キーンコーン――

一日の授業を終える知らせの鐘が学校全体に鳴り響く。
十代目の補習を待っていたが、そろそろ終わる時間だから迎えに行こうかと席を立った時。

「隼人」

突然聞こえた声に振り向けば、そこには俺の幼馴染みの苗字名前がいた。
――嫌な予感が、する。

「隼人、ちょっと聞いてよー」

名前が嬉しそうに顔を綻ばせて勢い良く開いたドアから教室に入ってくる。
やっぱりな。こういう時は大体惚気話なんだよな…

「…オレは聞かねぇよ、野球バカにでも話せ」
「今日、恭弥に会いに応接室行ったんだけどね」
「っだー!テメェ人の話聞きやがれ!」
「それでねー、」

俺が叫ぶも名前は言葉を続ける。

…あぁ、聞こえてねぇんだろうな。
今のコイツにまともに話を聞かせるのは無理だな、絶対に。

オレは飽きれかえって罵声を浴びせる気も起きなかった。
はぁ、と大きな溜息を一つ付けば、仕方なしに名前の話に聴き入る。

「でね、今日私がずっと見詰めてたらさ、照れながら目逸らしたんだよ?すっごい可愛いと思わない?」

…あの雲雀を可愛い、なんて言えるのは恐らくお前ぐれぇだろうな。

「恭弥は照れ屋さんなんだね!」

……
………は?

「…おい、それって、」
「きっとツンデレさんなんだよね、可愛いー!」

あぁもう、言葉遮んじゃねぇよテメェ…!
…つーかよ、それって照れてるんじゃなくて、

「鬱陶しく思ってんじゃねぇの?」




(えー、何言ってんの?恭ちゃんはツンデレなんだよ!)
(いや、だから目逸らしたのは…)
(ね、隼人も可愛いと思わない?)
((…コイツとまともに会話しようとした俺が馬鹿だった))
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