「皆さん、こんにちはー!」
「こーんにーちはぁー!」
「嶺二、声大きいよ」


嶺二と一緒に乗っているのは、海をボートで移動しながらジャングルを冒険するアトラクション。

船長役のスタッフのお兄さんに元気よく挨拶する25歳。一緒に乗っている子ども達より誰よりも元気だ。うん、それが嶺二の良い所でもあるんだけど、一緒に乗っている身としてはちょっぴり恥ずかしい。


「ねぇ見て!ゴリラだよゴリラ!可愛いよねぇ」
「え、可愛いかな?」
「あ!あっちにはライオン!カッコイイよね!なんかちょっとランランに似てるね」


いや、それは褒め言葉なの?蘭丸…似てる?確かに肉食っぽい感じは醸し出してるけど…これ言ったら蘭丸絶対怒りそう。よし、あとでチクってさしあげよう。



「うわぁぁ滝だー!皆さん避けてー!!」

大声で叫びながら滝を避けるポーズをするお兄さん。周りは、おー…とか小さな反応しかしなかったけど…隣に座るこの人は、

「うわああああ!僕ちんの大事な彼女が濡れちゃううう!!」
「うるせぇワニにでも喰われてろ」
「わーんっ!ヒドイっ!」

そのやりとりで、ボートの中が笑いに包まれた。その盛り上がりでお兄さんもホッとした顔をしている。


「もう、恥ずかしいでしょ」
「はは、メンゴメンゴ」

そんな憎まれ口を叩きながらも、場を盛り上げてくれた嶺二は子どもと思わせつつやっぱり大人で。そんな嶺二に惚れ直してしまったなんて。
絶対言わない。だって調子乗るもん。


「ね、もう一回乗ろうか」
「…嶺二が盛り上げてくれるなら、乗る」
「よし、じゃあ頑張らなくちゃね」


やっぱり、嶺二には敵わない。



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