じゃあね、と一言だけ残して離れていく後ろ姿が見えなくなるまで目で追いかけた。

送って行くと申し出たのを大丈夫だと断って、ふわりと笑った顔が離れない。

彼女と一緒に降りたホームへ今度は一人で戻る。窓に流れる闇にチカチカ明かりの灯る景色を眺めても、人混みに紛れて家路を歩いても、頭に思い浮かぶのは君の声、色んな表情。それから、忘れられない温もり。

自分には不似合いなベビーピンクのマフラーに少し鼻先を埋めて大きく息を吸う。

「ネジの方が寒そうよ」

そう言って柔らかく微笑んで。
微かに残った甘い香りと一緒に記憶が蘇る。

寒くて温かくて切なくて、君を求めて心が泣くんだ。

さっき別れたばかりなのにすぐに会いたくなるなんて。
こんなオレを彼女は笑うだろうか。それとも同じことを思ったと、あの笑顔で言ってくれる?

この距離も、夜も飛び越えて今すぐ会いたい。

君に会いたい。

それからこの腕で抱き締めたい。

こんなにも、こんなにも、心が君を求めて泣くんだ。







とある大好きな歌がモチーフ…なんだけど全然別物に…
聴いたら泣いてしまうくらい大好きな曲です






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -