やだ。嘘、もう最悪。
新年早々そんなことばかり言うなんて自分でも嫌になる。
「いい加減忘れろ。ただの運試しだろう」
そう言って私を宥めようとするネジを自分でも思いもよらず睨んでしまった。
あぁ、もう。やっぱり最悪。
「他人事だからネジはそうやって言えるんだよ……」
「他人事って、」
だって、だって――。
「だってネジは大吉引いたから笑ってられるのよ」
いや、実際は笑ってなんか無いけど。
力無く呟くと、私は右手に握りしめてた紙をまた見直した。
やっぱりそこに書かれた文字は変わってない。
あぁ、どうして。よりによって今年に引くなんて。
と言うか、本当に大凶ってあったのね……。
何もこんな形で教えてくれなくていいじゃない。
神社にいながら罰当たりなことに私は神様を少しだけ呪った。
だって今年は本当に神頼する位、大切なことがあるのよ。
「受験生なのに……」
泣きそうな程に落ち込んだ私の声にネジが溜め息を吐いた。
呆れてるかな。怒ってるのかな。
さっきから砂利しか見えてない私には、彼の表情を確認することができなかった。
顔なんて上げたら本当に泣いてしまいそう。
「テンテン、それ渡せ」
何を?なんて聞く前に素早く私の手から抜き取った。つまり、その、彼が言うところの『運試しに興じる為のただの紙切れ』であるそれを、だ。
「なっ…何するの」
「こっちをやる。だからあまり落ち込むな」
彼は自分の引いたおみくじを差し出した。
正真正銘、大吉と書かれたおみくじ。
「良いくじを引いたら持っているといいらしい」
だからお前が持っておけ。そう言いながら、ネジは私の大凶おみくじを細く畳んでいた。
良くない結果が出たら木とかに結び付けるって言うものね……それは確かにそうなんだけど。
「えっと、ネジが引いたのに私が持ってて意味あるのかな」
「さあ、それはお前次第なんじゃないか」
じーっとおみくじを見つめる私に彼は小さく笑った。
「あ、でも!今度はネジの運が悪くなったりしない?」
「オレが大吉でお前が大凶なら、合わせてプラスマイナスゼロくらいになるんじゃないか?」
「ふふっ、何それ。ネジって変なとこで大雑把だよね」
「それ以上まだ何か言うなら……」
「あっ、やだやだ。もう変なこと言わないから、ね」
あれ、さっきまであんなに落ち込んでたのにもう笑ってる。
自分でも呆れるくらい何だか幸せな気分。
そして笑う私を見て一安心したのか、ネジはおみくじを括りに行った。
ようやく顔を上げられた私の目には綺麗に並べられた色とりどりのお守りが写る。
そういえば、お守りを買うのも当初の目的に入っていた。
でも……。
「すみません、これください」
1つだけ購入したのは私じゃなくてネジの分。
だって、私は持ってるんだもの。
どんなにご利益のある物より最強の、幸せになれるお守り。
「ねぇ、帰ったら何しようか?」
「勉強」
「ぅ……やっぱり」
「母さんが…」
「え?」
「母さんがお前が来るからって汁粉作ってる」
「わ、ホントに!?じゃあ早く帰ろ」
「……単純なヤツ」
「何か言った?」
「いや、何も」
「ほらネジ、早くっ!」
「はいはい」
ネジテンで初詣ネタでした^^
ちなみに管理人が引いたおみくじには要約すると(恋愛の)相手は顔じゃなくて中身で選べ的なことが書いてありました
神様マジ容赦ない(^q^)
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