とぽとぽ、空洞になっている中にローションを流し込んでから試しに人差し指を突っ込んでみる。ねっとりと絡みついてくる中身はやわらかくて、なるほど、これは気持ち良さそうだ。開封して洗った時も思った事だけどローションのありなしで全然違う。ローションってすげーな。いや散々お世話になってるから知ってるけど。
 競馬場で何回か一緒になった名前も知らないおっさんに一度も使った事がない、と零したら昨日くれたやつだ。明日あれだろ?オナニーの日だろ?とか言ってたけど大概アレだ。俺は何とも思わないけど大抵の相手には嫌そうな顔されるだろうし通報されたっておかしくないぞおっさん。どうでもいいけど。封の切られていない新品の、多分定番のオナホール。正直使う事は一生ないんじゃないかとすら思ってた。ヤりたくなったら一松といちゃいちゃすればいいし、一人ですんなら手で充分だ。それになんせ金がない。そこに使うなら他の事に使いたい。ビールとか。パチンコとか。
 でも貰ったからには折角だし、って事でさっそく使ってみてるわけだ。ラッキーな事に家には誰もいない。まあ見られたとこで俺は気にしないけど見たやつがうるさいしいないに越した事はない。あ、看板立ててねーや。まあいいか、帰ってきたら音でわかるから誤魔化せんでしょ。
 一旦それを置いてズボンもパンツも脱いで剥き出しになってたちんこに手をかける。どう触ったら気持ちがいいとか、そんなの今更考えるまでもない。手が勝手に動くのに任せてしまえばいい。それよりも大事なのはオカズだ。カノジョを借りてくる事もしてないし人の雑誌を漁る事もしてないから自分の妄想に頼るしかない。
 つっても、そんなの一松とヤってる時の事考えればよゆーだ。あの、目も声も中も全部がとろっとろになってるやつ。ぽろぽろ涙をこぼして縋って喘いでる姿。それで俺の名前を呼んでるのを想像しちゃえば一発だ。勃ち始めたそれに手で刺激を与え続ければすぐにそれなりの硬さにまでなる。
 空気を抜いたオナホの入り口に先っぽを宛がって、どきどきしつつも恐る恐る中に沈めていく。ぬぷぬぷ沈んでいく感触も、やわらかい壁が締め付けてくる感触も確かに気持ちいいし、ぞわぞわする。けどなんか、ものたり、ない?間違いなく気持ちいい、射精感だって高まってる。それでもなにかが足りない。
 例えばくっついた肌の熱さだとか。爪がたてられて背中に走る痛みだとか。揺さぶれば揺さぶるだけひっきりなしに零れて鼓膜を揺らす声、だとか。そういうの。一松をイメージしてしまったからからすげー中途半端に感じる。本物を知ってるから、足りない。どうしても本物と比べてしまう。これ、相手がいる奴はどうやって妄想すんのが正解なんだろ。結局本物に会いたくなっちゃうやつじゃん。
 ぎゅっと強めに握ってみても一松の中とは程遠くて、よく知ってる気持ち良さとは質が違う。扱けば扱くほどき気持ちいいのに。ちょっともやもやする。違和感はあるけど気持ちいいものは気持ちいいし刺激を与え続けてればちゃんと出す事はできる。後処理が少しでも楽なように全部をオナホの中で出し切って、一息。ゆっくりと中身が零れてしまわないように引き抜いていく。入り口と先っぽを繋ぐ精液の糸もそんなにえろさを感じない。これが一松だったら最高にぞくぞくすんだけどな。
 あー、どーしよ。一松に会いたいしぐちゃぐちゃにして抱きたい。あとこれ、片付けがめちゃくちゃめんどくさい。なんだっけ、洗わなきゃいけないんだっけ?もう使う事なさそうだしこのまま捨ててもいいんじゃねえの。そうするにもなんか、適当にビニール袋を調達しなきゃなんないのか。やっぱりめんどくさい。手ならティッシュがあればそれで済むのに。それで手を洗えば終わりだ。
 さて、どうしたものか。片付ける以外に道がないとわかっててもどうしてもめんどくさくてぼーっとしている間に玄関の引き戸が開く音がした。窓を開けてなかったら気がつかなかったかも、ってくらい丁寧な開け方だ。そんな風にする奴はこの家にはひとりしかいない。次いで聞こえ始めた足音でもう確定だ。ぺたぺた鳴る裸足特有のそれはこども部屋の前で止まってぴったりと閉じていた襖がやっぱり丁寧に開かれた。
「うわ…」
 表情もまさにうわって感じ。それがめちゃくちゃかわいい。他の奴じゃなくて、一松だからこそだ。おんなじ顔してるはずなのに感じる印象が全然違う。看板は立ててなかったけど、汚れたらめんどうだなと思って下全部脱いでるからなにしてるかなんて一目でわかったんだろうな。触りたいと思ってた相手の登場は俺の事を高揚させる。楽しそうな事、思いついちゃったじゃん。どうしてくれんの。これもうするしかねーよ?
「いーちまつくん」
「なに。っていうか、するならちゃんと看板…」
「じゃあそれ、立ててからでいいから。おいで」
 立てて出てくんじゃなくて、呼ばれる。それでもう、看板とは違う事をするっていうのは予測できてしまったんだろう。一松の顔に赤色が混ざる。それでも押し入れから看板を引っ張りだして部屋の前に置いちゃうんだからかわいい。なにされるか、わかってるくせに。つまりそういう事だ。まあ今回はそんな一松が想像してないだろう事もしちゃうんだけどね。だってこんなおもしろい玩具があるんだもん、遊ばないともったいないでしょ。
「いいこだねいちまちゅ〜 じゃここ座って」
「…それ、しまわないの」
「どうせ使うんだしいーじゃん」
「つか…まあ、そうだろうけど…」
 散々触ったり舐めたり突っ込まれたりするからかちんこが出しっぱなしでも照れたりはしてくれないらしい。銭湯でも見てんだしそりゃそうか。そーゆうとこも好きだからいいけどね。剥き出しだからかちょっとだけ居心地悪そうにしてるけど言った通りに一松は俺の足の間に腰を下ろした。すかさず抱きしめるみたいに腕を回してさっそく片手をゴムのゆるいジャージの中に突っ込んでまだどうともなってない一松のちんこをパンツ越しに撫でまわす。
「は、っ…いきなり、」
「誰か帰ってきて中断とか嫌じゃん。一松ぅ、触りにくいから足もーちょい開いてよ。あ、なんなら脱いじゃう?」
「ん…脱ぐ、から、撫でんのやめて…」
 邪魔になんないよう上半身をぎゅうと抱きしめて、一松の肩の上に顎を乗せる。これなら脱いでるとことか、そういうのがよく見える。ゆるめのジャージに隠されてた足が姿を現しただけで興奮するから好きな相手ってすごい。いつもどおり、ジャージとパンツまとめて脱いでるからこれで一松の下半身は俺と一緒、丸出しだ。
 顎はそこに乗せたまんま、右手でゆーっくり上下に扱いてやれば震えた声がそれに合わせて零れる。まだ声は小さめだ。けど硬くなんのは少し早い。なんだろ、ちょっと興奮してんのかな。自発的に捲られてるシャツの裾の中に手を入れて一松の手をまえたらぴくりと身体が震えて、それから顔が傾けられて潤みだした紫色が俺を映す。ねだられてるってわかったから求められるままにキスをして舌を口の中に滑り込ませた。
 体勢が体勢だからいつもみたいにはできないけどなんとか舌を絡めてやると手の中の熱さが増してくのがわかる。そういうわかりやすいとこもかわいい。かわいくて、きつくてももっとしてやりたくなっちゃう。でも今回のメインはこれじゃないし駄目だ。これだけ硬くなってればもういけるだろ。
「ん、一松。今日さあ、珍しーもんがあんだよね」
「珍しいもの…?」
「そお、これ
 たまたま入り口側からは俺の身体で見えてなかっただろうし、ここに座ってからも全然気にしてなかったみたいだから今の今まで気がついていなかったらしい。目の前に現れた筒状のそれがなにかはさすがにわかったらしい。世話になる事がなくたってそりゃわかるよな、男だもん。指を入れてみるよう促すと右手の人差し指をゆっくりと中に沈めていく。どきどきしてるのは服の中につっこんだ手が拾う鼓動でよくわかる。
「う、わ、すご…」
「これにさあ、ちんこ突っ込んでみたくない?」
「……」
 返事はなくて、喉仏が大きく上下しただけだった。けどそれと、ずっとオナホに視線が注がれたままだからどうしたいかはちゃんとわかる。そりゃ興味あるよね、わかるわかる。ましてや童貞で、人の中とか知らないんだもん。これで卒業できるわけじゃなくても、そりゃあ入れてみたいよな。
 ぐ、っと空気を抜いてからちんこの先に押し付けたらとろりと中から精液混じりのローションが零れたけどただ一松の事を汚しただけだからいいや。ああ、そういや一回使った後だって言ってねーな。後で、もっと効果的な時。教えてあげよ。垂れたそれごとまとめて、ゆっくりと一松のを飲み込んでいく。
「ふぁ、あ、あ…ッ!」
 ぎゅっと服の中で痛いくらいに手が握られてびくびく身体を震わせて。はじめてのきもちよさにぐるぐる混乱してる、って感じ。表情も蕩けきてない、怖がってる感じが伺えるようなやつだ。いいけどね、完全にこれに浸られて慣れられても困る。蕩けんなら俺ので蕩けてほしい。しっかり根元まで飲み込んでからやわやわ揉むとどろどろになった内壁に絡みつかれるのがきもちいのかぼろりと大粒の涙が頬を滑った。
「や、っあ、あ、それ、やだ、あ!」
「じゃあ、自分でする? そうしてくれたら俺もおまえの事触れるしうれしーんだけど」
「さわってくれる、なら、する」
 なにその理由。自分のペースで気持ち良くなりたいからとかそういうのじゃなくて、俺に触ってほしいからなの?うわ、すげーきゅんてなった。たまんなすぎてできるなら今すぐ突っ込んでぐちゃぐちゃにしたいくらいだ。勿論そんなことはできないからじっくりたっぷり、とろっとろになるまで慣らしてやろうと思う。そうすれば突っ込むだけで自ずと一松はぐちゃぐちゃだ。
 オナホに手が添えられたから俺は手を離して代わりに一松の下腹部に触れる。オナホから零れる中身のせいで濡れた毛をなんとなく指先で遊びつつ手が動き出すのをじっと待つ。触りたいし触るけど、自分でやってるとこも見たい。おずおずと動き出した手はめちゃくちゃゆっくりだった。それでもちゃんと気持ちいいんだろう、小さな喘ぎ声がぽろぽろ零れ落ちていく。普通に手でしてる時よりは大きいけど、セックス程は大きくないくらいの声だ。
 耐えるみたいに閉じられた瞼を縁取る睫毛がたまにふるりと揺れてぎゅっと眉と眉の間に皺ができる。きもち、よさそう。かわいい。右手はオナホを握ってるけど左手はさっきからずっと俺の手を握りっぱなしなのもかわいい。けど、あんまりこれが癖になっても困るんだよね。突っ込まれるよりイイとか、そういう。だからそろそろオナホに集中してんのをどうにかさせてもらおうかな。
「一松、そのままでいいからもーちょっとだけ俺に背中預けて、後ろ触りやすいようにして」
「ぁ、は、っ、こう、」
「そおそお、いい感じぃ。じゃ、触るな?」
「…ん」
 左手にまた力が入ったけどそれがオナホからの刺激に耐えるためじゃなくて俺からの刺激への期待だって、わかる。なんでだろ、なんかそういうのわかっちゃうんだよね。一松相手だからかな。期待に応えるためにまだ閉じてる、けれど肌を伝い落ちてきた体液やローションで表面が濡れたそこを人差し指でくるくると撫でてから少しずつ指先を中へと進めていく。オナホと違って熱い中は、ただそれだけで俺の事を煽る。はやく突っ込みたい。
 いくらローション混じりとはいえ伝ってくるのだけじゃ足りない。でも俺の左手は一松に握られてしまっているから傍らのローションのボトルを手に取るのは難しい。その為に手を振り払うのもなんかやだし。こんなしがみついてきてくれてんのに。となるとオナホの中のをもーちょい垂らしてもらうしかないか。最初に入れたローションと、一回分の精液。ちょっと減っても滑りづらくなったりはしないだろう。
「一松、それ、ちょっと広げて」
「ひろげる…?」
「そ。そのまま入り口んとこから指入れて、オナホとちんこの間に隙間作ってほしいんだよね。中のローションちょっと分けて」
 やらかい素材だしちょっと広げても痛みを感じる事はないっしょ。多分使ってる一松だってわかってるだろうけどホールの中に指を入れる動作はどこか慎重だ。俺が左手を使えないのと同じように一松も左手を使えない。右手で支えるのも指を入れるのもやらないといけないわけだ。なんとか差し入れられた指がホールの内壁を押して、できた隙間から白濁がとろりと零れだして肌を伝い落ちていく。
「ん…っ」
「なに、この感触もきもちいいんだ? じゃあそんな一松くんにイイ事教えてあげよっか」
 伝ってきた液体が指に触れたのを確認してずっと体内でゆるく動かしていた指を引き抜く。それで一回、その指で垂れてきたのをかき集めて指を挿れたので二回。一松が声を上げるたのが楽しくてもっと聞きたくてぐるぐると指で中を更にかき混ぜていく。ぐちぐち鳴ってんのはローションと俺の精液、どっちかな。
「そん中、とろとろだろ?」
「あっ、ン、すごい、してる、」
「それさあ、一回使った後だからローションに俺の精液も混ざってんだよね、つまり、」
 ぐるりと一際大きく指で円を描くとそれに比例して大きな音が鳴る。ぐちゃって音だけじゃない、一松の声だって今日イチ大きい。ちゃんと意味が伝わったんだろう、中がきゅうって俺の指に絡みつく。指についてるやつですら欲しがられてるみたいだ。あと、もっと奥に誘うような、そんな締め付け方。
「今おまえの中にあんのは俺の精子だよ」
「っ、あ、そんな、」
「うん?」
「そんなこと、言われたら早く奥にほしくなっちゃう、」
「…はあ…おまえさあ、それは駄目でしょ」
 とろとろにしてやろうと思ってたのに俺まで早く奥にいきたくなっちゃったじゃん。あんな事言われて耐えられる男がいんなら教えてほしい。声も、揺れてた紫色もタイミングよく零れてった涙も全部が全部駄目だった。身体の奥が一気に熱くなってどうしようもない。けどまだそんなに、精々指二本分くらいしか慣らしてないから挿れんのは無理だ。でもとにかくなにかしたくて濡れて光る唇に齧りつく。もーちょい、しっかりしたいな。いっかもう、一度両手とも離しちゃお、で、もっと、いっぱい。
 齧りついたばっかだけど唇も全部離して一松の事すぐさまカーペットへと押し倒す。オナホには手が添えられたままだったから抜けてはいない。けどさっき垂らして貰ったのはカーペットまで到達しちゃってる。これもう染みになってんだろうな、うまく誤魔化せる程度だといいけど。そんな事より今はこっち。して早々に解放しちゃったから物足りなさそうな顔してんのをどうにかしてやんないとね。俺だって不完全燃焼だもん。
 顔を寄せただけで大きく開かれた唇に遠慮なく自分のを重ねてゆるりと舌を絡めていく。キスを続けつつも右手で太ももを撫ぜて、うっすら汗ばんだ内側のやわらかさを楽しみながら少しずつ上、足の付け根の方へと手を滑らせる。大きく開かれた足は当然邪魔になる事もなくてすぐに濡れたそこへと辿りつく。
 ちょっと前まで指二本咥えてたんだからまた二本受け入れるのはスムーズだ。とろつき始めた体内と口の中をかき混ぜてる内に三本目もどうにか中へと潜り込ませた。少しきついけど、むりじゃない。痛みを感じる程でもないはずだ。
「ん、ん、っ、ン、」
「いちまつぅ…手、止まってる」
「は、ぁ、っだって、」
「ちゃんと使ってよ、勿体ないじゃん」
 支えるだけになってた手が動き出すとぐちゃって音がなる。指を中で混ぜてもぐちゃって鳴るし、二種類の粘着質な音が聞こえるのは新鮮だ。前でも後ろでも気持ち良くなってる、その分一松の声だってたくさん零れ落ちる。零れる程度のそれでも俺にとっては充分だ。どんどん身体ん中に溜まっていってあつい。ついさっき一回出したとは思えないくらいガッチガチになってんだけど、やっぱ本物が一番だ。
 どきどきしてるし、早く突っ込みたくてうずうずしてる。それでもなんとかじっくり丁寧に、痛みなんて感じないようにとろっとろになるまで。結ローションを引っ張り出してくる事はなかったけれど時間をかけたおかげでそこは俺のをいつでも受け入れられるくらいにやわらかい。
「あ、ッ!」
 ぐぱりと大きく指を開いてみてもそこはすんなり形を変えた。うん、大丈夫だな。これなら痛くもないだろうし傷がつくような事もない。それで俺もちょーきもちいいし一松もちょーきもちいい。かんぺきだ。
 扇風機程度じゃ夏の気温も興奮して上がった身体の熱もどうにもできなくて気がついたら汗だくだった。べたべたくっついて脱ぎにくかったTシャツから頭を抜いて脇に放る。汗で濡れた肌を直接扇風機の風が滑るのは少し寒いけどどうせすぐに気にならなくなる。これからもっと熱くなんだもん、それどころじゃない。
「…あれ、そういやおまえ結局一回もイってなくない?」
「きもちいいけど、なんか、だめ、」
 中に指突っ込んでる時、そういう動きはしてなかった筈だ。暑い中ひたすらやらかくするのに専念してたからちょっと曖昧だけど多分そう、ヨさそうな声は聞こえてたし物足りなさを感じつつ俺がイけたくらいだから余裕でイけると思ってたんだけど。
 とりあえずまずは脱がしてやんないと。一松だって俺と同じくらい汗だくだ。横になってるしあんまり力が入ってない上に汗が加わって脱がせるのも一苦労だ。一苦労だったけど苦労をした分やたらえろく見える。多分イきたいだろうにイけなくてくったりしてるのは勿論、もどかしそうな表情がやばい
「…触んね」
「ん…。ひ、あ、ッ!」
「こんなヨさそーな声出してんのにイけねえの?」
 こくこく首を縦に振る一松は耐えているようにも嘘を吐いてるようにも見えない。まじかあ、いいのにイけないってどんだけしんどいんだろ。つーかそれってさあ、もしかして。そういう事なんじゃないの?はあ、とんでもない身体になっちゃったね本当。
 やわーくオナホを揉みつつひくひく俺の事を誘ってるそこにちんこの先を押し付けるとはじめてオナホに挿れた時のどきどきとは全然違うどきどきでいっぱいになる。何回も突っ込んでるのに、期待と興奮、それとあとやっぱり、嬉しい。いろんな感情がぐるぐるして心臓がうるさい。
 たっぷり時間をかけて慣らしたから、大丈夫。先を埋め込むだけじゃなくて一気に全部。根元までしっかり体内に押し込むと手の平の中、オナホ越しに一松のちんこがびくびく震えたのがわかった。中もぎゅうときつく俺のに絡んで締め付けてくる。出てんのは見えないけどこれだけ情報があればイってるってわかる。
「は…っ、やっぱ、そーゆう事ぉ…?」
「ッ、あ…?! あ、っあ、」
「おまえさあ、もう前でイけないんだ?」
 中を思い切り穿てば肌と肌がぶつかって乾いた音が鳴った。それでやめないで何回も腰を打ち付ければちんこは震えっぱなしだし中もぎゅうぎゅう絡みっぱなし。ずーっと、際限なくイってる感じだ。持ってるだけじゃなくて揉みしだいてやれば部屋に響いてた嬌声が更に一段階高くなる。イけないけど、気持ちいい事には変わりないもんな。
「あ、あ! ま、だ、め、っあ、あ!」
「かわい…もお俺に突っ込まれないとイけないんだねいちまつぅ…」
「にゃ、あ、あっ、ん、ゃ、止まんな、あ、ッ」
「いいじゃん、そん中に出し切っちゃいないよ。ぜーんぶ、さ、っ」
 もっと思い切り動きたくてそっとオナホから手を離してみたけど大丈夫かなこれ。入ってるだけでも一応イイだろうしこのままのがいいと思うんだけど。両方の膝裏に手を差し入れてがっと一松の頭の方に持ってくみたいに持ち上げて角度を変える。バック程じゃないけどこっちのが動きやすい。
「あッ、これ、抜けちゃ、あ、あ!」
「ん、じゃあ抑えといてよ、」
「あ、っあ、ん、は…ッ!」
 やっぱ駄目か。そうだよなあ、ローションだって残ってるし今だって中に一松が精液を吐き出してる真っ最中だ。ぬるぬるしてんのがこの角度で耐えられるわけない。右手が伸びてきたのを確認してから更に動きを荒くすれば次第に考えられる事が殆どなくなっていく。きもちいいとか、かわいいとか、すきとか、そういうので頭ん中がぐちゃぐちゃになって白くなって。どうせ出すなら一番奥で出したくて身体を更に折りたたむように体重をかける。一際高い声が出たけどしんどそうな色は混ざってないから、だいじょうぶ。しってる。
 その分近くなったどろどろになった顔がかわいくてたまんない。声はこのまま聞いていたかったから邪魔にならない程度、下唇をやわく食んで零れた唾液を舌で掬って。顎のラインのすぐ下に強く吸いついて赤色を残す。
「は、いち、出る、」
「あ、あっ、あ、あ…っ、」
 今届く限りの一番奥へと精液を吐き出したら今日一の強さで中が締まって、残ってるのまで全部吸い取ろうとしているみたいに蠢いた。俺としては全部出し切りたいから好都合だ。でも気持ち良すぎるからこまる。一松の首筋に顔を埋めつつそれをやり過ごして中の動きが大人しくなってからようやく上半身を起こした。あつすぎてぼたぼた汗が一松の身体の上に落ちてくけどどうしょうもない。風呂、入んないと駄目だなこれ。
 汗で額に張り付いた髪の毛を適当にかきあげてゆっくりと体内からちんこを取り出して、中から精液がカーペットに零れ落ちる前になんとか赤いシャツを滑り込ませることに成功した。あっぶね、これ以上カーペットに被害を出すわけにはいかない。めんどくさいもん。
 いろんな要素でぐったりしてる一松は寝転がったまま、開いた足を閉じる事すらしない。すごい絶景だ。えろい。でもかわいい。水取ってきてやりたいけど今全裸だしなあ、どうせ水飲むんなら二人で下降りて、飲んだ流れで風呂場に行きたい。きっともう少しすれば回復するはずだ。いつもならそうだし。
「あ、そうだ、これ…」
「あ…? な、に」
「オナホ、外さないと」
「んぁ…ッ! ま、っ今、あっ…!」
 たっぷり出された精液のおかげで抜くのはめちゃくちゃスムーズだ。ただ、オナホなだけって抜く時すら当然気持ちがいいのがいけない。しかもちょっと強めに握られてて、ちょっと早め。久しぶりに姿を現した一松のちんこから精液が飛び出すのだって致し方がないと思う。精液は荒く息をはいて上下する薄い腹の上に落ちてとろとろと肌を汚しながらカーペットへと落ちていった。ええ…ただでさええろかったのがもっとえろくなんの…?こいつどうなってんの…?意味が分からない。おにーちゃんまた元気になっちゃいそうなんだけど…。
「…おそ松兄さん、それ」
「え?」
「手、すごい事になってるよ…」
「うっわやっべえ!」
 あまりにもえろくってオナホを思いっきり握りしめていたらしい。中が狭まったオナホからは当然のように中に溜まっていた精液が入口のところから噴き出して俺の手どころかカーペットをどろどろに汚していた。ぽたぽた落ちる精液に焦ったものの拭えるものなんてすぐには思いつかなくて。一松の紫色のシャツを手にした頃にはもう遅い。何カ所も、それも場所によっては大きな染みが残るやつだこれ。
「あーあ…おそ松兄さん、ちゃんと掃除してね、それ」
「ええ…一緒にしてくんないの…?」
「あんたのせいでしょ」
「でもこれ、おまえのだよ?」
 そりゃ俺のもちょっとはあるだろうけどさあ。殆ど一松のじゃん。俺のは今赤いシャツが受け止めてくれてるもん。手伝ってくれたっていいと思う。その方が早いしなんならおまえが手伝ってくれたほうがより元通りになってばれにくい。絶対そう。
 本当に手伝う気はないんだろう一松はやっと起き上ると赤色の上で未だ少しだけ精液を零しているそこに指で触れてなにか確認してるみたいだった。多分動いたら零れるかどうかとか、そういうやつ。カーペットを汚すのも廊下を汚すのも避けたいもんな。わかるわかる。わかるけどえろすぎるからやめてほしい。本当駄目だって。
「…言っておくけど、もうしないからね」
「…ここまで汚れたらもっかいしてもおんなじじゃん?」
 掃除しなきゃいけない事にも風呂に入らなきゃいけない事にも変わりない。だったらもっかいしてもいいと思う。おまえがえろいせいでおにーちゃんはまたすっかり元気になってしまった。責任くらいとってくれてもばちは当たらない。気持ち良くだってなれるしあれじゃん、うぃんうぃんじゃん。ほら問題ない。
「同じじゃない。それにそろそろ誰か帰ってきてもおかしくないでしょ」
「ええ…じゃあ俺のこのちんこはどうしたらいいの…?」
 零してしまわないようにだろう、もうとっくに汚れてしまった俺のシャツで押さえつつ立ち上がった一松は襖のほう、それどころか襖まで開けて廊下に出てしまう。まじでやる気がないやつだこれ。
「自分でヌけば? そういう日でしょ、今日」
 そう言い残して姿を消してしまう。そうだけどさあ、おまえがいるならおまえとしたいよ?もうオナホ使おうなんて思えないし。偽物の後に本物とヤっちゃったから余計に駄目だ。あれ、でもこれからあいつが行くのって風呂場だよな。他に行くとこなんてない。全裸だし。風呂場っつったら密室だ。それはつまり。いけるのでは?
 ささっとシャワーを浴びるだけで済ましてしまう可能性は高い。高いけど中から精液を掻き出さなきゃいけないんだからほんの少しだけ余裕はある筈だ。ぱぱっとカーペットに落ちた精液をシャツだったりティッシュだったりで拭って、男六人って事で常備されている消臭スプレーを手早く部屋中に振りまいていく。窓は元より全開…ってこれもしかして声やばかったやつか?もう今更どうしようもないし多分一松は気がついてないからいいか…?よくはないか。でもそれよりも優先したい事があるから今は考えないでおく事にした。
 扇風機をいい感じに部屋中かき混ぜるような位置に動かせばかんぺきだ。誰か帰ってきたらつけっぱなしの扇風機については咎められるかもしんないけどセックスした事がバレて怒られるよりよっぽどいい。元より家ではヤるなって言われてるのを掻い潜ってヤってんのに監視の目が厳しくなられちゃ困る。
 オナホも回収して、いーやこれ一旦風呂場に持ってこ。そうすれば洗えるし。綺麗になればどうとでもできる。あいつら買ってくんないかな。それはさすがに無理か。まあいいや、今はまず一松だ。逃げられる前に捕まえないと。洗い物を抱えて風呂場に向かう。階下に降りても脱衣所の戸を開けてもシャワーの音は止まらない。無事に捕獲に成功したのでありがたく食べさせてもらった。多少強引だったけどヨがってたからセーフだ。


 一松の事で頭がいっぱいになってて俺はすっかりシコ松看板の事を忘れていた。結果あからさまに換気してごまかそうとしている理由は簡単にばれた。そんな状況とぐったりした一松の姿。家でするのを改めて禁止されたのはその日の夕方の事だった。



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