「ねー、まだー?」

「もうすぐだから」

「まだぁ?」

網の上で少し膨らみ始めた餅を見ながらテンテンが目を輝かせる。

「すぐ焼けるから座っとけ」

オレにくっついたり離れたり落ち着きのないテンテンにそう言うと、彼女は軽い足取りで炬燵に潜り込んだ。
その間にも餅は膨らみ続ける。あと少し焦げ目がついたら食べ頃だ。

良い具合に焼けた餅を皿に移して彼女に手渡す。熱いぞというオレの言葉も無視して餅にかぶりついた瞬間、テンテンは涙目になりながら熱いと訴えてきた。……だからそう言ったじゃないか。

「でも美味しい。さすがネジ!焼き方完璧!」

調子の良いやつと思いながらも、誉められて悪い気はしない。

オレも餅を食べようと箸を手にしたが、視界に入った時計があることを知らせてくる。

「……あ」

「なに?」

「年が明けた」

「え?ホントだ」

うっかりしてた、知らないうちに日付が変わっていたなんて。こんな風に年を越したのは初めてだ。

「明けましておめでとう」

炬燵の中でギュッと手を握られ、予想外の彼女の行動に驚かされる。


「今年もよろしくお願いします」


「よろしく」


隣で笑うテンテンを見てたら何だか良い1年になりそう、とか。
調子が良いのは自分の方かもしれないと思いながらも、握った手はしばらく離せそうになかった。





年越しネジテン^^
これからお餅を焼くのはネジの役目になります






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