5
「っ……」
乱れる有志を前に、湯の中で智希は自分のソレを擦りはじめた。
水が滑りを悪くするため全く気持ちよくない。
しかし目の前の有志が十分な興奮剤を振りまいてくれているわけで。
「ねぇ、どこ触ったらいいの?」
「ぅっ…う…」
岩場に両手を置いて腰を突き出し、足はM字開脚。
それだけでも十分恥ずかしいというのに、さらにもっと恥ずかしい言葉を言わせようとするのか。
有志は完全に脳が麻痺し始めた。
トロンと目尻が下がり、だらし無く口が開いて熱くて甘い吐息が溢れる。
それでも智希はまだ触ってあげない。
「智…」
「なに?」
「触って……」
「うん、どこを?」
「っ…ぅっ…」
「聞こえない」
「ほんと…も……勘弁して…くれ…」
「…ちぇ。でも時間無いし勘弁してあげるよ」
「うぅっ…」
上から目線の智希はまるで有志のワガママを聞いてあげたような表情で目尻を下げた。
その表情にホっとする有志。
飼い慣らされている。
チラリを視線だけ動かしながら震える有志の先端を摘み軽く撫でると、腰を揺らした所為で岩場に溜まっていた湯がはねた。
寒空の為岩場のお湯は暖かさが無くなり水に代わりつつある。
しかしその冷たさもまるで感じ無いように有志は腰をくねらせ大きく口を開けて喘いだ。
「あっあっ…智…智希」
「なに?」
「な…舐めっ……舐めて」
「……おっけ」
「ぅっ……!」
ニヤリと笑い有志を見上げると、大きく口を開け一気に喉奥に押し込んだ。
口の中に有志の先走り液が充満し、圧迫と一緒になって智希の目尻に生理的な涙が浮かぶ。
たくさん唾液を出して有志のソレを舐めとっていくと、声を必死に抑えているのだろう嗚咽の様な声が聞こえてきた。
「うっ…うぐっ…うっ」
咥えたまま見上げると、今にも後ろへ倒れてしまいそうな体を必死に耐えながら両手で口を塞いでいる。
プルプルと腹筋が揺れ辛そうだ。
少しでも気が緩み後ろへ倒れてしまうと暗闇の草木に落っこちてしまう。
「手、離して岩場につけたら?倒れそうじゃん」
口から有志のソレを外し笑いながらそう言うと、有志は震えながら目を開けフルフルと首を横に振った。
涙が飛び散っている。
「声、出ちゃう?」
「ふっ…ふんっ…ふんっ」
「…いいじゃん。大胆になろうよ」
「うっ…ううっ」
目を大きく開きさらに何度も首を振る有志。
こんな格好で涙目になって…。
まじ可愛すぎる、ね。
智希はニヤリと微笑むと、何か察したのか有志が顔面蒼白で目をさらに大きく開いた。
「いつまで我慢できるかな」
「智っ……ふっ…んんっ!」
揺れていた有志のソレを再び加えると、同時にヒクついていた後ろの蕾に中指を一本押し込んだ。
ピンポイントで前立腺を攻めていく。
「んっ…ふぅっん!んんっ!」
有志は固く目を閉じ漏れそうになる声を必死に抑えながら何度も首を振り喉を鳴らした。
うっすら目を開けて止めてと懇願するが、智希は有志のソレを咥えるのに必死で見てくれない。
智希が自分のソレを舐めている。見てしまった瞬間有志はさらに奥が疼き何度も腰を大きく揺らした。
指は次第に2本に増え、掻き混ぜるように中を強く刺激していく。
特に、有志が一番疼く腹の裏側を何度も攻めて絶頂を煽った。
「とっ…智っ…もうっ…」
「ん?」
咥えながら見上げると、有志は涙をボロボロ零しながら手を口から外していた。
胸に手を置き荒く呼吸している。
「もっ…お願っ…ほんと…やめ……やめてくれ」
「……イきそう?」
「うん…っ…」
嫌なら強引に蹴飛ばしてでも振り払えばいいのに。
でも絶対しないと、智希はわかっている。
あぁ、愛おしい。
「じゃあ……俺もそろそろ限界だから…」
「まっまさかっ…ココで?」
「もちろん。折角なんだし」
「誰か来たら」
「大丈夫大丈夫」
まだ夜は寒いというのに、有志の体は熱く火照っていた。
温泉の湯気と智希から与えられる快感がちょうどいいのかもしれない。
智希は立ち上がり一旦流し場へ行くと、すぐにビニール製の袋を持って帰ってきた。
「?」
あんなの持ってきてたっけ?
肩で息をしながら智希をじっと見つめていると、智希は慣れた手つきで袋からコンドームを取り出した。
「なっ!お前っ…!!用意してきてたのか!」
「うん。露天風呂でエッチとか王道でしょ」
「とーもー…」
「さ、あと15分しかないから。急ごうね」
「あっ」
神業のようにコンドームを自分のソレに付けると、これも神業のように有志を持ち上げ森の方へ向かせる。
暗闇。明かりは見えるけれど、木々しか見えない。
本当に誰もいないのだろうか。有志はそれだけが心配だ。
後ろから有志を抱え込み自分も岩場に乗り上げ、座り込む。
有志の膝裏を掴み大きく開かせると、ゆっくりと蕾へ挿入していった。
「あっあっ」
180度のパノラマ。
の、中での挿入。
とても壮大で人を大胆にさせるようだ。
「いいよ、もっと俺にもたれて」
「んっ…智っ…なっ…あっ…あっ…入ってる…ぅ…奥に」
「うん…もうすぐ全部入る」
「あっあっ」
重力でどんどん奥へ進んでいく智希のソレを受け入れながら、有志は喉を鳴らし目を閉じた。
気持ち良い。
「全部…入った……」
「あっ…うん…凄い……お腹…いっぱい…」
「動くよ」
「んっ!」
腰を動かして有志の中をゆっくり攻めていく。
有志の先走りが垂れて結合部分に流れては、新しい液がすぐ上から降り注がれる。
有志はポタポタと白濁の液と汗を垂らしながら、腸壁が動く卑猥な衝動に身を全て委ねた。
「あっ…んんっ…んっ」
「気持ちい?」
「もっ…ちっ…気持ちっ…いっ」
「有志…こっち向いて」
「んっ……」
智希の膝に手を置いてバランスを取ると、頭だけを動かし唇を捧げる。
待ってましたと言わんばかりに智希は舌を出し熱い有志の口内を乱暴に攻めた。
鼻から漏れる吐息と口から漏れる喘ぎ声が最高に智希のソレを誘発させる。
「はっ…んんっ…んっ」
くちゅくちゅと鳴る音が静かな自然の中で響いてとても卑猥だ。
「じゃあちょっと…時間も無いし…激しくするね」
「あっ……」
唇を離し有志の膝裏を掴み直すと、ぐっと力を込めさらに奥へとソレを突き挿した。
「あぁっ!!」
脳天に直撃する刺激。
次第に智希の動きも大きくなってきて、ぶつかる音も大きくなってきた。
吐息も、深くなる。
「はっぁっ…あぁっ…あっ…あっ…あんまっ…あんまきつく…しないっ……明日…色々回れない……」
「そだね……そろそろ終りにしよっか」
「あっ…嫌っ…もっちょっと…あっ」
「どっちだよ」
クスクス笑いながらチラリと時計を見ると、残り10分を切っていた。
後処理もある。そろそろ終わらねば。
「有志…自分で自分の擦って」
「あっ…んんっんっ…」
「…じゃあ…イくよ」
「あっ!」
言われた通り自分のソレを掴み激しく擦る有志。
それと同時に中を強く締め付け智希の絶頂を促す。
「…っ………くっ…イく…」
「あっあっあっ…あっ…んんんーー!!」
ピン、とつま先を伸ばし体が強張ると、量の少ない精液が有志の手の平から飛びぬけ自分の顔へと降り注がれた。
ほぼ同時に智希も果て、余韻とともに腰を数回押し付けている。
「…はぁ…あー気持ちよかった……」
「ばっ…か…」
「でも気持ち良かっただろ?」
「……黙秘」
「何それ」
ケラケラ笑う智希の声が露天風呂に響いた。
「ね、そっち行っていい?」
「ダメ」
「こんな広い部屋でさ、ツインとか寂しいじゃん。そっち行ってもいい?」
「ダメ」
「……怒ってる?」
「怒ってる」
「いつまで?」
「朝まで」
クククッ、と布団の中で智希は肩を揺らし笑いを抑える。
期間限定の喧嘩か……。
ベッドの端に寄り智希に背を向ける有志を横目で見ると、その微動だにしない背中を見て笑いがこみ上げてきた。
よっぽど怒ってんだ。露天風呂でしたの。
怒らせてしまったというのに智希には全く悪気はなく、むしろダメだと言われても有志のベッドに行ってやろうかと考えている。
ま、旅行始まったばっかだし、我慢するか。
智希は布団をかけ直し枕に顔を埋めると、ゆっくり目を閉じ呟いた。
「おやすみー」
「……おやすみ」
小さく、返ってくる。
ククッ…。
たまらない幸福感と共に眠りについた。
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