禁欲☆大作戦!


※翔視点


「このメンツで収録って珍しいわね!」

今日の仕事は俺、トキヤ、聖川、渋谷という珍しい顔ぶれだった。内容はバラエティの特番のゲスト。俺と聖川はラジオをやっている関係でST☆RISHを代表して、トキヤと渋谷は新ドラマの番宣でそれぞれ呼ばれた。今は収録前の待機時間だ。4人でテーブルを囲んで楽屋で寛ぐ、束の間のリラックス出来る時間だ。そのはずだった。

聖川が紙カップに緑茶を注ぎ、目の前に置いてくれた。それをありがたく頂戴し、口元へ運ぶ。


「ところで翔ちゃんは彼女作んないの?」
「ぶっ!ってか熱!!」

緑茶を飲んだタイミングで渋谷がおかしなことを言い出した。しかもふーふーするの忘れたじゃん、俺猫舌なのに。

彼女…彼女て…


「んなの、欲しいに決まってんだろ!」

作れるもんならとっくに作ってる。
アイドルと言えど年頃の男子!女子大好き!
おっぱいも尻も触りたい…エッチなことだってそりゃしたいに決まってる。


「翔、全部声に出ていますよ」
「…っ!ま、じ…!?」
「うわー…ドン引きだわ…」
「欲望の塊だな、来栖は」
「良いよなお前らは。あんな可愛い彼女がいて、いつでもその…出来てさ」


心底、聖川とトキヤが羨ましい。前写真見た時、可愛かったもんな彼女。俺がそう愚痴を零すと、二人揃って勝ち誇ったような顔を見せた。それがまた腹立たしい。


「それは、まぁ…いつも?したいだけさせてもらっていますけれど?」
「欲求不満とは?無縁の生活をさせてもらっているが?」
「…かぁーっ!むかつく!」

紙カップをダンっと机に叩きつけた。
悔しい悔しい…!どうせお前らは一人で抜くことなんてねぇーんだろ!無縁なんだもんな欲求不満とは!すぐにヤラせてくれるんだもんな!



「ちょっと待って。アンタ達、まさか会う度にセックスしてるんじゃないでしょうね」


渋谷の発言に、聖川とトキヤの動きがピタリと止まった。それを見て、すぐに図星だと分かる。意外と分かりやすいところあるよな、この二人。
ていうか…

「まじ?会う度に?毎回ってことか?」
「普通にデートとか食事だけとか、そういうの無いの?」
「で、デートはしてますが…」
「シない日は…無い、な…」
「嘘だろ!何だそれただの身体目的じゃねーか!」
「そんなはずありません!セックスも愛情表現のひとつですよ!」
「けどそれならキスとかハグでも出来るじゃない」
「キスとハグだけじゃ足りん!」
「キスとハグだけでは足りません!」
「性欲天井かお前ら…」

まぁ…会う度にシたくなる気持ちは、分からないでもない、いや彼女いねぇし知らねぇけど。たく!俺からしたらハグだけでも羨ましいってのに…。


「けどさ、それ不安だと思うよ。莉子と紗矢」
「「え?」」
「翔ちゃんもさっき言ってたけどさ、身体目的って誤解しかねないわよ?女子は女子なりに悩むんだから」
「だから、そんなはずはだな…」
「マサやんがそう思ってても、莉子は違うかもってこと!紗矢もそう」
「「……」」
「そのうち『私は性欲処理の道具じゃない!』とか言って、捨てられたりして〜!あははー!」


冗談混じりに言った渋谷にK・Oされたように、聖川とトキヤはずーんと机に伏せた。ちょっとざまぁみろ、だな。二人には悪いけど。



「莉子と紗矢に嫌われたくないなら、たまには禁欲でもして優しく尽くす事ね!じゃ、着替えてきマース」


パタンとドアが閉まり渋谷が楽屋を出て行っても、二人はしばらくそのままだった。
(あぁ、もう!めんどくせー!)






───

翔ちゃんはいつもこの扱い





  
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