俺が副委員長を飯に誘ったことがそんなに珍しかったのか、生徒会メンバーはなんか固まってたけどそんなことは御構い無しに、副委員長を連れて食堂に向かう。と、見せかけて誰もこない空き教室に奴を連れ込んだ。

「………お前…なんでいるんだよ!!」
「えぇっ、なんでって風紀だから?」
「だから、なんで風紀にお前がいるんだよ!ヤマダ!」
そう風紀副委員長、山蛇 弥(ヤマダ ヒサシ)。ヤマダって山田じゃなかったんだ…。いやいや、そんなことより!
「お前Fじゃねぇの……?Fは風紀委員会には入れないんじゃ……」
「俺は1年Aクラス。Fじゃねえよ」

「と、年下……」
は、はぁぁ??後輩なのに身長差………
「えっチームのみんなはFなんじゃねえの?」
「まあ、大方Fに行くけど、俺別に悪いことなんもしてねえし、Fに行く必要あるかな、って」
「さいですか…」
「ま、委員長も俺がチーム所属なの知ってて風紀に入れたところあるし」
「?」
「ま、そこらへんは副総長に聞いた方が良いんじゃねえの」
「あ、うん」
上手く丸め込まれた感が否めないが、納得しちまったもんは仕方がない。
「つーか、お前昨日の時に言えよ…」
「えぇー、それじゃあつまんねえだろ?」
そう、コイツは俺の反応を楽しんでいたのだ。アイツが会議室に入ってきた瞬間、俺と山蛇は目が合いアイツはその蛇のような目をニヤリと細めやがった。俺は多分笑顔が引き攣ったと思う。…………その反応は確信犯だろうが……。

「つうか、いいのかよ?」
「え、なにが?」
「明日の朝の新聞記事の見出しが『副会長と風紀副委員長密会!?秘密の関係に迫る!』とかになるんじゃねえの…」
「………そういう発想は無かった…」
「お前ももうこの学園二年目なんだろ?ちゃんと馴染めなきゃこの先やってけねえよ?」
後輩にこうも言われてしまえば、先輩の立つ瀬は無くなってしまうのである。
「…………まあ、ここは特別棟だから一般生徒はまず出入りできないでしょう、大丈夫ですよ」
つい気が動転し敬語になってしまう。
「…………ヒロのそのキャラ、いつ見てもウケるな」
「頼むから、真顔で言わんでくれ…」

だが、友達がいないと名高い副会長様が、友達と朝飯を食べていたら一般生徒はどう思うだろうか。
イタズラ心に火がついてしまい、俺は意地悪く山蛇に笑いかけてやる。
「え、なにその笑い、怖いんだけど」
「ここまできたら、お前を巻き込んでやるよ」

***

今日は食堂が騒がしい。

まあ、理由はわかっているがな。

「副委員長ともあろう方がブロッコリー食べられないのですか」
「……小言しか言えないんですか?先輩?」

ウチの副と風紀の副が共に朝飯を食っているからであろう。生徒会や風紀委員会といった役持ちは食堂を使用する際、二階を使用させられる。

※小さなお子様の手の届かないところに置いてください。
といった具合にまるで俺達を危険物扱いしてくる。いや、これは皮肉だが。

それより、つまりは二階というのは一般生徒からの多大なる注目を集める場所なのだが……

誰とも関わらない王子様と期待の一年が『仲良く』飯を食うのが一般生徒にとっては大大大スクープなのだ。

だが実際はーーー、
「あれ、副会長サマはトマトがお嫌いなんですか?」
「違います。好物は後に食べる派なんです。」
「へぇ?じゃあ今もう食べれますよね?トマトしか残ってないんだから」
「今食べようとしてたんです。」
…………比呂、俺は知っている、お前トマト嫌いなんだろ?なんでそこで意地張っちゃうんだよ。

バチバチしてる。ものっそいバチバチしている。

俺達生徒会メンバーは縮こまって食べている。それくらいアイツらが怖い。恐怖だ。会計なんか震えてる。

はぁぁぁぁぁこの状況どうにかしてくれ



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