とある日の朝








「かすが、ごみをだしてきてはくれませんか?」
「はい!謙信様!」

家主である謙信様の命により、ガラリと戸を開けゴミを出す。
(…なんだか汚れているな…)

昨日の台風の影響か、植木は倒れていないものの落ち葉やらゴミやらが散らばっている状態だ。

よし、謙信様の為…玄関を掃こう!

そう思い立ち、私は箒とチリトリを手に取った。




(…?なんだ…これは…?)

いざ掃こうと家と向かい合えばそこには鉄の板。

まぁ、立てかけておけばいいか…


vの字に曲がったそれを立てかけ、私は掃除を始めた。





(…この下も掃いておいたほうがいいだろうな…)

数分足らずでほぼ掃き終わり、私は段差を緩めるあの板(名前がわからない)に目をつける。

いざ!とそれを足で退ければ、私はびっくりして飛び跳ねた

「#&*℃¥@*!?」

下にミミズがいたらしく、そいつもびっくりしてのた打ち回っているではないか


(びびびびっくりした…)


誰もいないよな…?

そいつが大人しくなったのを確認し、キョロッと見回せば丁度家に入るであろう武田さんに会釈をされた




(みっ、見られていた!!)

軽く取り乱しながら会釈を返してそいつに向き直る


ミミズ如き、そう怖がるものでもない!
ただ気持ち悪いだけだ!!

チリトリを構え、私は移動させる作戦に出た

(謙信様の家に虫の一匹も侵入させてなるものか!)

そこに溜まっていた少量の砂利と共にチリトリを滑り込ませる

(あ…暴れるな!!)

やっぱり暴れたミミズに箒を構えてこちらに来ないように壁を作る

(よし!今だっ!)

そいつが大人しくなったのを確認し、私は箒を構えたままダッと家の前の土手へ走った





「ふぅ…」
「へぇ〜、かすがってミミズだめなんだ〜」
「さっ、佐助!?」



ミミズを放って一息つけば、ひとりだったはずなのに突然横から掛けられた声に肩を跳ねさせた



「いや〜大将がなにやってるのか気になってたから出てきてみたけど…ふ〜ん?」
「べっ、別にミミズなんて怖くないっ!」
「(怖いんだ…)ふ〜ん?じゃあ触ってみせてよ」


ほら、とさっき放ったミミズを掴んで私の前に差し出す







うねうねうねうねうね…






「せっ…折角土に帰したのに貴様ぁっ!!」
「ぐはぁっ!?」
「ふんっ!」

佐助の脇腹(鳩尾を狙うと佐助がミミズを落としたときに避けきれない)に思いっきり蹴りを入れて私は家に逃げ込んだのだった



やけに鋭い幼なじみに声が上擦っていたことを気づかれてないと信じて








(かすが、はいてくださりありがとうございます。さぁ、あさげにしましょう…)
(はい!謙信様っ!)






...end


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bkm
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