Happy Halloween!


「お前ら!10月と言えば何だ!」


腰に両手を当てて、ふんと胸を反らす。
ゆっくり視線を上げた聖川とトキヤと、これからあるイベントに絡んだCM撮影を行う予定だ。


「10月…秋ですね。当然知ってますが」

そういう事を聞いてるんじゃねぇよトキヤ。
何言ってんだコイツ、みたいな馬鹿にしたような目をするんじゃねぇよ腹立つな。


「ちげーよ、10月にイベントがあんだろ」
「……体育の日?」

それはただの祝日だよ聖川。
そこで微妙な天然発動しなくて良いんだよ。何なんだよ二人して。



「…冗談だ、ハロウィンだろう。把握している」
「ハッ、私達が事前にCM収録の内容を確認していないとでも思いました?」

おいトキヤ、今鼻で笑ったろ。お前らどんだけ俺を馬鹿にすれば気が済むんだ。


あーちくしょう!


「つまりはな!今から撮影衣装のフィッティングがあるから衣装部屋に行くぞ!」
「それならそうと早く言ってくれ」

言おうとしたらお前らがボケるからだろ。
ダメだ…ツッコんでたらキリがねぇ。



そうこうして辿り着いた衣装部屋。

様々な仮装が所狭しと並んでいる。撮影で着たい衣装を自由に選べってスタッフからは言われてるけど…つか、ほとんどが衣装っつーかコスプレだな。まぁハロウィンだから仕方ねーか。



「よーし、んじゃ選ぶか…」
「警官にチアガールにセーラー服…色々ありますね」
「巫女にスクール水着か…実に興味深いな」


ちょっと待てお前ら。
そっちは女子用コーナーだぞ。何見てんだ自分の衣装よりそっちが先かい。つか、誰に着せるつもりなんだよ。あ、自分達の彼女か…ちくしょうリア充め爆発しろ。

とりあえず、この変態コンビを止めとくか。


「おいお前ら!」
「やはりメイドとナース辺りですか…あ、魔女もありますね」
「王道だな」
「聖川さんはどれがお好みですか?」
「そうだな…どちらと言えば、」
「おーいっ!俺の話を聞けーっ!」


俺の大声にようやく気付いた二人が同時に振り返った。そんな所までシンクロしなくて良いんだよ、仲良しさんかお前ら。


「あ、すまない…自分の衣装を選ぶんだったな」
「じゃあ、翔はこれで」
「ふ ざ け ん な」

そう言ってトキヤは俺にセーラー服(女子用)を渡した。怒りで震える俺を無視して、ちゃっかりナース服と魔女の衣装を手に取る変態コンビ。

「これ買い取り出来ますかね…」とか真剣な顔で言うんじゃねぇよ。ファンが見たら泣くぞマジで。


結局俺は手渡されたセーラー服(女子用)、トキヤは吸血鬼、聖川は医者の衣装を着て撮影に臨んだ。自分だけ女装なのがものすごく気に入らなかったが、もうこれ以上コイツらの相手をするのは面倒だ仕方ねぇ。


うん、仕方ない。


あー俺も彼女が欲しい。一体どうすりゃコイツらみたいに可愛くて、コスプレしてエッチしてくれる(いや、実際知らねぇけど)彼女が出来るんだ!
教えてくれ分かる人!




───

翔ちゃんごめん(^p^)




  
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