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ベスターは暇さえあれば小さくなってしまった自分の恋人に主たちの目の前ですりすりと羞恥プレイを敢行していたが、今日は少し様子が違った。ぴく、一瞬だ。その一瞬の変化を気づけたものはその場には本人とアーロしかいない。アーロが首をかしげた。

「ベスター?」
「……なんでもない、そうだ。ちょっと外の空気吸いに行きたくないか?」
「うん!いきたい!」

アーロがにっこりと嬉しそうに眼を瞬かせたので、掌に乗せて、ちょっと行ってくる。と出て行ってしまった。この微妙な違和感に気づいていたら―――オレもあんな間男なんざにあわずに済んだだろうに。
しかしそれも、予感が確信に変わる頃には部屋の前にノックが来ていた。



「XANXUS!遊びに来たぜ」
「チィッ!」

率直な感想が口から出てしまう――それくらいXANXUSはこの男を毛虫のごとく嫌っていた。誰にでも甘い言葉が吐ける達人、間男ディーノ…!!間違えた跳ね馬ディーノ。しかしこの際だから間男でもあってしまっている。そのくらい警戒している、と言い換えてしまってもいい。とにもかくにもその男が、スクアーロがこんなかわいい状態なのにもかかわらず来てしまったことだ。
ここ最近で一番来てほしくなかった来客の襲来である。だいたいにもって、こんな軽い挨拶でもって遊びに来るような間柄ではないはずだ。思わず舌打ちしてスクアーロをバスケットから拾い上げる。返事もしていないのに、ディーノが入ってきた。イライライライラ。誰が入室を許可したこのカス…!



「XANXUS、…あれ、スクアーロいないんだ、―――な?」
「……誰が入室を許可したテメェ」
「……何握ってんだ?人形?」


銀色の髪がたなびく後姿だけ見えてしまったのだろう。跳ね馬が、まさかXANXUS、スクアーロがいなくて寂しすぎて自作の人形でも作ってしまったのではなかろうかと心配してしまいそうだったが、掌の人形みたいなサイズのスクアーロは振り返って答えてしまう。


「誰が人形だぁ」
「へ?」
「人形じゃねぇぞぉ!」
「スクアーロ?」
「チッ」


本日二度目の舌打ち。 わー、と好奇心に任せ近づいてきたカスに蹴りを入れれば跳ね馬は蹴られた腰を押さえながらこちらを見てきた。


「な、なんだXANXUS!?」
「近寄るな間男!死ね!」


ただ単に近づいただけで間男呼ばわりされ死ねと詰られあまつさえ蹴りを入れられてしまった。凄まじい独占欲。スクアーロの事大好きなんだなぁと実感すると同時に笑ってしまい今度は花瓶が飛んできた。もう片手に掴んだスクアーロも同時に強く握ってしまったらしく「ぐはぁっ!」とか喚いていたが花瓶の砕け散る音に掻き消される。


「うわっ」
「 帰 れ 」
「お中元持ってきただけだって。そう邪険にするなよ」
「っ、ボス、握力を弱めろぉ!ち――窒息する!!」


はっ、てのひらに握ったスクアーロから死にそうな声が。慌てて緩めればゼーハーと荒く呼吸を繰り返している。


「だ、大丈夫かスクアーロ」
「てめぇには関係ねぇ事だ。お中元もいらねぇから、さっさと帰れ」
「ん?つーかスクアーロ…それ、人形の服でも取り寄せたのか?」
「仕方ねぇだろぉ、サイズの合う服がねぇんだからよぉ…しげしげ見んな!オレだって好きでやってるんじゃねぇ」


完無視だと…?
しかもちゃっかりカスと会話してるし……ドカスがぁああ!!全員ぶっ殺してやる!
とても極端なXANXUS。返事した方も同罪らしい。


「触っていいか?」
「断る」
「えっ、なんで?」
「こうなってからXANXUS以外に触らせてねぇ、こいつ以外に触られたくない」
「………、………。」
「弱み見せるのはこいつだけで充分だぁ」


特上ののろけを喰らったディーノは苦笑いをこぼし、じゃあ仕方ねーな。と呟いてお中元を置いて出て行ったという。





(チリンカラリと君を待つ)

(まあそれでもやっぱ片思いで終わるんだろうけど)(幸せそうなお前が見れればそれで良いと思えるようになったのは)(やっぱ昔から幸せそうな顔したこと無い二人が、今すげぇ幸せそうに見えるから、かな)


20120816(Title:反転コンタクト様).


Special Thanks 夜明け前
(ありがとうございました!)



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