▼ 用途@縛る
『今日泊まりに行っても良いだろうか』
『大丈夫だよ。ご飯作って待ってるね』
そう。今日は莉子には予め連絡をしてある通り、部屋に泊まりに行くことになっている。
インターホンを鳴らすと、ぱたぱたと足音がして、すぐにドアが開いた。
「真斗!おかえ…り…」
「ただいま、莉子」
少し目を見開いたのは、俺の格好に驚いたからだろうか。
そのまま玄関に入り、革靴を脱いで部屋へ上がる。自然に莉子が俺の鞄を持ってくれる。…なんだか新婚みたいで新鮮だ。
「どうしたのその格好」
「今日スーツのCM撮影があってな。そのまま貰えるらしく着て帰ってきた」
「そっか…」
俺を下から見上げる莉子の顔が心なしか赤い。髪を撫でてみると、さらに照れたように笑った。
「莉子、どうした?」
「や、その…スーツ格好良いなぁって…」
そうか、と答えて優しく抱きしめる。着て帰って来て、よかった。一十木に感謝せねばな。
どちらからともなく、口付けを交わす。
そっと離れようとした莉子の腰を引き寄せて、さらに舌を絡めた。
「んっ、ふ…」
力なく莉子が俺のネクタイを掴む。おそらく抵抗のつもりなのだろう。だがその仕草さえ、愛おしいのは何故だろう。
「はぁっ…や、真斗っ」
そのままソファまで誘導し、押し倒して莉子を上から見下ろす。莉子の口から唾液が垂れているのが、なんともいやらしい。
我慢できず、急いでジャケットを脱いで雑に投げ捨てた。そのジャケットの行方を目で見送った後に、莉子は真っ赤な顔で俺を見上げてくる。
「真斗っ、ご飯出来てるから…、先に食べよ?」
頬はすっかり紅潮し、瞳は潤んで唇をふるふると震わせる。
俺には分かる。莉子のこの顔は欲情した時の顔だ。これもスーツの効果か。うむ、ありがたい。
スカートの中に手を差し入れ下着の上からなぞると、思った通り湿っていた。
「やめっ…」
「何がだ?嫌じゃないのだろう?」
「んっ…でも、ごはん…作ったのに、」
「先に莉子が欲しい。ダメか?」
「ずるいよ、そんな聞き方…」
困った顔をする莉子に、俺もどうしようもなく欲情する。片手で莉子の胸を掴みながら、もう片方の手でネクタイを緩めて解いた。
短く嬌声を上げる莉子の顔が、また染まる。この仕草が女性が好きなのは、どうやら本当のようだ。
…ネクタイの使い方、か。
ふっと笑った俺は、莉子の手首を一つにまとめ上げ、解いたネクタイで縛ってみた。
「やっ…真斗、何してっ…」
すっかり抵抗出来なくなった莉子は、俺にされるがまま。ブラウスのボタンをはだけさせ露出した胸元に吸い付けば、気持ち良さそうに身体をくねらせた。
「やだっ、やめ…ん、」
下着を上にずり上げて、そのまま胸の突起に吸い付く。わざと音を立てるように舌を動かしながら、先程触った秘部にまた手を伸ばし、下着を脱がせて直接触れる。心なしか、いつもより蜜を溢れさせる莉子の女の部分。顔を少し上げれば、手を縛られながら腰を揺らす莉子の姿。これは、堪らない。
「んっ」
「これだけ濡れてれば挿れても平気だろう、」
「やっ…あぁ、」
半ば強引に挿入したにも関わらず、濡れそぼったソコは、簡単に俺を受け入れた。
包み込まれた温もりに、目が眩んだ。
ゆっくりと出し入れを始めれば、莉子が縛られた腕を必死に動かしながら、声を上げた。
「やだぁ…真斗、これ解いてっ…」
涙目で訴える莉子の顔。
服は半端に乱れ、手を縛られているその姿は、まるで俺に犯されているみたいだ。
しかし、相手は愛してやまない莉子な訳で。
その事実がより興奮を煽る。
「お願いっ…解いて…」
莉子があまりに必死になるものだから、腰の動きは止めないまま、顔を近付けてどうした?と尋ねる。
「ぎゅって、したい…」
…反則だろうそれは。
「莉子っ…」
「あっ…真斗っ」
手首を縛っていたネクタイを解き、自分の手に持ったまま莉子をキツく抱きしめる。
解放された腕を俺の背中に回して、しがみつく莉子が愛しくて仕方ない。
そのまままた唇を重ね、更に激しく腰を前後に揺らした。
「ふっ…ふぁ、やっ、」
背中のシャツを、皺になるくらい強く掴みながら身体を震わせる莉子はどうやら限界が近いらしい。
「はぁ…っ、莉子…」
「やんやん、あっ…まさとっ」
すぐに達した莉子の後に続いて、俺も唇を噛みながら射精する。
息きれぎれに俺を見つめて、スーツの真斗、誰よりも格好良いねと微笑む莉子の身体をまた抱きしめる。
そのあと思い出したかのようにご飯冷めちゃう…!と現実に戻る莉子が、なんだか可笑しかった。
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