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おぎゃあおぎゃあ。
昼夜問わないその騒音のような耳障りな泣き声は不眠になるのも無理はない音量だが夜の物音を聞くに、母親である幹部こそ一週間寝ていない。
目の下のくまが見ていて痛々しいレベルになっている。


「…少しは寝ろ」

「Jr.も、ねて、な…」


言いながらこっくりこっくり船をこぐ。それでも細い腕は固まったように絶対に赤ん坊を手放さなかった。


「…夜泣きがひでぇな」

「…ん…」

「……誰かに預けとくから寝てろ」

「んー…」

「聞いてんのか」


大きなあくび一つしてようやく重そうな瞼をあげた幹部はこっちを見ていた。


「…ボス、あかちゃんは何で泣くと思う?」

「は?」

「わたしね、不安だからだと思うんだよね」

「なにを、」

「何もわからないところにいきなり一人で放り出されたら普通不安だし怖いじゃん」

「……」

「だからお母さんは、赤ちゃんに大丈夫だよ怖くないよって教えてあげるんだよ。お父さんもお母さんも居るよって」

「……。」

「泣かなくなるまで、不安がなくなるまで。怖いことから守ってあげるって教えてあげなきゃ。…だから物心着くまでは、どんなに大変でも泣いたらわたしJr.の所に駆け寄る、んだ、よ…」


こっくりこっくり。
喋りながらまたしても船をこぎ始めた隣に座って肩を貸してやる。
眠くてもこんなわがままなガキがここまでちゃんとお母さんをしているのだ。オレもお父さんをしないと示しも着かないだろう。


「ならオレにもガキをみる権利はあるな?」

「うん、ん?」

「かせ」

「でもボス、」

「ガキを安心させるお父さん、なんだろうが。オレが」

「……うん!」






(少しだけあなたに預けて星の砂時計を落として眠る)


(何だろう私なんだかうれしいです)(どうしたぁ?)(子供三人面倒見てるようなものかと思ってたんですけど)(…そうだなぁ)(ちゃんとお父さんお母さんしてますね…)(お前が泣くなぁ…)


20130408(title:反転コンタクトさま).


Special Thanks 夜明け前
(ありがとうございました!)



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