テーブルの上に並べられた食べ物を時々摘まみながら、私たちはお喋りに夢中になった。

ネジとリーと私、それから後輩の面々。
久しぶりに集まったいつものメンバーで食べて飲んで騒いで。

男の子たち……と言っていい年齢なのか微妙なところだが。馬鹿みたいに騒いでいる様子からしてもとてもじゃないが同年代と思えない彼らは、お酒が入った為か、とても楽しそう。

時々シカマルの怒声が飛ぶ。こういうとき常識人って大変だ。
そういう意味では彼だって常識の塊みたいな人なのだが、面倒なのか関わりたくないのか、さっきから黙りを決め込んでいるらしい。

もっとも、お喋りに夢中な私はそんなこと気にしていない。

仕事のこと、将来のこと、恋愛のこと……。
話したいことは沢山あるし、聞きたいこともいっぱいある。女の子が4人も集まれば、会話が尽きるなんてこと無いのは当然。


「綱手様ったらホントに人使い荒くて……」

「そーそー、合コン誘ったって来てくれないんですよぉサクラ」

「いのちゃんそんなのに行ってたの?」

「いいなぁ、楽しそう。ね、かっこいい人いた?」

「それがちょっと聞いてくださいよー」


私たちはお酒になんて目もくれず、ひたすら話に花を咲かせた。
男子と女子を挟んだ真ん中では、皿の上の料理が次々とチョウジの胃袋の中へ消えていく。もはや彼の独壇場だと言ってもいいくらいだ。


「テンテンさんも今度どうですか?ぜひ」

「うーん、そうね。考えとくわ」


そんなことを笑いながら話していると、いつの間にか1つの影が私の側に寄ってきた。
音もなく現れたその人は、感情の読めない白い瞳で私たちを見下ろしている。

「……ネジ?」

もしかして今の話聞かれちゃったかな、と嫌な汗がわき上がる。

さっきのがただの冗談だということは誰が聞いても分かるはずだが、たまにそんな冗談が通じない相手がいる。
彼はまさしくそういうタイプなわけで……。


しばらく無言の応酬が続き。

突然、ドカリと胡座を組んで私の隣に腰を下ろした。


唖然とする8つの目などものともせず、そのまま私の肩に頭を預けてくる彼。

これには私も驚いた。
だって、おかしい。ネジがこんな事するわけない。

一体どうしたんだろうと彼の顔を覗き込んだ私は無意識に顔をしかめた。

いつもより強いアルコールの香りがする。


「ネジ、結構飲んだの?」

「……ん、疲れた」


答えになってない返事だけすると、彼はゆっくり目を閉じてしまう。

その後も何度名前を呼んでも起きなくて、それを見てたサクラたちから可愛いなんて言われる始末。キバとナルトなんてすごく面白そうに眺めてるし。

ね、先輩。そろそろ起きなきゃ大変だよ。

でも、こんなネジ滅多に見られないし良いかな。なんて思いながら、いつもより静かな夜がゆっくりと過ぎていった。








チュンチュンと雀の鳴く声がして。

それと同時に飛び起きる人物が、一人。

とてもじゃないが今の彼には爽やかな朝の目覚めとは言い難いようで。


「ん……ぁ、起きた?おはよう」

のんびりした声のテンテンは眠たげに目を擦っている。
その姿を見たネジの顔が引き攣った。

「何で、お前が、ここに」

「覚えてないの?ネジが離してくれなかったのよ」


走馬灯のように記憶が駆け巡り。最後の記憶は、甘えたように彼女に凭れ掛かる自分の姿。


「覚えて、る……少しだけ。…………最悪だ」


力無く返答すると、力の抜けた身体を彼女に預けて肩口に顔を押し当てた。
忙しなく飛び交う雀の声がやけに煩い。


「ね、たまには酔ってもいいよ」

「…テンテン」

「すっごく甘えてきて可愛かっ」
「それ以上喋らないでくれ」


弱気な声にクスクス笑うテンテンは、大人しくなった彼の髪をふわりと撫でてみた。
そして何の文句も言わず、それを受け入れる彼。


「……しばらく誰とも会いたくない」

「もう!我が儘言わないの」










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