[8]海と笑顔とパラソルと
by あずさ
2011/03/03 15:47
・温泉旅行の昼間、海に行ったワンシーン
・大樹一人称
・短い
たっくさん海ではしゃぎ回っていたら、少しして、シヴァ兄が「休憩」とビーチに突き刺していたパラソルの下に移動した。
シヴァ兄は強いけど、ちょっと、うん、ちょっと体が弱い。
ふつうに家で過ごしてる分にはあんまわかんないけど、やっぱりはしゃぎすぎるのは良くなかったのかもしれない。
オレとクリアは顔を見合わせて、何となくしゅんと肩を落とす。
オレら、ムキになって騒ぎすぎたもんな。反省。
そうやって二人で少し落ち込んでいたら、優乃姉がポンって軽くオレらの肩を叩いた。
優乃姉がこうやって叩くと、何となく元気を分けてもらえたような気がして嬉しくなる。
「ほら、二人共」
「優乃姉」
「おねえさま?」
「あっち、見てみろ」
優乃姉が指を差したのは、シヴァ兄が休んでるパラソルの方。
オレとクリアはつられるままにそっちに顔を向けて。
見ると、シヴァ兄が笑って小さく手を振っていた。
「ほら、大丈夫だろ? 休めばすぐに良くなるさ。だから二人もそんな顔してないで、遊ばないともったいないぞ」
オレとクリアはもう一度顔を見合わせて、互いに笑って大きくうなずく。
太陽の下で眩しい優乃姉の笑顔と、パラソルの下で微笑うシヴァ兄の笑顔。
それは夏の太陽なんかに負けないくらい、強くてあったかくて、オレたちの気持ちを明るくしてくれるんだ。
【海と笑顔とパラソルと】
(その後休んでたシヴァ兄をナンパしに来た男たちが――すごい笑顔のシヴァ兄に蹴散らされていたけど、あの笑顔は、ちょっと怖いかも)
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