※リコとニコラ(スクアーロ妹連載)と幹部(アホな幹部連載)学パロ
ただいま大量のプリントを運んでいて腕が震えている。
重い…しかし第二準備室まで運ばねば、と足元が見えなくてぐきっとひねり倒れそうになった。
「おいリコ!何してる!」
と。ふらついたら後ろから抱き留めてくれたのは同じクラス委員のニコラだ。誰が言い出したかは知らないが王子と姫コンビと呼ばれている。
無論、どちらが王子かは言うまでもなく男子女子問わず男前と評価高い人気者のニコラの方だが。
対して私は腕も細いし背も小さいし、顔も女顔。情けなさすぎる体格でなんだか隣を歩くのが辛い。
「大丈夫か?ああ、脚をひねったのか。」
身長差と腕力相まって私と私が重くて震えるほどのプリントの重量がかかっているはずのニコラの腕はびくともしない。
そのまま抱えて廊下の隅に座らせ、脚を検分。
「全く…誰だこんな重いもの運べなんて言ったやつは」
「私はクラス委員ですから…」
「なら何故私も呼ばない」
「………」
正直、女性に力仕事を頼むのははばかられたのだ。
貧弱かつ貧相ながら私にもプライドがある。ニコラは私なんかよりよほど力持ちだとは分かっていても、である。
「全く…こんな量のプリント、二人以上は必須だろう」
「……すみません」
とことん情けないと思う。
二人以上の力配分の前に恐らくリコの腕力ならば、と入るのだろう。
当然だ。なにせさっきニコラは私とプリント分の重量を楽に運んで見せた。ニコラはお兄さんと違って人を立てることも人にプライドがあることも分かっているから言う言葉を推考してくれただけだ。
「プリントは私に任せて、保健室行ってこい」
「で、でも…」
「幹部呼んでやる」
「えっ!?」
「お前幹部の言うことはわりかし聞くからな」
「よく見てますね…」
本当に彼女は人のことよく見ている。XANXUS先輩にもバレるくらいだから私がわかりやすいのかもしれないが。
「当たり前だ。リコは要注意人物だからな」
カチカチと携帯に幹部を呼び出す文を打ち込みながら口に出された言葉に背筋が固まる。
要注意人物なんて言われたことがなかった。
どちらかと言えば手が掛からないと言われてきたつもりである。
「な、なぜですか?」
「リコはほとんどの事を出来ますっていって背負い込むからな」
「へ?」
送信が終わったのか携帯を閉じ私の方に向き直る。
「まあリコは確かに頭がいいから大体のことは出来るしこなせる。出来ることをやるのはかまわないが、手一杯まで抱え込むから見ていて危なっかしいぞ」
「………」
「やらない奴は尻叩いてやらせなきゃならないが、リコは頑張りすぎるからブレーキかけてやらなきゃならない。よってリコは一番注意して見ているつもりだ」
「…………」
本当に、よく見ている。
舌を巻くほどに。
これでは確かに王子様だろう。
ならばきっと。
私が幹部が好きなのも。
とうの昔に承知置きなのだろうと思う。
「…あなたには適いませんね」
「そうか?」
幹部が遠くからリコォオオ!と叫びながら走ってきて通行人を何人かひきながら飛び込んできた。
「リコがぁああ!!」
「だ、大丈夫ですから…」
「だめっ!」
「幹部、私はプリント持って行くからリコは任せたぞ」
「うんっ!呼んでくれてありがとニコラちゃん!!」
「リコを頼んだ」
「うん!行こう!リコ!!」
「ま、ちょっと、抱えないでくださ、」
ちらり。ニコラが視界に入って目があったらウィンクされた。
「………っ」
(好きなだけで幸せなんて誰が言ったんだろう)(毎日泣きながら、それでも見てしまう私は)
20130909(title:反転コンタクトさま).
Special Thanks
夜明け前
(反転コンタクト4周年記念にいただきました。ありがとうございます!)
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