「はやてー!飯ー!」


家に帰るとおいしそうな匂いとエプロン姿のはやてが出迎えてくれた。今日は非番やから頑張って作るで!と言っていたのはどうやら本気だったらしい。


「はらへったー」
「先に食べる?もう出来とるけど…」
「食う!」


ゆっくり二人で食事を摂るのはいつぶりだったか。よく覚えていない程度には前だったと思う。思わず頬を緩ませてテーブルを見ると、なるほど、確かに気合いを入れたらしい。物凄い量の料理が並べられていく。ちょっと作りすぎじゃねぇか?ふと浮かんだ疑問は直ぐさま打ち消した。これぐらい、余裕。我が家で食事が余ったことは今の所一度もない。

同時に食べ始めたものの、食べ終わるのは毎度のことながらはやての方が早かった。にこにこ、効果音が聞こえてきそうなくらいの笑顔を浮かべてこっちを見てくる。時折頬杖をついている右手を外してはから揚げを摘んだ。


「やっぱ、誰かと食べるのってえぇなあ」
「…」
「うん、おいしいわ。な、ヴィータ?」
「…はやて…」
「ん?おかわりいるん?」


屈託のない笑顔を向けられると急に恥ずかしくなった。別に、そういうわけじゃないんだけど…。いや、おかわりも食べるんだけれども。「ん、」と言いながら椀を差し出して、言葉を探した。


「あー、えーっと…」
「おかわりなら心配せんでええよ?」
「そうじゃ…なくて…、」
「…?」
「…ごはん…アタシもおいしい、よ…」
「え?」
「だっ、だから!これからもずっと一緒にご飯食べてあげるって言ってるの!」
「…ヴィータ…、」
「…っ」


立派になったなぁ、などと言いながら頭をわしわしと撫でられる。
ほんま、ヴィータがこないなこと言うなんて…。大人になったなぁ。お姉ちゃん嬉しい!
好き勝手言われるのは別に、嫌…じゃない、けど。正直なところ、恥ずかしすぎる。もしリィンが戻ってきたらどーすんだ。


アタシはこの状況を打開するために椀の中身を掻っ込んで高らかに言い放った。



「お、おかわり!!!」





エマオの晩餐







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「はやてさんが一人ぼっちで料理作って冷凍保存」っていうのにときめいたんです



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