最初の感想はまたか、だった。一松がお仕置きを求めてとる行動の中では結構頻繁に選んでいるやつだ。特に準備もいらないし簡単にできるからかもしれない。主に兄弟が気まぐれで集まるためだけのサロンの、ソファの一つ。その真ん中。自分からはなにもしてないですとアピールするようにホールドアップしているチョロ松の膝の上には一松が座っていた。俺がそれを見たのに気が付いて笑う様は小悪魔そのものだ。まったく反省の色が見えない。
 一松の首には細身の首輪が巻かれている。赤色の石が付いた特注品、勿論俺があげたやつだ。男女以外の性であるDomとSub。それの契約が結ばれている印。兄弟でコイビトで仕事上は上司と部下っつーか主従な関係。それに加えてあれだ。もうめちゃくちゃって感じがするのにちゃんと収まってる感じがするからすごい。どれも譲れないもんだからしょーがない。や、働くのは嫌だしその部分はなkなってもいいかな。
 これの契約はお互いがいないと、特に一松は俺がいないと駄目なやつ。その中にお仕置きとかご褒美とかがあるわけで。俺としてはご褒美だけめいっぱい与えてどろっどろにして、今よりもっと俺がいないと駄目にしてやりたいくらいなんだけど、まあそこまでやっちゃうとお仕事に差し支えもあるしね。俺はそれでもいいと思ってるけども。
 たまにこうして、お仕置きのほうを求めてくる事がある。支配されたい、そういう欲。普段日常じゃあんまりない、けれど俺の中に確実にある支配したいって欲がそれに誘発される。一応セックスとかで結構俺は発散できてるんだけどな〜、一松はそれじゃ足りないらしい。その辺はSubの気質よりも一松本人の気質かもしれない。そういうとこもかわいいんだけど。
「……一松」
「なに?」
 ほら、すげー楽しそうな声出してるじゃん。後ろでチョロ松が呆れてるよ。断らないおまえもおまえだと思うけどね。普段どれだけぐちぐち言ってても結局のところ弟には甘いのだ。俺もチョロ松も。なんならカラ松もそうだし一松もそう、あと十四松も。結果トド松がすごい事になる。まああれはあれはあれで色々あるみたいだけど。今は問題ないしいいでしょ。昔は昔ってね。
「おいで、俺の部屋行こ」
「っ、うん、行く」
 たった一言で一松の声色が変わる。そういう性質同士、契約を交わしてるっていうのがあるってわかっててもあまりにも簡単でかわいい。正直DomだのSubだの、そういうのがなくたってこうなってたんじゃねえのって思わなくもない。
 あっという間にチョロ松の上から俺の前へと移動した一松はじっと俺の事を見上げてくる。身長差なんてないのに。猫背ってすげーな。ちゃんと言う事を聞けたのを褒めるように頭を撫でてやれば嬉しそうに目が細められる。今は出てないけど、しっぽが出てたらゆらゆら揺れてたに違いない。
 手を離すと残念そうな顔をしたものの手をまえればぱっと表情が明るくなった。もお、だからそうゆうの駄目だって。かわいい。ぐちゃぐちゃになってんのとは全然違う質のかわいさだ。ある意味二度美味しい。二度どころじゃねえな。
 部屋に入ってすぐ、ベッド脇の椅子に腰をかければすぐにぺたりと床へと一松は腰を降ろした。別に俺は隣でもいいんだけどね、これは外じゃできないし屋敷にいる時、特に俺の部屋ではこっちのパターンのが多い。お気に入りなんだろうな。頭を撫でてから元々食べさせようと思って用意してあったガラスの器を手に取って、盛られていた赤色、もとい苺の上にとろとろした白色を適当にかけていく。いやあ、一松がすぐ見つかってよかったわ。今度からちゃんと捕まえてから用意させよう。
 所謂練乳、ついでに砂糖。どっちも用意しといて正解だったみたいだ。砂糖は普通の砂糖だけどこっちはちょっと手を加えたやつ。なんとなーく、そろそろかなって思ってたんだよねえ。普通に使ってもよかったけど丁度いいから今回はお仕置きに使おっと。次使う時の参考にもなるし。
 手に取った苺を口許へと運べばすぐに一松の咥内へと消えていく。ひとつ、ふたつ、みっつ。練乳のかかったそれはどんどんと手許の器から姿を消した。そろそろいいかなと思ってももっとと紫色に見上げられてしまったらしょうがない。俺だってこうやって食べさせるのは好きだ。でもいーの、そんなに食べちゃって。知らないよ、俺。
 結局苺は全部食べられてしまって器の底に練乳が溜まっているだけになってしまった。それを掬って指先を唇に押し付けようとしたら触れるよりも先に舌が絡んで口の中へと招き入れられてしまった。舌の絡み方も吸い方もどっちもあからさまにそういう質を含んでいてぞくぞくしてしまう。まだやんねーよ、お仕置きも済んでないじゃん。
 けど暫くは楽しみたいし好きにさせてやる事にした。えろくってかわいい。どうしようかな。いつまでも、指がふやけるくらいまで楽しみたくなってきちゃうじゃん。と言ってもそういうわけにもいかないからずるりと指を引けば舌先との間に銀色が光った。
「ぁ…」
「そんな名残惜しそうな声出さないでよ、勃っちゃうじゃん」
「だめなの?」
 まだなんともなっていない俺の股間を緩やかに撫でる手付きは露骨すぎて笑っちゃいそうだ。そんなにご褒美がほしーの。だったらまずはちゃんとお仕置きを受けてもらわないとね。ご褒美だけじゃなくてそっちだって欲しいんだろ?
 触れた頬は既にほんのりと熱い。それがいろんなものへの期待のせいなのか別の要因のせいなのかは判断がつかなかった。少し撫でるだけで気持ち良さそうにしてんのは別の要因のせいだな、それはわかる。既に少しふわふわし始めてる一松は気がついてないみたいだけど。いいの、そんなちょろくって。かぁわいい。
「移動しよっか」
「ん…」
 移動先は当たり前のようにベッドだ。いつだって基本的に二人分の体重を受け止めているベッドは音なんて立てる事はなかった。音らしい音と言えば一松がちょっと笑ったくらい。思い通りにいくと思うなよ。横たえたばかりの細い身体に覆いかぶさって唇を額へと押しつける。ほんのり汗ばんだそこにやわく歯を立てると身体が震えた。すっかり敏感な状態になってしまっているようだ。
 本当はもっといっぱい触ってやりたいとこなんだけど、なんせお仕置きしなきゃなんないからね。名残惜しいけれど身体を起こしたらすぐに熱を孕んだ紫色に捕まった。うんうん、これならちゃんとお仕置きになるかな。結構お仕置きを考えんのも大変なんだよ?内容によってはご褒美になっちゃうかもしんないし、というかなってしまうし。だからと言ってあんまり酷い事はできないもんなあ、他所はどうしてんだろ。
「はいばんざーい」
「ばんざい…?」
「ぞ、万歳。おっきくね」
 不思議そうにしてはいるもののちゃんと両腕ともにベッドヘッドの方へと伸びていく。それを捕まえて元々用意しておいた手錠で固定しちゃえば準備はおっけーだ。使うの久しぶりなせいで探すのにめちゃくちゃ時間かかったんだぞ。まさか一松に手伝わせるわけにはいかねーし。
「なに、っ、あ、ン…っこれ使うのが、お仕置き?」
「いや? これだけじゃおまえにとってはご褒美でしょ。だからぁ、盛っちゃった
 耳元で甘ったるく囁いただけでびくびくと身体が跳ねる。一気に感度が跳ねあがったのは薬を盛られたって意識したからだろう。まだ媚薬だなんて言ってないんだけどな〜、まあそれくらいしかこの状況で盛るもんなんてないか。
 顔も真っ赤だし息だって荒い。シャツの上からちょっと触れただけで高い声が零れる。一松がいろんな薬関連の耐性持ちな事は当然知っていた。だからこそちょーっと強めの、効きそうな辺りで攻めてみたんだけど正解だったみたいだ。
「俺は一旦仕事戻るから。イかないでちゃんと待ってろよ」
「…本気?」
「本気
 両手共に拘束しているとはいえ身体の向きを変える事は難しくない。反転させちゃえばベッドに擦り付けるなりなんなりしてイく事は出来るだろう。本当に我慢させるなら手も拘束しないで自由な状態でのほうがいいんだろうけど、まあそこまですんのもあれだしこの絵面が見たかったっていうか。やってみてよかった、えっろいわこれ。
 ベッドから降りて少しずつ、わざとゆっくり。ドアへと近づいて最後に振り返ったら思いっきり睨まれた。はは、すげーかわいい。逆効果だってわかってるくせに。特に暴れたりしないのは無駄だってわかってんのとその結果肌が刺激されてしんどいからとか?強めとはお願いしたけどどのくらいかは聞いてねえな。後で聞いてみよっと。
 あんまり眺めてると触りたくなっちゃうから潔く外へ出て部屋よりもなんとなく涼しい気がする廊下をまっすぐ。戻ってきたサロンには未だにチョロ松の姿があるくらいで他の兄弟の姿は見当たらない。仕事中かな。多分そうだ。
「…戻ってくるとは思わなかった。使ったんじゃないの、あれ」
「使ったよ? 今はお仕置き中〜。そういえばあれ、どのくらい強いの」
 件の薬を用意したのはチョロ松だったりする。つまりあの薬については俺よりもチョロ松のがずっと詳しいのだ。本当はこの手のものに詳しいのは一松なんだけど手錠の件と同じだ。使う本人に手配させてもね、おもしろくないじゃん。となると別の奴に頼るしかないわけで。チョロ松を選んだのは一番二人になる事が多くてやりとりが楽だったからだ。トド松でもよかったんだけどあいつは見返りがエグい。
「耐性がない人間に盛った時は相当ひどかったみたいだよ、壊れる程じゃないけど」
「ああ、そーなんだ? じゃあ一松だとまあまあかな」
「盛った事は言ったんでしょ? なら充分なんじゃない、おまえに盛られたってわかってるだけで効果ありそうだしあいつ」
 実際見た感じその通りだよな、あれ。薬の効果的には本来の半分とかその程度だと思う、多分。雰囲気に酔ってるというかなんというか。やっぱりなんだかんだしっかり考えたお仕置きもご褒美みたいな扱いになっちゃうんだよなあ。俺も楽しいからいーけど。
 テーブルの上に置かれていたティーポットから紅茶を拝借してもチョロ松はなにも言わなかった。俺が勝手に持っていくのはいつもの事でとうの昔に諦めているんだと思う。こっちのカップはもしかして一松が使ってたやつかな。他の兄弟が来る気配はないし、片付けるのをめんどくさがってんなこれ。
「おまえは休みだっけ」
「休憩中。今日の休みはカラ松とトド松」
「あー、聞いた気がしてきた」
 それに言われてみれば朝意気揚々と出かけていく二人を見かけた気がする。あれ多分、カラ松はトド松の足とか財布の役目なんだろーな。それを良しとしているのはカラ松だから俺からはなにも言う事はない。こっちに害があるわけじゃないもん。二人とも楽しんでるなら問題ないっしょ。
 ここ最近はもっぱら平和だ。元々トラブルが多いわけでもないし、なにかしらあったとしても俺、もしくは兄弟の誰かしらが引っ張り出される事も殆どない。いい事だ。なんかあってもめんどくさいだけだもん。ゆるっと飯食ってだらっとしてきもちー事して生きてけるのが一番だ。
「わかってると思うけど明日仕事倍だからな」
「え〜? つってもどうせ大した事ないでしょ」
「…まあ、そうなんだけど。一松のがあればそれも上乗せするのに…」
「あいつこういうの自分が休みの前の日にしかやんないもんな」
 きっと今日の分だってもう粗方片付いていて、ちゃんと部下に指示も出した後だ。周りに迷惑をかけるようなタイミングでは絶対に仕掛けてこない。なんなら俺の方だって気にしてくれてるくらい。急な仕事が入る可能性が低くて、纏めて明日に処理するので問題がないって事を知っている。その辺はよく俺の執務室にいるのとチョロ松から多少聞いてるんだろう。そういうとこ真面目だよなあ、そこまでしなくても平気なのに。
 その後もゆるっと話して、チョロ松が休憩を切り上げるまで。腕時計を確認したらいい感じの時間だった。あんまり放置しすぎるとガチで泣いちゃいそうだからそろそろ戻りますかね。どんな風になってるんだろう。想像するだけでどきどきしちゃう。
 しっかり防音されてるのもあってドアの前に立つだけじゃ寝室の中の様子は全然伝わってこない。気がつくか、気がつかないか。どうせなら気がつかれないほうがいいかな。その方がえろいとこが見られそうだ。そっとドアを開けてると途端に明らかに廊下とは違う質の空気が触れる。水っぽくて、重い。
「おそまつ、にい、さん…」
 薬を盛った上での放置、にも関わらず部屋に入った途端蕩けた紫色が俺の事を映した。そんな余裕ないだろうに。それだけ俺の事を待っていたのかもしれない。甘ったるい紫色も声色もどっちもたまんなくてぞわりとした。だだ漏れになってる色気が毒過ぎる。けどまだ、触るには早い。もうちょっと。
 手錠を外してやっても大きく動く事はない、精々首を傾けた程度だ。汗ばんだ肌に髪の毛がくっついてんのがやらしい。もぞもぞ摺り寄せられた奥、股間は大きな山になっていて苦しそうだ。なんて、原因の俺が言うのはおかしいか。
「ちゃんと我慢できた?」
「でき、た、から、早く」
「ほんとにぃ? その割にはここ、ぐしょぐしょじゃん」
「や、だ、あ! さわ、んな、あ、ッ」
 すっかり色が変わってしまっているそこを指先で刺激してやると面白いくらい腰が跳ねる。濡れている理由が我慢汁なのかイった故の精液なのかまでは触っただけじゃわかんなそうだ。もっとしっかり触れば話は別だけどそれしたらイっちゃうだろうしなあ。そうなっちゃったら触るまでにイってたかどうか確認が取れなくなってしまう。それはよくないよな。
「じゃあ確認するから脱いで見せてよ」
「まって、は、っんん、」
 腕を降ろすのもバックルに触れるのも、それを緩めていくのも全部が全部緩慢でたどたどしい。それがたまらなくえろくってかわいくって最高だ。やってる一松本人はたまったもんじゃないだろうけどね。けどこれが終わらないと先、イく事はできない。もうこんなになるくらいぎりぎりなのに。ぎゅうと寄った眉根もちょっといらついてるとこも、かわいい。ああでも今の外れてほっとした顔のがかわいーかな。
 ベルトが外されて今度はボタン、それからファスナー。スーツがあんなになっていたんだから当たり前だけど下着もぐしゃぐしゃだ。相当気持ち悪いんじゃねえの。それともこの状態だとぬるついてる感じがよかったりすんのかな。
 下着だけじゃなくて、パンツごと。多分中途半端に前を出すよりもそっちのが楽なんだろうな。けど完全に脱ぐ事は難しかったのか結局太腿半ばあたりまでしか露出する事はなかった。それでも充分だけどね、どろどろになったちんこはしっかり見えるし。後で脱がせてあげよっと。
「一松ぅ、そのまんまじゃベスト汚れちゃうよ? 上も脱いだら?」
 腹につきそうなくらいそそり勃っているそれの先からぽたぽたと滴が垂れてどんどんベストに落ちていく。とっくにもう手遅れだ。けれど一松はそんな事に気がづかずに震える指先でベストのボタンへと触れた。はあ、と熱い息を零しつつ、上から。少しずつ赤らんだ肌が見ていくのはひどくやらしい。口の中に唾液が溜まってしまうくらいだ。
 脱いだら、と言ってけれど一松が出来たのはせいぜい前を広げるくらいだった。大きくベストとシャツの合わせが広げられて一気に肌の露出が増える。触ってもいないのにぷくりと膨らんでいる乳首から、大きく息を吸って吐いているせいでそれに合わせて動く薄い腹まで。我慢汁はベストを汚す事はなくなったけれど代わりに今度は剥き出しになった肌をしとどに濡らす。こっちのが断然えろい。
「イって、ない、でしょ」
「うん、いい子だね一松ぅ。ご褒美、なにがいい?」
「も、挿れて、ほしい。」
「またそうやって無茶な事言う〜。慣らさないと無理でしょ。触るよ?」
 上はこのままでいっか、これはこれでえろいし。って事ですぐに下だ。中途半端になってたのを少しずつ下げていく。なんかいつも通りやったらイっちゃいそうなんだもん。自分でそうした方が刺激は少ないと思うんだけどなあ、もう無理そうだしね。脱がすのは楽しいし好きだから俺としてもおっけーだ。
 あれだけ濡れていたんだからもうこれは使えないだろうな。ベストもだし、久しぶりに一着仕立ててもいいかもしれない。今度手配しよ、ついでに俺のも作ろうかな、渋られたら六人分作ればいいじゃんって言おう。未だにそういう、お揃いみたいなのを難なく身に着けられるってすげーよな。不満を口にするのに着ないって事はないんだもん。
 力の抜けきった足を大きく開いてM字に開く。そこは勿論閉じているけれど散々我慢させたのもあって伝ってきた滴でもうどろどろだ。早くしたほうがよさそうだし一先ずこれでいけるとこまでやってみるか。濡れたそこを撫でてからその流れで指先を押し込んでいく。薬のおかげかな、いつもよりずっと抵抗が少ない。ちょっと慣らせば三本目までいけちゃいそうだ。
「っ、ん、ン、ふ…ッ」
「なに、我慢してんの? イっちゃえばいいのに。その方が楽でしょ」
 一回イったところですぐまた元気になるだろ。そういう薬を飲んでるっていうのもあるしここがすっかり快楽を拾う器官になってしまっているっていうのもある。もう我慢しろなんて言うつもりはないしね。我慢してるえろさもいいけど、イきまくってとろっとろになってるえろさも好きだよ、俺。
 けれど一松は力なく首を振っただけだった。そんな、シャツの袖噛んだりシーツ握ってないと耐えられない状態なのに。理由は聞かなくても、蕩けきった紫色が教えてくれた。俺ので、イきたい。そういう目だ。ぞくぞくしちゃう。
「…かぁわいい」
 きゅうって指に絡んでくる様があんまりにもあれでイっちゃったのかと思った。触れていないちんこは元気なままだから、軽く後ろでイった感じかな。体内に与えられてる刺激じゃなくて言葉でそうなっちゃうのがsubっぽい、というか一松。褒められるの大好きだもんな?もっともっと褒めてとろとろにしてやらないと。
 指を抜いたそこはすっかり出来上がって俺のを突っ込まれるのを今か今かと待ち構えていた。ひくりと肉が動いて中へと誘う。それ無意識だっていうんだからたまらない。おかげで俺のもすっかり臨戦態勢だ。早く突っ込みたくて自分の前を寛げてすぐにそこへ先端を押し付けて腰を進めればあつい内壁が受け止めてくれる。いつもよりも狭いけどいつもよりとろとろだ。薬ってすげーな、癖になられてもなっても困るから暫く使う事はないけども。使わなくたって一松の中はさいこーだもん。
 迎え入れてくれるのが気持ち良くって全然腰が止まらない。これ、いっか、全部一気でも。半分は耐えたし、大丈夫でしょ。ほんとにやばい狭さじゃないもんな。足を抱え直せば後は思い切り腰を打ち付けるだけ。そうしても一松に痛みはない筈だ。
 渇いた唇を舐めあげるときゅっと中が絡みつく。期待されてるみたい。えっろ。そんなんされたら応えないわけにはいかないでしょ。
「ッあ、は…っ! ん、ぁ、あ、あ、」
「ふ、すげー勢い、いっぱい我慢、した、もん、な、っ」
「ひぅ、あ、っあ!」
「…かわい、どろどろだ」
 薬の効果と、我慢してたせい。二つの要素が絡み合った結果一発目の精液は派手に飛んで一松の頬にまで届いてしまってた。セルフ顔射って。涙と涎以外でもぐちゃぐちゃになっちゃうの。どうせなら俺の精液のがいいな〜、今回はもう全部中で出しちゃうけどね。
 頬に飛んでたのを舐めとってそのまま喘ぎ声を零し続けている唇へと齧り付く。もちろん腰は動かし続けたまんまだ。苦しいだろうに懸命に絡んでくる舌がかわいくてついつい色々頑張りすぎちゃいそうだ。キスをしながら好き放題体内をぐちゃぐちゃにして。中で一度俺が出しても内壁は勿論、首に絡んでくる腕もそのままだった。全身で求められてる感じが、すごい。
「…いちまつぅ、まだほしーのはわかるし全然やるけど、一旦抜かせて」
「やだ、ぁ、ッやだ、ってば、」
 腰を引こうとしてもすかさず絡んできた足に邪魔をされてままならない。はあ、かわいい。かわいいし最高なんだけど、やりたい事、っていうか見たい事?があるんだよね。だからと言って強引に抜くわけにもいかない。結構力入れられちゃってるしね。って事は脱力させればいいわけだ。思い切り抱きつかれててもやれる事はあんだよ?
 唇を耳に寄せて、まずは軽く息を吹きかけてみる。たったそれだけで震えたり声を零したりといい反応を見せたのに追い打ちをかけるように耳全体に舌を這わしていく。形をなぞったり舌先を突っ込んでみたり、刺激を与える方法なんていくらでもある。ただでさえ耳は一松の敏感なポイントだ。どんな風にしたって悪い反応はない。それどころかめちゃくちゃいいんだろうなって事は体内の蠢き方や声、それと俺のシャツを握りしめてる強さでわかる。もお、痕残っちゃうじゃん。
 けどこれだけじゃ完全に脱力、イかせるには弱い。時間をかければまあいけるだろうけど、今回はもう少してっとり早く。腰をぐりぐり、一番奥に押し付けるように動かしてやれば元々なかった余裕が声から失われていった。だめ、っていっぱい混ざってるそれはなんだか酷い事をしてるみたいでちょっと興奮する。実際悦んでる部分のが大きいってわかってるからだけど。
「ぁ、だめ、あ、あっ、ッ〜〜〜!」
 ぎゅうって、腕も足も、勿論中も。全部でいろんなところを締め付けた後に身体全体から力が抜けた。ぐにぐに動いてるのは中くらいだ。所謂メスイキで敏感になっているそこはめちゃくちゃ名残惜しいけど腰を引いて全部を抜ききれば一回分の精液がとろりとそこから零れだした。ああ、はやく、塞がねえと。
 そんな考えのせいで抜いたばっかりなのにまた突っ込みそうになった。あっぶねえ、それじゃわざわざ抜いた意味がない。はふはふ息を吐いている一松の身体からはまだ力は抜けたままだ。でもまだ足りないって顔、してる。だいじょーぶ、まだやるよ。わかってんでしょ、そもそも俺まだ二回目イってねえもん。
「一松、上乗ってよ」
「うえ…?」
「そお、おまえの好きにしていーよ。で、俺の事も気持ち良くして」
 ちゅ、と音を立ててキスを落とせばわかりやすく瞳がとろりと蕩けた。


 まだまだ怠かったからか俺が横になってからすぐ、というわけじゃないけど一松は言った通り俺の上に跨ってゆっくりと俺のを飲み込んでいった。それから、暫く、こっちから何を言うまでもなく動き出した腰はただただやらしく動き続けている。ぱたりと、たまになにかしらの一松の体液が降ってくるのが楽しい。きもちいいんだなって、いろんなとこでわかる。
 腰使いは絶妙で慣れそう、ってくらいになると動きが変わる。前後だったり左右だったり、上下だったり。慣れることも飽きる事もないそれでお互いもう何回かイってる。一松のが回数は圧倒的に多い。前でも後ろでもイってんだもん、当然だ。
「上手だね一松ぅ、きもちい?」
「あ、は…っ、ン、おそ松、兄さんは? あ、」
「ちょーきもちいい」
「んん…ッ!」
「またイっちゃったの、かぁわい」
 褒めれば褒めるだけ一松の中がとろとろになっていく。俺のちんこを咥えこんでいるそこはもちろん、頭の中も。俺はDomだから体感した事はないしよくわかんないけどSubにはそういう状態があるらしい。一般的にサブスペースと言われるそれはとにかくふわふわでめちゃくちゃ満ちている状態らしい。前に一松に聞いた感じだとそんなだったはずだ。本人もはっきりとは覚えてないらしい、まあそうか。大抵セックスの時だしいろんな意味で頭回ってないもんな。
 多分それに、入ってるんだと思う。どこか焦点の合ってない紫色はどろっどろに甘い。喘ぎ声もそう。瞳に負けないくらい甘ったるくて、ハートマークのひとつやふたつついてそうな声。こっちまで頭の中がおかしくなっちゃいそうだ。こんな状態の一松相手に俺まで理性飛ばしたらもう駄目でしょ、絶対やばい。
 とっくに薬は抜けているだろうし、殆ど限界だろこれ。それでも尚一松が続けてるのは多分褒められ続けてるからだ。そろそろ切り上げねえと。ついぽんぽん褒めちゃう。これはDom側の性質だな、うん。
「…一松、満足した?」
「ん、っ、あんたは、」
「俺はおまえに聞いてんの」
「は…っした、」
「俺もした。じゃあちゅーして終わろ。おいで?」
 ぎりぎりだったのもあって殆ど倒れ込むような形で身体くっついて、次いで唇もくっついた。こっちの動きも緩慢だ。でもしたくてしてるっていうのがわかる。ちゅーすんの大好きだもんね。
 口の中は一松に任せてしまうとして、俺はこっちだ。最後に出させてもらわないと。終わるにしても流石にイってない状態では終われない。両手で薄い腰を掴んでキスの邪魔にならない程度に揺さぶる。細やかといえば細やかだけど体内の動きがすんごいからこれで充分。俺の精液でどろどろになった内壁がぐにぐに絡んで否応なしに射精を促される。そのまま中で出せば舌先が震えて絡んでいた舌がゆっくりとほどけて唇も離れた。銀色が繋がっていたのは一瞬、すぐに切れたそれはぺたりと顎に落ちた。
 抜いた途端に完全に力が抜けた身体を横たえてまだまだあつい身体をぎゅうと抱き締めた。汗ばんでる肌が手に馴染んで気持ちいい。俺も汗だくだし、上脱いでればくっつけてもっと気持ちよかっただろーな、残念。
「お疲れ様ぁ、すげー気持ちよかった」
 いっちばん最初にベッドに押し倒した時みたいに額に唇をくっつける。その時と全然味が違う。めちゃくちゃえろい味がする。汗だけじゃなくて一松そのものの味がつよい。セックスの後って感じの独特な味がする。部屋に満ちてる空気もそんなだし、シーツの汚れ具合も当然そうなってるし余計にそう思うのかも。
 するする髪の毛を梳きつついろんなところにちゅっちゅしてたら腕の中で楽しそうに笑う声がした。いい事だ。ゆーっくり、戻ってきてる感じ。
 かわいくて口にもしたくなったからほんの少し腕の力を緩めると一松の方から口づけてきたから離れてすぐに今度は俺から捕まえた。こっちはえろい味じゃないな。一松の味、ほんのり甘め。いつもの味。
「もーちょいここでいちゃいちゃしたら風呂行こっか。全身きれいにしてあげる〜」
「…おそ松兄さん、それ好きだよね…」
「好き〜いいじゃんおまえもされんの好きでしょ? いっつもそういう顔してるよ」
「まじか…まあいいや、あんた相手なら」
 するりと擦り寄られてまた顔が見えなくなってしまった。俺に見えるのは真っ黒い髪の毛くらいだ。ふわふわのきもちいいやつ。こっちからすんのはえろい匂いだ。
 あ、風呂の用意お願いしてないや。折角だからちゃんと湯張っていちゃいちゃしたいんだよなあ。まあどうにかなるか。お湯たまるまではシャワーできれいにしてやろう。だからまだ、もうちょっとだけ。
 ふわふわの中の旋毛に口を押しつけたらまた腕の中で一松が笑った。


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