バニーちゃんの秘宝1


 おじさんは完全な熟睡モードに入っていて、襟足に張りつく黒髪を掻き分けると、しっとりと濡れたうなじが現れた。
 普段は直線的にセットされている髪が、水分を含んで柔らかく伸びている。使ったシャンプーは僕と同じもののはずなのに、随分と蠱惑的な香りがしていた。
 うなじから、背筋の美しい背中、腰へと指先を滑らせて、辿り着く臀部。丸く引き締まった尻は芸術品のようで、頬擦りせずにいられない。
 日々のトレーニングで鍛えぬかれながら、この体にはゴツゴツとした隆起がない。ボディービルダーのような観賞用の筋肉ではなく、鞭のように柔軟で、持久力のあるスリムな筋肉なのだ。似たような体格に見えて、実際は僕のほうがボリュームがあったりする。
 おじさんのプロポーションの良さは僕の上をいき、アパレル大手の企業から、専属モデルにならないかとスカウトされたことがあった。カジュアルなものからフォーマルなものまで、さらりと着こなしてしまう幅の広さは、職業モデルでもなかなかない。加えて、下着など肌の露出の多い姿も様になるのだから、重宝されるのも道理だろう。
 僕は女性と組み合わされたスチールが多いけど、それは、アピール層が女性目線に限定されがちだからだ。用意される服は派手なものが多くて、着る者を選ぶものばかり。ゴージャスさが売りといわんばかりで、当然男性受けはしない。
 対しておじさんは、ピンでのスチールが多かった。派手さの抑えられた衣装は、男ならば誰でも着こなせそうな雰囲気を与えてくれる。一見、地味なように見えるデザインや色見でも、スタイリッシュに見せることが出来るのだ。実際、ワイルドタイガーが着た衣装は売れ行きが良いらしく、最近ではアパレル関係のスポンサーも増えているらしい。
 正直、僕は面白くない。きっちりボタンが留められたスーツ姿や、鎖骨も露なポロシャツ姿は言うに及ばず、ボクサーパンツ一枚の裸体なんて、犯罪を誘発しかねない強烈な色気を放ち過ぎている。ワイルドタイガーが露出するのは男性誌がほとんどで、得体の知れない男達にその姿を視姦されていると思うと、歯噛みしたいほど狂おしい気持ちになるんだ!
「さぁ、僕の頬を叩いた罰を受けてもらいましょうね」
 仰向けにして見下した寝顔は無心だ。そのぶん、顔立ちの良さが際立っている。
 この人は美形だ。くっきりした目鼻立ちと、黒い睫毛に縁取られた眼。そして、嵌め込まれた琥珀の瞳。本人はまったく意識していないが、かなり整った容貌であることは間違いない。そもそも、アイパッチをしたまま僕と並んでもたいして見劣りしないのだから、相当なのだ。
 ふっくらとした唇を舐めながら、指でやんわりと陰茎を握り込んでみるが、反応はない。ベッドに辿り着けずに行き倒れたくらい疲労しているのだから、当然だ。
 僕は秘蔵物が納めてあるボックスから、シリコンで出来たコックリングを取り出した。三つの輪が一つに組まれて繋がったトリプルリングは真新しく、これを使う日をいったいどれほど待ち焦がれていたことか!
 大きく股間を割り広げ、まずは陰茎と嚢を持ち上げてその根元に一つ目の輪を通す。そこを起点に、二つ目の輪に嚢を通し付け根に嵌めて、最後の輪も同様に、陰茎に通して嵌めれば完成だ。いまはまだ緩めだが、これは勃起してからその威力を発揮する装具である。
 ああ、なんて卑猥なんだ。これは睡姦だ。
 ローションを垂らした電動エネマグラを蕾に押し込んでも、起きる気配がまったくない。どこまですれば目覚めるのか、それを思うだけで僕のジュニアは硬く大きく反り返る。
 ゴクリ、ゴクリと喉を鳴らしながら、僕はコードが三本付いたビーンズローターを取り出した。乳首や女性の陰核用に開発されたものだけど、これを見つけたとき脳裏に閃いたのは、尿道口に差し込まれて身悶えるおじさんの姿だった。
 さすがにいまの状態じゃ口は閉まったままだから、とりあえずテープで貼り付けておくだけにしよう。そうそう、乳首にも忘れずに。あとは、あとは…。
 使いたい道具はたくさんあるのに、使える場所が塞がっている。くそっ、なんてことだ! あれもこれもこんなのも、みんな突っ込んで掻き回したいのにできないなんて!
 握り締めた低周波アナルパールを名残惜しくボックスに戻し、乱れる呼吸を整えながら、僕は再び虎徹さんに口づけた。力ない舌を吸い、絡め、口内を味わいながら、唾液をゆっくりと流し込む。ビーンズローターとエネマグラのスイッチを最弱でオンにして、僕は虎徹さんの肌を唇で辿った。
 体はいまだ無反応。刺激が弱いのかな? ビーンズローターと乳首の間に舌を差し込んでみると、微かな震動が伝わってきた。くりくりと刺激するとたちまち固く尖って、ようやく反応がよくなってくる。





[ 2/27 ]


[*prev] [next#]

[mokuji]

[しおりを挟む]

[top]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -