ふと気がつくと、俺は荒れ果てた地にいた。

「…ここは……?」
周りを見渡すが、誰もいない。

下を見ると、俺は学ランを着ていた。

「は…?学ラン……?なんで?」

いよいよおかしくなってきた。俺が今通っている軍事学校はブレザーだし、自警団には軍服がある。
学ランなんて三年ぶり…。

しょうがない…、しばらく探索してみるか。
とりあえず適当な方向に歩き出す。
すると、人影が見えてきた。

知らない人に話しかけるのは、気が乗らないが今はそんなこと言っている場合ではない。

「あ、あの、すみません」

しゃがみこむ人に話しかける。見ると、俺より小柄だ。小学生くらいかな。
顔を上げた、彼を見て俺は慄いた。

か、かおが………

「お兄さんは、誰ですか?」

……ない…………………。
ない、というか顔の輪郭がぼやけているというか、彼の顔にだけモザイクがかかっているような感じだ。

「っ、えっと、俺は、」
「僕は、○○。」
「……っえ?」
何故かその名前は聞き取れず、思わず聞き返してしまう。

「僕ね、待っているんだ」
「…待っている?誰を?」

「お家に帰るんだけど、お迎えが来ないの」

彼の喋り方に、俺は違和感を覚えた。
まるで、俺の声を無視しているような、俺の声が聞こえていないようだった。

「いつになったら、許してくれるのかなあ」
「……?」
「お兄さん、僕ね、神様を怒らせるようなことをしちゃったんだって」
「……」
「だから、神様の言うとおりにしなくちゃいけないんだけど、」
「…」
「いつになったら、許してくれるのかなあ」

彼が、悲しそうに下を向いた瞬間、辺りがなにもない荒地から白いなにかで積まれた山になる。

…これは…………

………骨?


「お兄さんも、神様に許してもらえるといいね」
「…………?」

「嘘、ついてること」

そう言った彼の顔は、

アオそっくりだった。


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