Sample.2




「あっ、あ、や……!」

 白い指先が肌を這う度、唇からは意志に反して甘い喘ぎが漏れる。それを面白がったシオンが煽るように辿った跡を強く吸い上げるものだから、アルバの身体はあっという間に赤い痣だらけになってしまった。

「へえ、やっぱり性別が違うと色々差異が出てくるもんですね。……いつもより肌が柔らかい」

「ひゃうっ!」

 ちゅ、と音を立てて胸元にまた痣がひとつ付け足される。抵抗も虚しく強引に脱がされた服は手首で絡み合い、図らずも拘束具と化してしまっていた。無理矢理に解こうとすればするほど雁字搦めになり、身動きが取れなくなっていく。

「何をそんなに嫌がってんですか。初めてでもないんだからもう少し力抜いて下さいよ」

「や、だって、こんな……あぁ!」

 確かに『初めて』ではないけれど、今のこの感覚はまた種類が違う。こんな、腹の奥からぞくぞくするような感覚は一度たりとも経験がなかった。まるでアルバを形作る細胞のひとつひとつが、シオンが欲しいときゅうきゅうと切なく鳴きながら疼いているようだ。

 そんな未知の感覚に翻弄され、涙を浮かべて震えるアルバを、シオンはふんと冷たく鼻で笑った。

「女の身体は男より感じやすいとはよく聞きますが。まさかここまで覿面とは。――ああ、それとも単に貴方が淫乱だってだけですかね?」

「だ……れがっ!」

「貴方ですよ、勇者アルバ・フリューリングさんかっこわらいかっことじ。ほら、」

「ひゃあんっ!? や、そこはぁっ!」

「ちょっと触るだけでこんな反応しておいて、淫乱以外の何だって言うんです?」

「あぁっ、やだぁ……っ、胸、さわるなぁ……あっ!」

 露わにされたふたつの膨らみを、シオンの両手が容赦なく揉みしだく。大きすぎず小さすぎず、掌からややはみ出す位のサイズの双丘は程良い弾力と温かさを備えながら、手の動きに合わせて柔軟に形を変えていった。

「ひぁ、痛っ、そんな、強くしないで……っ」

「へえ? 強くしなけりゃ続けてもいいんですね」

「誰もそんなこと言ってな……、あぅっ!」

 先程よりもいくぶん緩められた力で再度揉まれ、時折戯れのようにぴん、と先端を弾かれる。その度に身体がふにゃふにゃと砕けていくようだ。そんなアルバを嘲笑うように、爪先がいっそう強く乳首の先を引っ掻いた。

「やだっ、そこいじんないで……っ、やだぁ……っ!」

「やだやだって、アンタさっきからそればっかですね。駄々こねるガキじゃあるまいし、恥ずかしくないんですか?

 ――そーんな悪い子には、お仕置きが必要ですね」

「ふぇ……!?」

 言うが早いが、シオンはアルバのふっくりと立ち上がった乳首の一方を指先でぎゅう、と強く摘んだ。親指と人差し指とでくりくりと捻るように刺激し、引っ張り、離してはまた摘み上げる。もう一方は口に含んで吸い上げると、飴玉のように舌先で転がし、前歯でやわやわと甘噛みした後に歯先を鋭く突き立てた。

「あっあっ、やぁああっ!? ぁっ、だめっ、だめぇえ!」

「っこら、暴れないで……下さいよっ!」

「あンっ!」

 反射的に甲高い嬌声が漏れ、まるで心まで女になってしまったかのようで、そのはしたなさに思わずぶわ、とアルバの目頭は熱くなった。恥ずかしいやら悔しいやら怖いやらで、頭の中はとっくにパンク寸前だと言うのに、そんなぐちゃぐちゃの思考が絶え間なく与えられる快楽で更に上塗りされていく。

 いやだ。こわい。きもちいい。さわるな。さわって。もうゆるして。もっとして。

「も、やだ、こんな……っ! ボク、女の子じゃ、ないのにぃっ!!」

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