HTF | word count 1963
深夜の一発勝負。月夜のフリフレです。息抜きなので内容は薄め。


 
 インターホンが遠慮がちになれば、フレイキーがそっと顔を覗かせている。そういえば彼女、近くに家はないが便宜上は隣人だった。手に持った回覧板と、彼女のものだろうと思われるスクーターが目に入り、申し訳ない気持ちになってしまう。

「ごめんね、遠かっただろう?」

「うん……さっきもきたんだけど居なかったみたいだね。何かして居たの?」

 笑っているのか困っているのかよくわからない顔で言われてしまい、体を縮めるしかなかった。二度もきてくれたのか。

「ううん、大丈夫。お買い物の帰りだから」

「そっか……ごめんねさっきはその……ちょっと用事があって。でも回覧板なんてそこにおいててくれればよかったのに」

 そういえば彼女はふるふると頭を横に振った。なぜだろうと思っていると、僕の手に渡っていた回覧板をそっと開いて、あるプリントを僕の前に差し出した。

「フリッピーの家ってみんなの家から離れてるでしょ? だから回るの遅かったから……実はね、今日お月見会があるんだ」

……月見? 言うか言わないかたっぷり一分悩んだ後、真っ赤になって頷く彼女は

「だからね、きて欲しいなって思って!」

困ったようにも見える顔を崩して笑った。
 どうせフリッピーはみないでしょ? と言われてしまっては図星なので困る。しかも二度も来てはお誘いを受けてしまった。しかし少し気がかりなことがあるのだ。断るのも失礼だが、わざと困ったような顔をしてみる。

「でもね、僕が行ってしまっては……その、さっきもね。だから、お月見は……」

「そ、そんなことないよ! ほら夜だし、みんなもいるから、きっと大丈夫だよ。……駄目かな」

 そう首を傾げて言われてしまえば、断る理由はもはや見つからなかった。逆に夜でみんながいるから怖いのだが、こんな僕と一緒に行きたいと言ってくれているのだ。喜ばなくてどうする。

 それから彼女は公園で集合することを約束し、重そうな荷物を抱えて行ってしまった。お月見用に団子を作るそうだ。ナッティに食べられなければいいけど、甘くないから大丈夫だろう。逆にそれが不安でもあるけど。

「さて、夜までには片付けないと……ね」

 扉を閉めて振り返った先の光景に苦笑を漏らし、ふと時計を見上げた。

 窓の外はもう暗い空が広がっていた。黄色のかかった光が漏れていて、夜だということを示していた。
 約束の時間と現在の時刻を照らし合わせると、そろそろ出かける時間だろう。この家は町外れにあるので、歩けばそれなりにかかる。車を出せばもう少しゆっくりしていられるが、この間のことがフラッシュバックしてしまい気がひける。

 結局近くを通りかかったバスに乗ることにして公園に着けば、すでにフレイキーがいた。どうやらカドルスたちと遊んでいたようで、粉まみれの顔でむせ返っていた。

「やあ、こんばんは。団子作りは終わったの?」

「うん……。ちょっと粉が足りなかったんだけど、買って来たら逆に余っちゃって。そしたらいきなりカドルスとトゥーシーが粉の掛け合いっこ始めちゃって……巻き込まれちゃったんだ」

 フレイキーが指差す方に目をやれば、白い粉まみれではしゃいでいる二人がいた。食べ物を粗末にするなと言いたいけど、あれは食べ物なのか……。
 周りに目をやれば、結構色々な人が来ているみたいだ。しばらく月を見つめていると、公園とその周りの家の明かりが消えた。こちらの方がよく見えるだろう、ということか。

 いきなり消えてしまったからしばらく闇に目が慣れない。慣らすためにじっと月を見つめていると、ふと悲鳴が上がった。

 ペチュニアの悲鳴だった。声の発生源にみんなが注目すると、カドルスとトゥーシーの粉まみれの姿を見て、叫んでしまったらしい。
 問題はここからだ。フレイキーが悲鳴を聞いた途端持っていたお皿を落としてしまった。不幸かな、この公園は芝生ではなく石畳だった。

 ガシャン。あたりに響いたその破裂音は聞き覚えがあった。

「……フリッピー?」

 彼女の怯える顔を僕がただひたすらに見つめていた。僕がそのままナイフを振りかざすと、悲鳴をあげるかと思われた彼女は、予想を裏切ってへらりと笑った。

「……僕見ちゃったの。フリッピーの部屋がぐちゃぐちゃになってて、きっとあなたがやったんだよね。ごめんね、僕のわがままに付き合わなかったらあなたは出てくることはなかったのに……。でも、もうちょっとだけ。付き合ってほしいの」

 怯えながら、彼女はにこりと笑った。その目には涙が浮かんでいるのに、逃げなかった。その代わり、決心したように顔を真っ赤にしながら言った。

「あのね、ずっと言ってみたかったの。月が綺麗だねって」

「そうか……だが、俺に言うべき言葉じゃないはずだ。そうだな、明日言えよ。きっと明日は綺麗なはずだから」

 僕が笑って、彼女の顔へナイフを突き立てていた。

覚醒フリちゃん→フレちゃん←通常フリちゃんでいちゃいちゃ……かと思いきや、文がおかしいとか物語がおかしいとか以前に、根本的な所でミスってしまいました。なんで一人称書きで書いたの、私……。
今書いている少し長めの文の合間に息抜きしたかった。
眠気とやる気の損失で煮詰めてないし、題名もあれですが強制終了。

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