Thursday 

「次のバイトはいつなんだよ、あーん?」

今日は講義があるため早めの朝食を取れば、いきなり景吾がそんなことを言ってきた。明日の朝から、と言えば「送ってやる」なんて言われたので断ったら「俺様の言うことくらい聞きやがれ」と笑われたので有り難く送ってもらうことにした。それだけ言えばまた直ぐに自室に籠もってしまった。私が料理を教える時と、一緒に食事をする時以外、彼はほとんど自室にいる。日本に戻って来たのも仕事で、としか私は聞いていない。同い年なのに、同じ大学生なのに私と景吾はまるで生きる世界が違う。食器を洗ってから大学に向かえば、珍しく忍足が朝から来ていた。

「へえ、禁煙するくらい珍しいね」
「自分、ほんま煙草嫌いやなあ」

私が煙草を嫌いなのを考慮してか、忍足はまだだいぶ長い煙草をすぐに消した。嗚呼、勿体ない。吸えば良かったのに、と言えば「愛煙家のマナーや」と苦笑した。

「跡部にプレゼント、やらんのかいな?」
「……私、景吾のことそこまで知らないし」

たかが一週間一緒に生活しただけでプレゼントなんて、厚かましくない?継ぎ足す様に早口で言えば、忍足にはお見通しなのかはっきりと告げられた。

「そんなん…誕生日やのに祝ってもらえへん方がきっついわあ。それに自分、ほんまはプレゼントあげたいけど何渡せばええか分からんのちゃうん?」

思わず忍足の方を振り向けば図星やろ、と彼は意地の悪い笑みを浮かべていた。

「土曜日、暇なら一緒にプレゼント買いに行くか?」
「でも、」
「俺と跡部中学からの仲やし、そこそこ付き合い長いで?」

断る理由もないので、忍足の提案に乗れば「ほな決まりやな。土曜日、十一時に駅前集合な」と彼は嬉しそうに私の頭を撫でた。



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