「綺麗だね」

真斗と一緒にいると、一日なんてあっという間に過ぎてしまう。色々な所に連れて行ってもらった後、最後にと…都内随一の夜景スポットにやってきた。ホワイトデーということもあって混んでると思ったけど、時間がそれなりに遅いせいか人もまばらだ。


「今日はよく晴れていたからな」
「うん」

真斗に気付かれないよう、静かにそっと肩を寄せた。夜になるといつも、寂しい気持ちになってしまう。


「(今日はもう、これでバイバイかな)」

とっても楽しい一日だった。だからこそ、今日が終わってしまうのが辛かった。手すりを握っていた左手の手元を見ると、プレゼントしてくれたピンキーリングがキラリと光っている。



「…今日はありがとう!すっごく楽し──」
「莉子」

別れの挨拶をしようと切り出した私の言葉を、真斗が遮った。それはとても温かい声で、甘くて優しくて。私の大好きな、真斗の声。


「近くのホテルを予約してある」
「真斗…」
「悪いが先に向かっていてくれないか?少し寄るところがあってな」

手渡されたのはホテルのものと思われるルームキーだった。それを受け取って顔を上げると、優しい目元と目が合う。

「まだ、一緒に居ていいの…?」
「言っただろう?莉子の一日を俺にくれ、と」





真斗と道中で別れてから、嬉しくて逸る気持ちを抑えながら私はホテルのエレベーターに乗り込んだ。指定された部屋は最上階だ。


「(…嬉しい)」

特別なこの日に、一緒に夜を超えることが出来るなんて。きっと待ってるであろう甘い時間に、早くも心臓が音を立てた。


部屋に辿り着いて貰ったルームキーを入口に差し込むと、パッと明かりが点く。部屋の広さに驚くより先に、真っ先に目に入ったのは大きな窓。そしてそこに広がる一面の夜景だった。


「わぁ…!」

思わず窓際に駆け寄って窓に手を付けば、その美しさに釘付けになる。そのせいか、後ろでガチャリとドアが開く音にも気が付かなかったみたいで…



「莉子」
「あ、真斗」

いつの間にか私のすぐ後ろに立っていた真斗の存在に気付き、ご機嫌なまま振り返る。すると、また私を驚かせるサプライズがあって。


「いつもありがとう。支えてくれて、感謝する」

真斗が差し出したそれは、色とりどりの花が彩る綺麗な花束。受け取るとふんわりと素敵な香りが漂った。


「もしかしてこれ、買いに…?」
「あぁ、待たせてすまなかった。喜んでくれるのではと思ってな」

花、好きだろう?と。
今日こんなに素敵な一日をくれたのに、私はいつももらってばかりなのに。

どうしてこんなに優しいんだろうって、愛おしい気持ちが…溢れてたまらなくなる。


「莉子…」
「ありがと…真斗、大好き」

花束ごと真斗に勢い良く抱き着くと、腕で力いっぱいに抱き締めてくれた。お花の香りに混ざって、真斗の香りがして…胸がいっぱいになって、心から安心するの。


私を抱き締めていた腕に、ぐっと力が入った。それに気付いて顔を上げれば、何か言う前に激しく降ってくるキス。息継ぎをしようとする度に舌が激しく絡むから、上手く呼吸が出来ない。だけどその苦しささえ、心地良いから不思議だ。

キスをされたまま、全面ガラス張りの窓に背中がくっついた。花束が足元に落ちてしまって、それを拾おうとする行為すら許されないくらい、強く、真斗の手が全身をまさぐる。ニットをたくし上げられ、白色のブラが露になると真斗の吐息を胸元に感じて、自然と身体が反応した。


「あっ、するならベッドで…」
「今すぐ欲しいんだ…少しの時間も、惜しい程に」

その言葉通り、タイツもショーツも超えて秘部に直接真斗の指が触れた。くちゅっという音が自分にも届いて、恥ずかしさを紛らわすよう真斗の肩に顔を埋めてきつく目を瞑る。


「あぁ…キスだけでこんなに濡らしているのか」
「やだぁっ…」

図星をつかれて、首をイヤイヤと横に振る。片足だけ脱がされたタイツとショーツ、捲られるスカート。割れ目を指でなぞられ指が挿入される──と思ったら、思ったところに指は触れず、少し上の突起をくに、と押された。


「ひぁっ…!」

突然の刺激に思わず甲高い声を出してしまった私を見て、真斗の口が嬉しそうに弧を描いた。そして執拗にそこばかりを指先で弄られ、身体がどんどんと熱くなる。


「やだっ…そこばっか…っ!」
「莉子はクリが大好きだな。ほら、一回イっておくか?」
「あっ、やぁ…んっ、あぁっ!」

あっという間に限界に達した私は、真斗の腕を掴みながら身体を震わせた。息を切らす私の口元に軽くキスをしてから、真斗はその場に腰を落とす。そしてスカートの中を潜り、達したばかりのソコに顔を近付けて、舌先でつつくようにクリに触れた。


「…!やっ、やだやだっ」

足が震えて立っているだけでやっとなのに…!指とは違う刺激に、強く吸われる音…もちろん、我慢なんて出来るはずがない。


「逃がさないぞ」
「んっ!あっ、や…!やぁっ!」

引こうとした腰はがっちりと掴まれ、逃げられない。舌で激しく弄られ、私はすぐに二度目の快感に溺れた。潮を吹く音がして、真斗の顔と自分のスカートを濡らしてしまうのが分かって…羞恥心でいっぱいになる。


「すごいな、俺のシャツまで濡れてしまったぞ」
「はぁっ…はっ…ごめんなさ…」

ジャケットとベストまで脱ぎ捨てた真斗が、息を荒くしながら水色のシャツのボタンを半分くらいまで外す。私は力が抜けて、その場でへたりと座り込んだ。呼吸を繰り返していると、ふわりと浮く身体。窓際に設置されたキングサイズのベッドの上で、私と真斗の身体が重なった。


「んっ…ああっ」
「ん?まさか、挿れただけでまたイったか?」

大きなソレで貫かれた瞬間…その刺激を待ち侘びていた私の身体は三度目の限界に達した。まさか挿入だけで、なんて…自分が一番予想外で恥ずかしくって、顔が一気に赤く染まる。


「ほう…そうか、そんなに俺のペニスが好きか」
「あっ…ん、すきっ…」

一度ずるりと抜かれて、真斗の雄々しいソレの先端がまたクリに触れた。ぐりぐりと押されるとその刺激にまた腰が浮く。や…せっかく挿れてもらったのにっ…


「待っ…やっ、ナカが、いいっ」
「ナカ?そうか、挿れて奥を弄られたいんだな」
「うんっ…早く、はやくぅっ…」

腰を揺らして強請るように両腕を伸ばした。自分が淫乱なのはもう百も承知だ…だけど、欲しくてたまらないんだもん。


「莉子」
「ひぅっ…!あっ!」
「お前は…本当に可愛いな」

ぐっと奥まで一気に挿入されて、その圧迫感を全身で感じて、どうしようもなく気持ち良い。激しく奥まで突いたり、かと思えばゆるりと腰を回されて、違う刺激に何度でも限界を迎えちゃいそうになる。


腰の動きを緩めることなく、真斗がおもむろに私の左手を取った。小指に輝くピンキーリングに真斗の唇が落ちる。そんな仕草に、きゅんっとしない方が無理だ。


「あ、真斗っ」

名前を呼ぶと、指に唇を付けたまま目線だけ上げた真斗と、視線が絡む。じっと色気のある視線が私を突き刺す。


「これで…いつ何時でも俺のことを思い出すだろう?」


囁かれた声に、意識が朦朧とする中、必死に何度も頷いた。握られた左手に力を込めると、真斗がそれに応えるようにさらに腰の動きを激しくする。

ぱんぱんっと肌がぶつかる音が響いている中、真斗の左手の指先がまた下のクリを押した。そこを弄られながら突き上げられるのは初めての感覚で、いとも簡単に私を快感の中へ溺れさせる。



「あっ、ふぁ…!んんっ、やっ…!」
「莉子、愛している」


私の左手と、真斗の右手。五本の指が絡んで、もう離さないと訴えるように強く握られた瞬間、もう何度目か分からない絶頂を迎えた。

熱い液体と降ってくるキスを受け止めていると、視界の端に美しい夜景が見えた。だけどそれよりももっと魅了されるものが目の前にあるから。

大好き、という気持ちを込めて…私はもう一度その背中に両腕を回した。





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