何か違和感を覚えて、寝返りを打とうとした。
……できん。あぁベンチで寝たからか…、その割にはベンチ程硬くないなあ。

「ふふ、ヒロ。寝返り打ったら落ちちゃうよ?」
その声で、俺の意識が覚醒する。

俺の視界には、カオルさん。

「…………か、かおるさん」
「久しぶり。ヒロ」
「…な、んでここ、?」
「ん〜?有名だよね。あの麗しの比呂様はよくこの中庭で寝てるって。ていうか、ヒロって下の名前じゃなくて、苗字だったんだ?」
「…あだ名だったんで、」
俺はどうやら、カオルさんに膝枕をしてもらってるようで。
起き上がろうとすると、肩を押されて起こしてもらえない。このままいろってか。

「………カオルさん、ごめんなさい」

「なにが?」
………いじわるい。

そんな俺の気持ちを察したのか、カオルさんは肩を揺らしながらおかしそうに笑う。

「……フッ、ヒロ、ごめんねって。意地悪い質問して。わかってるよ、なんでヒロが居なくなったのか。」
「えっ」
カオルさんは俺を抱き起こして、俺を抱きしめてくれる。この懐かしさと暖かさに身を任せてしまう。

「…………カオルさん、でももうちょっと待ってもらっていいですか、
…俺は怖いので、覚悟ができたらいいます、」

「…いいよ、俺はいつまでも待ってあげる。だけど、これだけは覚えておいて。俺はいつまでもお前のものだよ。」
「……………はい。」
「まあ、でもこれからチームのやつら来るだろうけど、それは助けないよ」
それは実に困る。
「たすけてください〜〜〜」

***

「総長!ヒロこの学園にいたんすね!!」
「あぁ、そうだな」
本当にな、
「いやあ…副総長嬉しそうだったなあ」
先程の副総長、夜識 薫の様子を見て感慨深そうに言う。
「あの、噂の王子様だったなんてなあ!!」
「王子様……ブハッ!アイツキャラじゃねえだろ!」
確かに昔のあいつは、強くて明るくて適当で…噂の王子様と正反対とも言えるだろう。
「……んー、まあヒロもなんか事情があるんじゃねえかあ?」

俺達のチームは仲が良いと思う。うん、俺総長だけど尊敬されてる感じはするけど、結構コイツらフランクだし。今回のヒロの件に関しても、ヒロが突然俺達の目の前に現れた時だってかなり早く馴染んでたし、急にいなくなったアイツを血眼になって探したし、早期解決(?)して良かった。

「…てめぇら、気持ちはわかるがヒロの生活を壊すなよ」
「わかってますって!」
「はあ?そう言うお前が一番怖いぜ?」
「確かに、お前が一番Aクラス突撃しそうだもんなぁ?」

またぎゃーぎゃー騒ぎ始めるコイツらに、心の中で早く薫帰ってこい…と願う。子守はうんざりだわ…

「オメェら……うるせぇ」
「「「すいまっっせん!!!!」」」

しばらくまた静かになったが、また五分もしないうちにうるさくなったので俺は諦めた。
これ、あいつらが知ったら、余計うるさくなるんだろうなあ…




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