はりせんぼんさすまで




「俺の事をどう思っている?」


ある日、閻魔さまが獄卒たちへ尋ねました。
獄卒たちにとって、閻魔さまは王様で、神様。彼らを生み出してくれたのもこの閻魔さまです。
獄卒たちにとって、閻魔さまは雲の上の存在でした。

だから彼らは答えます。

閻魔さまはおそらく、父なる創世主より尊いお方です。
閻魔さまはおそらく、母なる聖母よりお優しいお方です。
閻魔さまはおそらく、温かな太陽よりお慈悲のお厚いお方です。

多分と言うのは、彼らは創世主や聖母、まして太陽なんて見たことがなかったから。
そして何より、実の所、獄卒たちは閻魔さまの事をよく知りませんでした。
なぜかと言うと、前にも言ったように、閻魔さまは自分たちの生みの親ではありますが、王様で神様です。
誰だってなれなれしく、その人のひととなりなど、恐れ多くて探ることは出来ません。
けれどそれだって、獄卒たちにとって、彼がとても大切な人であることに変わりはありません。
だから自分たちの知りうる内で一番、その人への敬意を現せるであろう言葉を彼らは閻魔さまへ告げました。

尊い、お優しい、お慈悲深い、愛しい、輝かしい、あざとい(ばかそれはちがう!)

ちょっとの間違いでしたら、閻魔さまは笑って許して下さいます。

皆はそれぞれの答えへ、閻魔さまが何と答えるか、内心どきどきしていました。
皆は閻魔さまに試されていると思っていましたから、おかしな事を言いはしなかったか、気が気ではありません。
けれど当の閻魔さまは、それぞれの答えへうんうんと頷いたあと、だいたいはふうんと言ったきり黙ってしまいます。
どうやら今までの答えの中に大きな間違いはなさそうです。
だけれどまた、閻魔さまの興味を引くもの、つまり閻魔さまの望む答えもないようでした。

獄卒たちは考えます。
どうしたら、我々がどれだけ彼を愛しているか伝わるのだろう。どうしたら、どれだけ彼を大切に思っているか伝わるのだろう。
閻魔さまの与えなさった試練をやぶるにはどうしたらいいのだろう。



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