星と空の方程式 | ナノ




「あ、忍足くん」


街で聞こえた声に幻聴やと思って首を振った。
俺どんだけ考えとるんや
振り返ってもほら、おらへ…

「っておったー!?」


まさかの出来事に思わず大声出てもうた。
まさか…まさか日曜日まで会えるとは思ってへんかったわ。

俺が挙動不審な動きをしてもうたから、植月さんは笑っとる。
私服、可愛いんや。
向き合っとるこっちが余裕無さ過ぎて悲しくなる。
偶然だねーなんてヘラリとしとる植月さんはたこ焼きを持っとった。

ええ匂いや
後から食おかな


「食べる?」

「え、あぁええの?」

「うん、はいあーん」


え"っ…
え、これ、いやあのまさか

俺は思わず固まってもうた。
たこ焼きを刺した爪楊枝を俺に向けとる。
これ、爪楊枝を受け取れって事やないんやな?
持ち手やなくてたこ焼きがこっちきとるし。


あああ、もう知らんっ

目ぇ閉じてたこ焼きを食った。
やばいわ
俺、植月さんとあーんなんてして…

うわっ絶対今、顔赤いわ。
たこ焼きの味なんか分からへん。
熱いのかどうかすら


こんな…
俺ってやっぱヘタレなんや。
財前や白石の笑い声が聞こえてきそうやわ…

そのままの流れで一緒に歩いた。
というか、植月さんがクレープ食べたい言うからちょっと。

財布の中身は…大丈夫やな。

クレープ奢ったると言うたら植月さんは嬉しそうにたこ焼きくわえながら頷いた。
そういや、たこ焼き1人で8、いや俺が1個貰ったから7個食べてクレープ食べたいんやな。
俺やったら余裕やけど、細い女の子の割に食うんや。
意外な発見に感心と、今度また購買ででも奢れたらええなぁと内心もくろみよった。


近くにあったクレープ屋で植月さんは一番安いクレープを選んだ。
そう変わらんし遠慮せんでもええのにと思ったんやけど、ここまで一緒に来るだけでいっぱいいっぱいになってもうて言えへんかった。
歩くの遅いから合わせるので精一杯や。
ちゃんて会話できとったかも分からへん
その辺のベンチで食っとる時も、俺は1人いつもペースで食べてまって、植月さんが半分も食べてへん間に俺は手が空いてもうた。


「忍足くん、用事ある?」

「え、あ…あらへんで」

「そっかー、じゃあもうちょいゆっくり歩いて回らへん?」


食べ掛けのクレープを持って植月さんは立ち上がった。
この後どうすればええのか迷いよった俺は思わず聞き返した。

だって…それって、俺と一緒におってもええって事やんな?


もう少し、ゆっくり歩こう

あかん、幸せ過ぎで焦ってきたわ







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