きっかけは些細なことだったと思う。
まさかトキヤくんがこんな風になるなんて、思いもしなかった。



「みょうじさんは、彼氏とかいるの?」
「え?」


林檎先生に頼まれて、資料の整理をしに図書室にやって来たら、先客がいた。

同じクラスの、男の子。
よく図書室で見かけるし、会話も交わす。どちらかといえば仲の良い方だったと思うけれど、まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったから驚いてしまった。



「えっ、…あの…特には、」


うそ。
本当は私にはトキヤくんという素敵な恋人がいる。

しかし、恋愛禁止の決まりがある以上、クラスメイトの彼に教える訳にもいかない。

トキヤくん…ごめん!


「そっか!そうなんだ!」
「うん、まぁ…恋愛も禁止だし…」
「でも俺、実はみょうじさんに憧れてるんだよね」
「えっ!?」


本日二度目の驚き。

た、確かによく話す方ではあったけれど…まさか彼がそんな風に私のことを見ていたなんて。

ど、どうしよう。


理由をつけて断らなければいけないのに、



「清楚でおしとやかで可愛いなって思ってて…ま、まぁ!返事は今度でいいから!資料の片付け手伝うよ!」
「あ、ありがとう…」


結局、きちんとお断りもできず話が流されてしまった。
ちょっぴり気まずい空気が流れる。


慌てて彼から少し離れた場所の本棚へ移動し、本の整理をしていると、後ろから腕が伸び、閉じ込められる形になった。後ろを振り返ると、見慣れた顔が。




「ト、トキヤくん!?いつからいたの?」


クラスメイトの彼にバレないよう、小声で話しかける。


「初めからいましたよ」


そう言う彼の表情は、いつもと少し違っていて…
なんというか、機嫌が悪い。
もしかして、さっきの会話、聞かれてた…?



「あのねトキヤく…!?」

弁解をしようと開いた口は、トキヤくんによって塞がれてしまった。


こんな所でだめだと思って抵抗するけど、今日のトキヤくんは力強く、離してくれない。

キスはすぐに激しいものに変わり、いつもより強めに唇を吸われた。


私の耳を噛みながら、トキヤくんが小声で囁く。


「何故彼氏がいないなど嘘をついたのですか」
「だっ、て…恋愛禁止でしょうっ…!」
「口説かれといて何を言いますか」


やっぱり、怒ってる。

ごめんね、と謝ろうとしたらまた強引にキスしてくるから、何も言えなくなってしまった。


さらにトキヤくんは私のスカートの中に手を差し入れ、敏感な部分を撫で始める。




「んっ、ふ、んー!」
「みょうじさーん!今度の課題曲の譜面、あったよ」


彼の声が聞こえた途端、首を横に振ってトキヤくんの唇から逃げる。
そんな私を見てトキヤくんはふっと笑い、ナカに指を挿入した。


「あっ…ありがとう!机の、上に…置いといてもらっていい?」


もう既に湿ってしまっているソコは、指をすんなりと受け入れる。ゾクゾクする感覚に、もう抵抗する力もなくなってしまった。



「あとは、私一人でやるからっ…大丈夫、だよ」
「本当に?他に何でもやるよ」
「ほんとにっ、大丈夫っ…!あ、りがとう」
「…そっか」


快感で足が震える。
そんな私を見たトキヤくんは、本棚の方に私の身体を向かせ、下着を強引にずり下ろした。


そのまま間を開けずに、硬くなったトキヤくんのモノが後ろから挿入される。


「ひぁっ!」

突き立てられた感覚に、つい大きな声が漏れてしまう。それでも容赦なくトキヤくんは、激しく私を揺さぶってきた。




「なまえ、図書室では静かにしないとダメですよ」


後ろから耳元でトキヤくんがそう言うから、声を出さないように唇を思い切り噛んだ。
トキヤくんは、血が出るじゃないですか、と私の唇を指で優しくなぞる。


「ふ、ぅ…あ」


口を開けた隙に、トキヤくんの指が口の中に侵入してくる。びっくりして首を振って逃げようとするけれど、トキヤくんの指がそれを許してくれない。



口内を犯すように、くちゅくちゅと弄られる。
口から出た唾液が顎を伝う。


「やっ…あ、ふっ…」
「上の口も下の口も、グチャグチャですね。気持ちいいですか?」


上も下も、トキヤくんに支配されている。
耳元に、トキヤくんの熱い吐息がかかるから、余計感じてしまう。



「みょうじさーん?もしかして帰っちゃった?」


クラスメイトの彼が、私を探すように大きな声を出す。隠れてるけど、いつ見つかるか分からない。




「どうします?見せつけてやりますか?」
「んっ…!んーんっ!」


これには首を必死に横に振る。
トキヤくんはまたふっと笑って、更に腰の動きを速めた。


「ふっ…んっ…」
「帰っちゃったか…まぁいいか」


彼の独り言が響く図書室。
ガラリとドアの閉まる音がしたから、多分諦めて出て行ったのだろうと推測できた。



静かな図書室内に響く、息遣いと水音、肌のぶつかる音。

もしかしたら、彼が戻ってくるかもしれない。
他の生徒や先生が来るかもしれない。


それなのに、行為は止まらないし、止められない。


「ゃ、んっ…ふっ…」
「清楚でおしとやかな憧れのみょうじさんが、こんないやらしい女性だと知ったら彼はどんな反応をするでしょうね」
「やだっ…あっ、言わない、で」


どんどん激しくなるトキヤくんの動き。
響く音が、さらに大きくなる。


「あっ、やっ…やんやん、あ…」
「イキそうですね…良いですよ、一緒にイキましょうか」


さっきまで怒ってたのに、また優しい口調で言うから、トキヤくんはずるい。


「あっ、やっやっ…んっ、んーっ!」
「…っ、は」

二人でほぼ同時に達した直後、トキヤくんはそのまま後ろから私を優しく抱きしめてくれた。



「はっ…はぁっ…」
「すみません…正直に言います。妬きました」
「はっ…あっ…やっ、ぱり…?」


息を整えながら必死に言葉を紡ぐ。
それに比べトキヤくんは息が全く切れてないのは本当にすごいと思った。


「そんな嫉妬なんかしなくても…皆に内緒の付き合いだとしても、私はトキヤくんのものだよ…?」
「ふ…そうですか。それが聞ければ満足です」


嫉妬なんてする貴重なトキヤくんが見れたのは嬉しいけれど、こういうことをするのは場をわきまえて欲しいな…


でも今それを言ったら、もっと意地悪されちゃいそうだから、今日は心の中に留めておくことにした。



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