」
「あああぁっ!!!」

 そのまま雫を垂らして震えるそこを咥内に迎え、じゅるじゅると音を立てて貪る。普段は指先で触れる部分を、今は舌と歯を使って弄ぶ。反射的に閉じようとする太腿を、深く爪を食い込ませてねじ伏せた。

「っひ、ふあ、ああぁあんっ」

 特に弱い点である括れや先端部分を執拗に苛めると、嬌声は一際大きくなる。そして堪えきれずに眼を閉じたその瞬間を見咎め、俺はぎち、と溢れ出る蜜を堰き止めるほど強く根元を握った。



「ひゃう!? あ、あああ!!」
「レーゼ。教えてやってるっていうのに、ちゃんと見てないだなんていけない子だなぁ」
「っあ、ごめ、なさい、ごめんなさい……!」
「謝っても駄目。悪い子には……お仕置きだよ」
「ひ、……っあああ゛あ゛あ゛!!」



 先端の割れ目に思い切り、喰らい付く勢いで歯を立てた。半ば絶叫のような声を上げるレーゼを余所に、強弱を付けて刺激し続ける。じわじわと先走りの量が増し、口の中に含んだものが一層硬くなっていった。

「あああっ! も、もう、出ちゃ、っああ! ぐらっ、さまああ!!」
「いいよ、出しても」
「や、あ、あああああああっ!!!」

 吐き出された劣情を残らず口に納め、そのまま俺はレーゼに覆い被さった。涎を垂らして痙攣する唇を塞ぎ、自身が放出した精を流し込む。

「んぐ、ううっ、ん……」
「ん……。っは、どう? 自分のものを味わわされる気分は」
「あ……ふぁ」
「……何だ、もう碌に返事も出来なくなってるの。ほんっといやらしいね、お前は」

 はくはくと酸素を求めて口を開閉し、虚ろに視線をさまよわせる様を見て胸が透くような気分になる。こうしてどんどん壊れていってしまえばいい。俺の存在なしには指先ひとつ動かせないように。

「まだお仕置きは終わってないよ。……自分で広げて、浅ましく強請ってご覧。どうして欲しいか、どうなりたいのか、自分で俺に伝えてご覧?」
「は、……あ、」

 まだ瞳に意志の光が戻らないまま、それでも俺の言葉に反応してレーゼは自らの手を秘部へと持って行く。くぷ、と残滓を零しながら、ひくつくそこを曝け出した。





「……いれて、ください。深く、たくさん、突いて……。あなたで私を、ぐちゃぐちゃにしてください……っ」
「――――よくできました」

 ふわりと笑ってみせてから、望む通りに自身を挿入する。数えきれないくらいに拓かれたそこは俺の質量を容易に受け入れ、すぐに熱い粘膜を絡みつかせてきた。


「あぁ! あん、ぅあ、あああ……!!」
「ははは、そうだよ、もっと啼いてご覧、レーゼっ……!」




 俺の玩具。俺の人形。繰り糸が切れて倒れるまで、せいぜい可愛く踊ってみせて。
 ぼろぼろになるまで愛してあげる。




 その手足が千切れてからも。





end.




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