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夕方16:20、予定より早く帰宅。
母さんが少し立て込んでいて、夕飯作るのが遅くなるかもしれないと朝言っていたから夕飯の買出しをして、用意して待っていてあげようと思ったのだが、ただいま、と家に帰ったらお父さんが見知らぬ女性とソファでもつれ合っていた。



「…Jr.…」

「あら、お帰りなさいJr.くん?いやぁん、XANXUS様の息子様?か・わ・い・い」

「………」



見る人には永久凍土と称されるオレの視線だが、今はどうなっているだろうか。
絶対零度まで下がって、氷河期まで遡ってもこんなに冷たい視線を体現できる人間は居ないんじゃないかと思う。



「待て、Jr.」



言い訳は聞かないとばかりにリビングの床を滑るようにして滑走。母さんがお父さんと日本旅行に行ったときに買ってきたと言う小さなお菓子の食品サンプルが揺れるカギをお父さんと女性が寝ころぶソファにドファッと突き立てる。



「お父さん、2、3質問したいんだけどいい?」

「…………」

「やだぁ、見た目は仔羊ちゃんなのにオオカミみたいに獰猛なのね…いい…いいわ…!」

「おい待て、Jr.に手を出すな…!」

「まだJr.くん13歳以下よね?あと5年したらぜひとも味見したいわぁ…」

「お前みたいな阿婆擦れに息子をやるか!!」

「お父さん」

「あ?」

「質問するって言ったよね。この人だれ?」

「……愛人」

「………へぇ、昼間から母さんがいないのをいいことに愛人囲って…」



ソファから鍵を引き抜いて−273.15 ℃の視線を浴びせれば、お父さんはオレがセミの抜け殻を投げつけるときのような視線を向けてくる。
今度はお父さんの顔面の横に鍵を突き刺して自分の顔を一気に近づけて詰め寄る。



「ねえ、普段から母さんに対してどう思ってるのか考えてたけど、オレ、母さんを連れてちょっと家を出るから」

「待て、Jr.…!なんでお前アイツよりの顔なのにそんな怖い顔ができるんだ…!?」

「ただいまー!」



乱れた服装のまま覆いかぶさる女性の下からお父さんを引きずりだして床に落としてから、母さんを迎えに玄関に走る。
こんな現場を見られたらお父さんの頭を冷やす前に離婚調停に入ってしまう。
玄関に迎えに行けば母さんは靴を脱いで玄関マットの位置を調節している。



「おかえり、母さん。早かったね」

「ただいまJr.〜!疲れたーぎゅーってしてー」

「はいはい」



ぎゅう〜。母さんはこんなのをすると喜ぶから、抱きしめて頭を撫でたら嬉しそうにはにかんだのがつたわってきた。



「ボスにもただいましてくる!」

「母さん」

「ん?」

「ちょっとお願いがあるんだ。学校で課題がでちゃって、旅行日記つけなきゃいけないんだよ。今から旅行に行こう」



裾を引っ張っておねだり。
かなり無茶のある話だけど、大丈夫、俺は学習している。母さんならオレが無邪気そうな顔をすれば無条件に信じてくれる、と。



「えーっ、ホント?Jr.一緒に旅行に行ってくれるの?やったー!!行こう行こう!ボスも呼んで、」

「お父さんはソファの寝心地がいいから動きたくないって言ってたんだ…。だから二人で行こう」

「ええー、ボスってば体力有り余ってるんだから旅行くらい付き合ってくれてもいいのに」

「そうだね、でもお父さんが行きたくないって言うのに無理に誘うのも可哀想だよ」

「ううう…」

「あらぁ、幹部ちゃん久しぶり!!」

「!!」



黙ってお父さんと並んで正座と反省会でもしながら閉じこもってればいいものを、先ほどのお父さんの愛人が部屋から出てきてしまった。…正妻に宣戦布告してお父さんを奪おうってわけか。
しかも、久しぶりってことは母さんの昔の知り合い以上ではあるわけだ。まためんどくさい女に手を出したなお父さんは…。どうしのごうかと頭を廻らせていれば、母さんは何を思ったかぱあっと笑顔で愛人の女性に抱きついた。…相当この人に信頼を置いてたのか…!母さんに浮気の事実は伝えちゃいけない!



「愛人さんだ〜ひさしぶり!!」

「かあさ、え?」



いやいや、母さんの口からあいじんって言葉が出た上に愛人さんに熱烈なハグを。待って。ってことはお父さん前にも浮気がばれて今回同じ女の人と二回目の浮気って言う…!?



「待てって言ってんだろ」

「お父さん…!?どういうこと?」

「その前にその女から幹部を引っぺがせ」

「は?」

「幹部ちゃん、相変わらずかわいらしいのね…かわいらしい人妻…そそるわ…」

「そそる?」

「とってもおいしそうって意味よ!」

「旬みたいな?」

「帰れ!!」

「…!?」



お父さんが力づくで母さんから愛人をひっぺがした。
母さん引きずってるけど大丈夫?



「だからこいつには近寄るなって何度も言ってんだろうがあああ」

「酷い、私は老若男女13歳以上は大体タイプなのに…!!こんなかわいらしい子を口説かせてくれないなんて…そしていつの間にかXANXUS様ったら幹部ちゃんの処女もいただいたのね…?詳しく、二人の口から生々しく詳しく聞かせてくださいませ…!!」

「帰れええええ」



お父さんの全力の拒否モードを見るに、もしかしてこの愛人の人…13歳を超えていれば誰でも襲うのか!?背筋がぞぉっとして愛人の腰に絡んだままの母さんをはがして強制撤退。お父さん、後は頼みます。なんだ、お父さんはやっぱりいざって時は頼りになる人だったんだ…!!






20131006.


Special Thanks 夜明け前
(タイトルをつけさせていただきました。ありがとうございます!)



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