玄関をあけると居間からの明かりが辛うじておれの足元を照らした。
元々慣れきった家の玄関、しっかりと電気がついてなくてもこれで充分。
電気の点いている居間からはなんの音もしないし、誰の気配もない。
一応我が家では電気を点けっぱなしにしておくと母さんに怒られるのでみんな消す癖がついている。
それでもおれはたまに忘れて母さんやチョロ松にどやされたりするけれど。
今この家にいるのはひとりだけのはずだ。
立て続けにはいった今日は遅くなる、という連絡は家族のほぼ全員からだった。
そう、ほぼ、全員。
遅くならないやつもいる、というかそもそも家から出てないやつもいることを知っていた。
だからこうしてパチを切りあげて帰ってきたわけだし。
だって、他のやつらがみんな遅いってことは家にふたりきりってことだろ?
それにあいつ、寂しがり屋だから。
日中家に1人はよくあるかもしれないけど、夕方から夜にかけて一人になることはあんまりない。
だからこうして居間の電気が点いているんだとおもう。
他に誰もいない家で、ひとり台所に立つのはしんどそうだ。
多分おれは無理。
玄関を開けた時からふわふわ漂ってきていたにおいを追いかけて、居間を抜け台所へと向かう。
少し寒いそこにはやっぱり。
「…おかえり、はやかったね?」
「ただいま!いやあ、おまえ家にひとりみたいだったからさ」
後ろから薄い身体を抱きしめて捕獲する。
捕獲もなにも逃げようとする素振りは一切ないけど。
一松の身体からは一松のにおいと、カレーのにおいが混ざって不思議なにおいがした。
とりあえず色々な意味で食欲がそそられる。
肩に顎を置いて覗き込めば、鍋の中ではカレーが煮立っていた。
最初からにおいでわかっていたけど、現物を見るのとはやっぱり違う。
一松がおたまで一混ぜするとぶわりとカレーの匂いが宙を舞った。
「カレーにしたんだ」
「おれ、これくらいしか料理らしい料理作れないし…嫌だった?」
「全然?食うのすげー楽しみ」
まだ火を使ってるみたいだから念の為、もったいないけど一松の身体を開放する。
万が一怪我されても嫌だしおれがするのも嫌だ。
少し距離を置いて、改めて一松の姿を上から下まで眺めてみる。
服装はいつものパーカーにジャージで、珍しくもなんともない。
ただ、そこにエプロンとおたまが追加されただけで破壊力がやばい。
エプロンはべったべたなフリルたっぷりのエプロンなわけでもなく兄弟共有の黒いシンプルなものなのに。
共有とはいえ付けるやつなんてほとんどいないからほぼ新品のままだ。
エプロンにおたま、それはまるで。
「新妻みたい」
「養ってくれるならいつでも嫁にいってあげるけど」
「まじ?そしたらあれもやってくれる?」
「…お風呂にする、ごは」
「おまえで」
言葉を遮るように答えを出してしまったのは仕方がないと思う。
おれにとっては一択みたいなものだし?
というか新婚なら殆どのやつが相手のこと選ぶって。多分。
だって風呂よりも飯よりもずっと魅力的じゃん。
「…二択なんだけど」
「だめ?」
「だめ」
「…じゃあ風呂にする」
「そんなあからさまに拗ねないでよ。風呂、もう全部用意してあるから」
ぜんぶ、ってなんだ。
とりあえず背中を押されるままに脱衣所に行ってやっと理解した。
着替えからタオルまで、まさしく全部用意されている。
おまけに普段使わない、どこかに眠っていたんだろう入浴剤まで。
えええ、なにこれ、ずるくない?
なんかもう愛しかなくない?
一松がいれてくれた風呂に入って一松が用意してくれた服に着替えて、一松が作ってくれたカレーを食べる。
一松の愛が詰まりすぎてて幸せでしにそう。
けどおれ、欲張りだからもっと欲しくなっちゃうんだよね。
「一松!」
「え、なに。なにか足りなかった?」
「一緒にはいろ」
わざわざ台所から脱衣所まできた一松の腕を捕まえてそう告げれば一松はぱちりと大きく一度瞬きをした。
やっぱりこいつ、目ぇおっきいよなあ。
普段眠そうにしているからわかりにくいだけで、トド松とはれんじゃねえの。
とりあえず表情に拒否の色は見られないから、これはいける。
「駄目?」
こいつがおれの、こういう表情や声に弱いのを知ってる。
トド松が得意としてるような、甘えるようなあざといの。
わざとそれを作ってることだってわかっているくせにおれが相手だから拒否できない。
かわいいやつ。
「……いいよ、台所片づけてくるから先入って待ってて」
そう行って台所に戻っていくのはしっかり小走りで、ああもう、ほんとかっわいいな!
だって、早く一緒に入りたいってことだろ?
結局一松がおれに追いついたのは服を脱ぎ切ったくらいの時だった。
いくらなんでも急ぎすぎだろ、大歓迎だけどね。
家の風呂にふたりで入るのは、まあなくはない。
けれどそれは大抵深夜とか、誰もいない真昼間とか、こんな夕方は小さい頃以来な気がする。
外から聞こえてくる音が全然違ってそれだけでかなり印象が変わる。
簡単に、けどちゃんと頭と身体を洗って。
男ふたりで入るには家の浴槽はそこそこきつい。
ましてやいつもみたいにくっついて入らないで、向かい合って入ってるから余計にだ。
きついけど、浴槽で正面から一松を見るのは新鮮で少し楽しい。
切るのをめんどくさがっておれ達より少しだけ長い前髪は今は全部後ろに流されて、白くてまるい額がむき出しになっている。
うん、かわいい。ちゅーしたい。
ちなみにおれも同じように前髪は全部後ろに流している、邪魔だしね。
「…兄さんさあ」
「うん?」
「でこかわいいね」
「ちゅーしたいって?」
ふは、なにその顔かわいい。
言い当てられたのが恥ずかしかったのか、一松は口元を抱えていた膝に埋めてしまう。
自然と丸まった身体はどこかおれにスペースをくれてるように見えた。
そんな縮こまらなくてもいいのに、おれ、おまえが相手ならぶつかっても怒ったりしねーよ?
他の兄弟ならわからないけど。
そもそも他の兄弟とこんな狭い湯船に入るのはあんまり想像したくない。
「なあ、やっぱいつもみたいにしよーよ」「…なにもしない?」
「しないしない、おれ、今はただ触れ合いたい気分」
一松とのセックスはもちろん気持ちがいいけど、ただ肌をくっつけてるだけだって気持ちがいい。
好きなやつ相手だもん、当然だ。
もそもそと動き出したものの、立ち上がろうとはしないのが一松らしい。
おれに遠慮してるせいか動きがだいぶ鈍い。
というわけで手助け含め手を伸ばして、多少強引に普段ホテルとかでやっているように後ろから抱える体制へと変えた。
お互いの身体の間にお湯がないと思えるくらいにくっついて、思い切り抱きしめる。
「あー…落ち着く」
「なんかもう、定位置みたいだよね」
「いーね定位置。さいこー」
そのまままったりとだらだら会話をして、一松がのぼせてしまう前にあがることにした。銭湯とかよりもゆっくりとした入浴だったけど、それでも時間は早い。
まだまだふたりきりは終わらない。
浴室と脱衣所じゃ当然温度に差があるわけで、自然身体からは湯気があがる。
一松の身体からほわほわ上がってる様がなんだかかわいく見えるのは恋人の色眼鏡がかかってるからかな。
まあなんでもいいや、とにかくかわいい。
「いちまつ」
振り向いた顔に顔を寄せて、まだむき出しのままだった額へ音を立てて口づける。
念願が叶って満足だ。
おれと一松、それと他の兄弟の身長は伸び方が変わってなければ多分一緒のはず。
学生の頃学校で測ってたときは毎年毎年ぴったり同じだったから今もきっとそうだ。
その中でも1人だけ猫背な一松に対しては比較的でこちゅーがしやすい、もちろんそれでも背伸びは必須だけれども。
「おそ松兄さん」
「はいはい、今度はお前の番な」
タオルをゆるくひかれたままに少しだけ前かがみになれば額に一松の唇が触れる。
んん、なんかこれ、されるのは気恥ずかしいな。
それが顔に出ていたのか、一松が笑った。
「おれ、兄さんの照れてる顔すきだよ」
「…そりゃどーも」
「ひひ、かわいっん!」
言い切られる前に白い頬を両手で包んで唇を重ねた。
かわいい、もまあ褒め言葉だしいいっちゃいいんだけど。
やっぱりおれとしてはおまえにかっこいいって言ってもらいたいんだよね。
おれがかっこよくておまえがかわいい、それでいいじゃん?
男としてかわいいだけじゃ嫌なのはわかるけど。
「…ずるくない」
「あは、なにが?」
「…照れ隠しとか随分かわっぷ」
「…一松?」
「……その顔はかっこいいよ。もういいでしょ離して」
ばっかだなあ、そんな顔されたら離せるわけないのに。
二回繰り返した言葉を遮るためのキスじゃなくて、今度はもっと、舌は使わないなりにしっかり口付ける。
お互いスイッチが入らない程度のそれも気持ちいい。
いくらでもしてたいんだけど、如何せん風呂から出たばかりなので湯冷めしてしまう。
しかもまだ身体、そんなに拭いてないし。
ふたり揃って風邪をひくのも楽しそうだけども。
「どうする、すぐ食べるならカレー温めるけど」
「その前に一回上行こーぜ」
洗面台に置かれてるトド松のドライヤーを拝借。
銭湯にあるのだと質が悪いだとかなんとかかんとか言っていた気がする、おれにはなんのことかさっぱりだ。
ドライヤーなんて髪が乾けばなんでもいいんじゃねえの?
ほんとはここでやってもいいんだけど、座りながらのがお互い楽だし、寒さも上のほうがかなりましなはずだ。
というわけで二階にあがってソファに腰掛けた足の間に一松を座らせる。
たまにしてやるのと同じように乾かしていけばいつものぴょんぴょん跳ねた状態じゃなくて、おれ達と同じのさらさらのふわふわになる。
猫になれるからかどことなく猫っ毛なのがかわいんだよなあ。
本人は兄弟で一人だけ違うことを気にしてた時期もあったみたいだけど、それはおれがかわいいかわいい言ってたのもあって落ち着いたらしい。
「はい完成ー。お揃いだな」
「いつもパーカーお揃いじゃん…今更」
「はは、確かに。じゃカレー食いいく?」
「あんたも乾かすに決まってるでしょ、場所変わって」
さっきのでこちゅーといい、なんか今日、いろいろしてくれるな…?
でこちゅーに限らず料理とか風呂の用意もか。
一松も一松なりにこの状況を特別だと思ってんのかな。
基本的にドライヤーを使う場所がホテルなだけあって大体一松は疲れきってるからされるがまま、こんな風に交代することはまずない。
またちょっとそわそわしてきた、今回は顔見えてないからいいけども。
多分またおれ顔少し赤くなってるぞこれ。
「兄さんって、結構髪さわり心地いいよね」
「まじでー?猫の代わりなれる?にゃー」
「それは無理。おそ松兄さんはおそ松兄さんでしょ」
「いい意味で?」
「いい意味で」
ふうん、ならまあいいか。
自分で言っておいて意味はわかっていない。
一松の指が丁寧に丁寧に髪を梳かしつつ髪を乾かしていく。
もしかしたら下2人にはこういうのしてやってたのかもしれない、なんだかんだちゃんとお兄ちゃんだし。
弟でありながら兄もこなさなきゃいけないのはおれには理解することはできない苦労があるんだろうな。
おれはおれで大変だけどね、ちょっとだけ。
「はい、できたよ」
「さんきゅー、じゃ今度こそ飯?おれおまえのカレーすげー楽しみなんだよね」
「…ふつうの、どこにでもあるカレーだと思うよ?」
「そりゃ材料とか味とかはそうかもしんないけど、おれにとっては好きなやつが作ったカレーだよ?もうそれだけで充分特別だろ」
あの鍋の感じならないと思うけど、万が一まずくたって完食できる自信がある。
そういうもんじゃん?
きっと逆の立場だったら一松だって完食してくれる。
ただおれはほんっとに料理できないから挑戦することはまずないけどね!
緑色の液体になったシチューは忘れられない。
台所で2人並んで皿にご飯を盛ったり、そこにカレーを流し込んだり。
距離が近いのは寒いのもあるし単純にくっつきたいのもある。
今は両親の目を気にする必要もないし、口うるさい三男もいない。
ふたりだと広く感じるちゃぶ台について、手を合わせる。
「いただきます!」
「いただきます」
父さんや母さんが食事をしているテーブルを使うことも考えたけど、やっぱりちゃぶ台のほうが落ち着く。
ふたりなだけあっていつもの食事時と比べたら音はずっと少ないけど、それはそれで。
いつもは下手したら騒がしいにまでなるからな、まああれはあれで悪くない。
思っていたとおり、一松の作ったカレーは美味しかった。
それこそおかわり余裕なくらい。
ルーと一緒に人参も掬って、ふつうの、丸い形をしていないことに気が付く。
明らかに特別な形のそれは自分の皿を注視しても、一松の皿を見ても他には見当たらない。
「随分可愛い形に作ってんね?」
スプーンの上のオレンジは綺麗なハート型をしていた。
綺麗すぎるから多分これはくりぬいたやつ。
さすがにこれを切れるほどこいつは料理慣れはしていない。
この家じゃ母さん以外には無理だ。
いやハートなら無駄にトド松は切れそうだな、女の子受けいいんだよとかなんとか言いそう。
「…それ、兄さんのとこにいったんだね」
「うん?なに、やっぱり数量限定?」
「ひとつしかないよ」
「結果的におれのところに来たからいいけどさあ、これ、他の奴のとこに行ったらどうするつもりだったのかなー?」
帰りが遅いという連絡の中には晩飯は外で食べるやつと家で食べるやつでばらばらだった。
帰ってから食べるやつ等用にも多めに用意されているカレーはまだまだ鍋にたくさんある。
今日、おれがこれを引く確率はそんなに高くなかったはずだ。
形がハートじゃなかったらそんな気にしないど、一松が作ったハート、となるとやっぱり譲りたくはないわけで。
「カリスマレジェンドならおれの愛くらい引き寄せられるでしょ?」
「そうやって言われると勿論としか言えないけどさぁ」
結果として、今こうしてハート型はおれのスプーンの上にいるわけで。
皿にごはんを盛ったのが一松で、そこにカレーを流したのはおれだから自力で引き寄せたのだって嘘じゃない。
ハート型の人参はまわりにカレーのルーがたっぷり付着してるにも関わらず、素材の甘さのほうが強かった。
さっき一松が愛とか言ってたせいかな。
他の野菜や肉よりもしっかり噛み砕いて呑み込んで、体内へとおとしていく。
一松のあい。
完全におれの身体の一部になればいいのに。もうなってるか。
「超うまい」
「そ、よかった」
「…だからさあ、自分で愛とか言い出したのにそうやって照れるのずりぃと思うよ」
ちゃぶ台がなければすぐにでも抱きしめてキスすんのに。
食事中だとかそんなの関係あるか、ふたりきりなんだから遠慮なんてしない。
でもさすがに立ち上がってまでするのはなにか違う。
まあいいや、あとでいっぱいしよ。
今日のお礼も兼ねていっぱい甘やかしたい、嫌がってもやめてやんない。
今日が本当にずっとふたりきりだったらよかったのに。
全員あくまで遅くなるだけ、なんだもんなあ。
今から全員泊りになる可能性なんてゼロに等しい。
ふたりきりの時間は着々と流れる。
ふたりでカレーを完食して、ふたりで台所に立って。
一松が洗った食器をおれが拭いていく。
おれが洗うって言ったのにそれは拒否された、別に皿洗いくらいできるっつーの。
まあでも手が泡だらけになってるせいで抵抗できない一松にちょっかいかけるのは楽しかった。すごく。
キスはもちろんセクハラ紛いのこともたっくさんできたし?
まあ最終的に蹴りが飛んできたけど。
そこまでの勢いがないそれは当っても痛くなかった。
うんうん、おれに触られるのすきだもんな〜!
どうせ見るテレビもないし寝るにははやいけどさっさと布団を敷いてもぐりこむ。
いないんだから遠慮せずカラ松の位置を借りることにした。
居間でいちゃいちゃすんのもいいけど、やっぱり布団の中でいちゃいちゃって特別だと思うんだよね。
ふたりきりの布団は広い、とはいえおれの視界は一松側なので大してわかんないけど。
一松から見る視界だとまた違うんだろうな、けどそれだっておれでいっぱいにしてしまえば関係ない。
額をくっつけて、じっと見つめてしまえば、ほらもうおれでいっぱい。
「静かだな」
「静か、だね」
いつもならもっと、寝息とか寝言だとか、いびきとか聞こえてくるのに。
ふたりだけの部屋に響くのは互いの息遣いと声だけで、暗い視界もあってかおれ達しか世界にいないみたいだ。
なんて思ってもたまに表を車が通って台無しにされるんだけども。
ちゅ、と音を立てて目の前の唇に吸い付いてみればパジャマが少しだけ握られた。
そんな反応されると困る、かわいすぎるだろ。
回数を重ねる度に少しだけ、深さを増せば一気に。
ぎゅっと握られたパジャマは多分皺になるけど、まあいっか。
パジャマだし。
「…どーしよっかな」
「なに、が…?」
ちょっと息が上がって涙目とかもう、くらくらする。
このまま食べたい。
覆いかぶさるのはかんたんだし、抵抗されるとも思えない。
その気になればいくらでも食べれる。
けど、なあ。
頬に手を滑らせて、やわい感触を楽しみつつ親指だけは唇へ伸ばす。
唇に触れたらすぐにゆるく開かれて、んん、お兄ちゃんそういうのよくないと思うな! 誘ってるというより無意識だろうからタチが悪い。
「このままするのも勿論いいんだけどそろそろ誰か帰ってきそうだからこの雰囲気のままゆったりセックスはできねーだろうし、だったら最初からしないほうがいいんじゃね?」
「あー…それはそうかも」
隠れてするのもすげー楽しいけど、今はそういう気分じゃない。
ゆっくりじっくり溶かしていきたい気分。
開いた唇にもう一度口付けて舌で咥内をゆったり舐めていく。
舌先で上顎に触れればぴくりと震える、かわいい、うん、これ以上は駄目だな。
名残惜しいけど舌を抜いて、一度唇を離してからもういっかい。
「…寝よっか」
「…ん、そうしよ。起きてたらきりないでしょ、これ」
もぞもぞと布団へもぐると、おれの胸元に頭を押しつけておとなしくなる。
ついでにしっかり抱きつかれた。
抱き枕にされてるような、抱き枕を手に入れたような。
どっちにしろ一日の終わりまで至れり尽くせりだ。
「…はやい」
「やめてそういうこと言うの。おまえにくっつかれたらはやくもなるわ」
「そっか」
そうだよ」
腕を回して更にくっつけばおれだけじゃなくて、一松だってはやくなってるのがわかる。もうずっと一緒にいるのにくっついてるとこうなるんだもんなあ。
こうなったら一生こんな感じなのかも。
はは、ほんとに一松にころされそう。本望だ。
その時はちゃんとこいつもおれにころされてくれるかな。
置いてくのも置いてかれんの嫌だしなあ…。
いなくなっても生きていけてしまうとは思うけどね、お互い。そういうもんだ。
「明日もたっぷりいちゃいちゃしよーなー」
「あえてチョロ松兄さんあたりの前でいちゃついて煽ってみる?」
「いいじゃんそれ、どのくらいでキレるかホテル代賭けよ」
「のった」
よし、明日の予定も決まった。
財布の中身は覚えてないけどどうにかなるだろ!
きつかったらパチ付き合ってもらおう。
「んじゃ改めておやすみ一松」
「おやすみおそ松兄さん」
明日も1日一松と一緒、うん、幸せだな!


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