旧短編集(ゲーム) | ナノ

Childish Boyfriend





そろそろ日が変わろうかという頃にこの部屋のもう一人の主が帰ってきた。
夜中であるということを理解していないのか、随分と慌しい。
まさか廊下も走ってきたんじゃなかろうか。

「夜中なんだから、もう少し静かに帰ってきなさいっていつも言ってるでしょ」
「あ、カミツレただいま!」

人の注意など何処吹く風といったように彼に抱きしめられる。
見た目とは裏腹に結構な力があるので少々苦しい。
首元に顔を寄せるとふわ、と彼の匂いがした。

「クダリ、汗臭い」
「…この状況でそんなこと言う?」

苦笑しながらクダリは私から体を離す。彼なりの気遣いだろう。
自分で言っておきながら名残惜しく感じた。
ヒールを脱いでいるからいつもより少し高いところにある白い帽子を取って灰色の髪をくしゃりと撫でてやるとクダリは嬉しそうに目を細めた。
小動物みたいだ、と思いながら風呂場の方に追いやる。
一緒に入る?と聞かれたが慎んで辞退した。

「カミツレ冷たい…」
「夜食作ってあげるから」
「ホント!?」

その一言でべそべそと泣いていたクダリの表情が一変する。
全く持って現金というか。
嬉々として風呂に向かう彼の背中を見送りながら冷蔵庫の中身を思い返す。
…その前に廊下に脱ぎ散らかされた服を拾う方が優先かしら。
本当、子供みたいな大人。



Childish Boyfriend



「カミツレーっ!バスタオルが無いーっ!!」

そんな呼び出しを食らってバスタオルを届ける数分の間に夜食を焦がしてしまったが、これは私の所為じゃないわよね。




いい夫婦の日!





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