緑青vsその他図鑑所有者



その場に居た全員が凍り付いた。放たれた銃弾が仲間であると思っていた人物を穿ったからである。小さく呻き声を漏らして座り込む女に未だ硝煙の立ち上る銃口を向けたまま赤目の男が吠えた。

「お前だったんだな…ブルー!」

明らかな敵意を剥き出しにしたレッドに後輩達はうろたえる。それは至極当然な反応だった。

「そんな、何かの間違いっスよレッド先輩!」
「黙ってろゴールド!」

必死で否定した金の目の男にレッドは怒鳴り返す。

「オレだって信じたくない…でもそう考えれば何もかも説明がつくんだ!」

先程まで仲間であった筈の彼女に向けられた拳銃を持つ手が震えているのに気付き、ゴールドはそれ以上何も言えなかった。ブルーは傷口を手で抑えてはいるが鮮血は絶えず流れ出している。

「…悪い」

このような仕事をしている以上裏切り者は始末するのが道理。レッドが拳銃を握る手に力を込めた時だった。

「仕方ないな」

冷ややかな声が空気を震わせた。声のした方を向くより速く、周りの後輩達が地面に崩れていく。

「ぐっ…!」
「か、はっ…」
「ぅあ…っ」
「っゴールド、シルバー、クリス!」

何が起きたのか、それを把握する前に己の鳩尾に衝撃を食らい膝をついた。

「そ…んな…お前、まで…!?」

飛びかける意識を無理矢理引き戻しながら声を絞り出す。目の前に立っているのは緑の瞳を持つ男だった。男はレッドに背を向けブルーに近付く。

「お前が失敗するとはな」
「う…ごめん…」

てきぱきと応急処置を施す男に、ブルーは歯を噛み締めて俯いた。そんな様子を見て、レッドは今の状況を受け入れられずに呆然と呟く。

「何で、何でだよ、グリーン…!」

ブルーを抱え上げながらグリーンが背中越しに言葉を返す。

「今は未だ、言うべき時じゃない」
「そんな…!」

尚も続けようとしたレッドをグリーンは一瞥した。それは何時もの鋭い刃のようなものではなく、深い森のような、何処か哀しみを湛えた色をしており、レッドは言葉を失う。
その場から二人が姿を消すのを見届けたのと同時に意識は暗転した。






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