X'mas


「わー!すごい綺麗!!」


バイクで到着したのは、人だかりが出来ているイルミネーションスポット。暗闇に浮かぶ、カラフルな電光が確かに美しく、まるで非現実的な世界だ。辺りを見渡すと、周りは身体を寄せ合う恋人たちで溢れている。

周りにバレないよう、マフラーに口元を埋めて伊達メガネの縁を指で上げた。私の事などお構いなしに、子どものようにはしゃいで前へと進む紗矢の手を引くと、ん?と振り向いてくれた。頬が赤く染まっており、それが余計にいつもより幼く見える。


「ほら、はぐれますよ」
「へへ、ごめんなさーい」
「あまり浮かれすぎずに。子どもじゃないでしょう?」

適当に理由をつけて、冷たい紗矢の手を握り、指を絡めた。身体を寄せれば、外でも確かに感じる体温。それがまた、愛しいだなんて。


「(浮かれてるのは、どっちなんだか)」

クリスマスツリーを撮るフリをして、紗矢の横顔をスマホのカメラに収めた。彼女はどうやら、写真を撮られた事には気が付いてないようだ。


しばらく景色を堪能したところで、二人で光の道を歩き、バイクの駐輪場へと向かう。恋人たちは車に乗り込んだり、人目をはばからず口付けを交わしたり。恥じらいもせず堂々とラブホテルへと入っていくカップルまでいる。


「……」
「行きたいですか?」
「ち、違うもん!」
「ふふ、冗談です。さぁ、そろそろ帰りましょう」

すっかり冷えきってしまっている、紗矢の手を引いて抱き寄せた。身体もだいぶ冷えているようだ。これは…少しでも早く帰らなければいけませんね。

「私達は家でじっくりと……ね?」








───


「んぅっ、」

バタンと勢いよく扉が閉まると同時に、紗矢の手首を掴んで玄関の壁に押し付ける。部屋に入るまでの時間さえも惜しく、噛み付くように唇を奪った。

てっきり拒否されるかと思いきや、紗矢はキスを受けたまま、自分でパンプスを脱いで私の首に腕を回す。
抱き合う事で、ゼロになる距離。二人でひたすらに何度も唇を合わせ、舌を絡めた。


濡れた唇を求めながら、手探りでコートだけ脱ぎ、適当に放り投げる。そっと目を開ければ、目をきゅっと瞑り口を開けながらキスを受け止める紗矢の顔が確認できた。それがまた堪らず、そっと玄関先のフローリングに身体を押し倒した。


「…性の6時間というのを、知ってますか?」
「んっ…なに…?」
「24日の21時から翌日の3時まで…一年間で最も、セックスをする人が多い時間帯なんだそうですよ」

今から全て服を脱がせるのは煩わしく、ニットをたくし上げて胸元を露出させる。
いつもよりセクシーな、黒色の下着。恐らく紗矢も、夜の情事を期待をしてコレを身に付けきたのだと…そう思うと

興奮して、喉が鳴る。


「だから日本人には…9月生まれが多いそうです」
「んっ、ふっ…」
「どこまで本当かは、知りませんが」

中途半端にブラを乱し、ピンと立った桃色の突起を、唾液をたっぷり含ませた舌で転がしていく。ビクンと大袈裟なくらい反応する紗矢の身体。ここまで素直に反応されたら、もう止められない──紗矢を前にすると、理性すら簡単に崩されてしまう。


「ひゃっ…とき、や…」
「おや?いつもより濡れてますよ。いつからこんなにビショビジョにしていたのですか?」

タイツを中途半端に片方だけ脱がせ、下着の上から割れ目をなぞった。布越しからでも分かる程、濡れているソコに自然と口角が上がる。


「外に居る時から?早くシたくて堪らなかったのですか?可愛いですね」
「んっ、ちが…」
「違う?本当に?」

下着をずらして指を挿入させれば、ぬぷりと音を立てて飲み込んでいく。いやいや、と首を横に振る紗矢だが、身体は素直なようで面白いくらいに私の指を締め付けてきた。

ぐっと指を折って、紗矢が大好きな部分をゆっくり焦らすように弄る。


「やっ…もう、ゆるして、」

限界が近いのか、ふるふると紗矢の唇が震える。泣きそうな顔をして、唇を噛みながら快感に耐えている姿が堪らない。


「良いですよ」

指は入れたまま、更に動きを激しくする。横に逸らそうとした紗矢の顔に手を添えて、無理矢理目を合わせた。

「イク顔を、私に見せてくれたら…許してあげます」
「そんなのっ…や…!」
「ほら、どうです?もう限界でしょう」
「やぁっ、あっあっ…んっ──!」

唇が触れそうなほどの至近距離。指を入れていたナカが、嬉しそうに震えた同時に、紗矢が限界を迎えた。そのイキ顔を間近で堪能した事に満足し、ずるりと指を抜く。


「はぁっ…はっ、ん…」
「ベッドに、行きましょうか」

口ではそう言いつつ、ベルトを外しにかかる。だがここではさすがに…と一度思い立ち紗矢を抱えて移動しようとした所で、

「ここで、い…れて、」

彼女が私の腕を弱々しく掴んだ。



「……紗矢」
「おねがいっ…!もう我慢できない、」
「せっかくの洋服が汚れますよ」
「いいっ……」
「フローリングも冷たいですし」
「も、良いっ…から…!」

衣服を半端に乱し、涙を流して懇願する紗矢の姿。ぞくりと背中が震えたのが分かる。


「まったく…」

ズボンを履いたまま、自身を取り出して濡れそぼった紗矢の熱い下部を擦った。
ヒクヒクと誘うように動くソコが、心から愛しくさえ思えて。

「そこまで言われてしまったら、」
「やぁ…!」
「手加減はしませんよ?淫乱」
「んっ…言わないで…ぅ」


ぐっと突き上げたいところを我慢し、ゆっくりと焦らすように侵入していく。
紗矢の事は、よく知っている。

小刻みに速く動かすよりも、

「大きく、ゆっくり動かすのが好きですよね…?」
「や、ちが…あ、だめっ」
「違う?嘘はいけませんね」

ゆっくり、ゆっくり焦らして…先端が奥に到達したところで腰を大きく回す。
紗矢が好きな、動き。喜ぶように締め付けてくるのが分かり、それがまた興奮を煽る。

「そこっ…ぐりぐり、やっ、」
「奥?ココが良いですか?」
「だめっ、ときやのが、おく…当たるからっ…!」
「ふふ…私の下で乱れる紗矢は本当に可愛いですね」

紗矢の弱い部分を執拗に責め、その姿を見て楽しむ。なんて意地悪なんだ、と後で彼女に怒られる事だろう。


「さぁ、夜はまだ終わりませんよ?」

ニヤリと笑うと、呼吸を荒くした紗矢が私の顔を見上げた。また奥を突いてその顔を快楽に染めて──その繰り返しをしながら、クリスマスの夜は更けていった。




  
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