あるバレンタインデーの1日

セリス→ロック編



「ロックー!」

「ああ、セリスか。どした?」

「あの…あのね?」

「?どうしたんだよ?顔赤いぞ?」

「あの…これ!(言いながら差し出す)」

「え?…え??(驚きながら受け取る)」

「貰ってくれない…?」

「??」

「チョコ、なの。今日、バレンタインだから…」

「え!!?」

「………」

「えっと…、コレって俺だけ?」

「え?」

「他の奴にも渡したりすんのか?」

「ううん!ロックだけよ!リルムが……今日は好きな男の人にチョコをあげる日だって言ってたから…、」

「好きな…人?」

「……うん。私……ロックが好きだから……」

「?!マジで?!」

「……うん」

「あのさ…、好きって…俺だけ?(前例あって疑心暗鬼)」

「??」

「『皆同じくらい好き』とかいうんじゃなくて、その…俺だけにLOVE?」

「……!!ええ、あなただけLOVE…」

「ホントか!?」

「ホントよ」

「そっか…!(心の中でガッツポーズ)」

「受け取ってくれる?」

「モチロン!セリス…俺もお前が好きだよ」

「ほんと?嬉しい…!じゃあこのチョコちゃんと食べてね?」

「ああ。後でゆっくりもらうよ」




「……全部……食べてね……?」




「…え?ああ、うん。食うよ?全部」

「ありがと。それじゃまた後でね!」





走り去るセリスを見送り、手渡されたチョコを見た。
部屋に帰るまで待ち切れず、きちんと包装された包みをその場で破る。


中から姿を現したものは…、








カカオ99%チョコレート








開けた瞬間広がる強烈なカカオ臭。
そしてチョコとして有り得ないこの黒さ。





(す…ステキに黒光りしてますが…??)





試しにひとかけ口に放り込む。






!!!!






「セ、セリスの愛が苦い…ッッ!!!§℃?@*$☆£!!!」
 (声にならない叫び)










ビターを通り越して甘さは皆無!


足りない甘さは愛情でカバーだ!


頑張れロック!負けるなロック!


それを食い切ってこそセリスへの愛は本物だ!










数時間後、カカオ多量摂取と塩分過多により鼻血を吹いてぶっ倒れている瀕死のロックが発見された…らしい。






END??

(2009.02.14)





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