「あ?〜〜〜、アイツらまじムカつくなあ…」
俺がそんなことをイライラしながら文句を言う。すると、くじ引きをする集団の中心にいたはずの隊長が俺の隣にくる。
「まあ、レイス、イライラしないでよ。」
「わーってる」
「んー、本当かなあ…」
「わーってる!!」
「今日のペア、アオだけど…」
「あンのクソガキかよ!!」
クソガキは基本隊長の言うことしか聞かねえのに!
「大丈夫だよ、アオは基本的に俺の損になるようなことはしないから」
あ?つまりは、俺の言うことを聞かない→負ける→隊長に迷惑がかかるという図が成り立つってことか?
「チッ、そうかよ」
心底心配そうな顔をする隊長を見て、なんだか悔しくなってしまう。俺は隊長の頭を嫌がらせ混じりにぐしゃくじゃに撫でて不敵に笑ってやる。
「安心しろ、大将に圧かかるようなことにはなんねェよ」
ちょっとビックリしたような顔をした後に、綻ぶように笑顔になったコイツを見て俺はホッとする。
「ありがとう」

***

初戦は、双子達が圧勝して戻ってきた。
「シキー!買ったよー!」と撫でて撫でてと言わんばかりのライトと、無言だけど褒めて欲しそうなエルに精一杯のご褒美を。

「シキ、行ってくるね」
と、俺の頬にキスをしレイスと二人で二戦目に行ったアオの背中を見ながら「あの二人大丈夫かなあ…」とぼやくと隣にいたセイが苦笑いしながら俺と同じ方向を眺めていた。
俺達第七は訓練の際は隊の境目なしにくじ引きを行う。これは日常茶飯事である。
だからと言って、レイスとアオは非常に相性が悪い。

初っ端から、アオはレイスと喧嘩をしながら相手と戦っている。
「……ってめぇ!俺の言うこと聞くんじゃねえのかよ!!」
「別に勝てばいい」
「クソが!!!!」
「別にレイスの言うこと聞くなんて行ってない」
「死ね!!!!!!!!!」

………………死ね?

もうこちらとしてはモニター越しのやり取りなのでどうしようもないが苦笑いするしかない。
相手側は若干引きながら、戦っている。
まあ、そんなやりとりしながらもなんとか勝って帰ってきたボロボロの二人を見ながら苦笑いする。

明らかに身内同士なんかやらかしてきた風の彼らに苦笑いが止まらない。

「………どうしたらそんな風になるの?」
「「コイツのせい」」

そんな二人を見て、吹き出してしまったのは別に俺は悪くないと思う。

同じように俺と共に吹き出したセイが俺の背中を叩く。
「さて、シキ行くか」
「うん」

最後は俺とセイ。相手さんはどうやら副団長とツインテールの女の子。

「やだなあ、強そう」
「やだ言うな」
「やだやだやだやだ」
「ほら、行くぞ」

セイに引きずられながら場内に入っていく。

相手の顔が見える。綺麗な人だ。
「……私の名は、アルグレーノ・オルガ。」
「あ、ドモ。シキです。よろしくお願いします。」

不意な自己紹介に戸惑いつつも返すと、その綺麗な顔がクシャッと歪んだ。
「…………貴方は何者なのか」

なんだってこの人突然だな……

「……………………へ?」
そんなアホみたいな返答をしてしまった。

「私は副団長だが、貴方達第七の皆さんのように隊に分かれているわけではないのです。実質立場は貴方と同等。」
「…そんなことないとおもいますケド……」
嫌々、俺より貴方の方が立場的に上司でしょうに。
「馬鹿にしているのか」
は、はあ??
「アナタ、生意気なのよ!私達の方が強いんだからぁ!」
隣の女の子まで吠え始める。ええぇ。収拾つかへんて。

副団長さんの眉間の皺が濃くなる。
綺麗な顔なのに勿体ない。

「ジジ、貴方は黙りなさい。
……………私は貴方には負けません」
『黙りなさい』て、せっかく庇ってくれたのに。
「……はあ」

そう返すと副団長さんは、クルッと俺達に背後を向けてしまう。女の子は「あーっ、待ってくださいよー!」と追いかけていった。
「始めましょう」聞こえた声はなんだか少し寂しそうだったんだ

…………セツカー、お前んとこの部下超怖えよ…。
「…………なんだったんだ?」
セイが小声で俺に言う。……俺だって知りたい。
「…………さあ?」


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