3章




支度を終えたリフィは、その上から白い暖かなコートを羽織い部屋を後にする。
左腕に微かに痛みは感じるものの、あまり気にする事はなかった。
他の事に気を向けると、大分楽になれる。

エリアと待ち合わせをしていない事に、気付き
一度彼女の自室に行こうか迷うが、行き違いを避けるように外へと向かう。
時々、エリアと一緒に城下町に遊びに行く時に使う、裏手の城門へと‥

そこの城門はとても小さく、幅は広いが、背中くらいの高さしかなかった。
リフィは屈みながらそこを潜る。

潜ると目の前には、一面の銀世界。
小高い丘の上に城が建っている為、城下町が一望できる。
その景色は、屋根に積もった白い雪と家々に灯る光が幻想的。
吐く息は白く、厚いコートを羽織っていても寒いほどだった。

「リフィ様」

後ろから自分を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと
エリアと、兄であるラファが立っていた。
そして、エリアの隣で彼女に頭を擦り付けるように翼を広げている天馬の姿。

「どうして兄様が」

「せめて見送りにでもな。」

笑顔で言うものの、どこか悲しげな印象を受ける。
ラファの事だ、大切な妹が出て行くと言って一緒に行かないわけがない。

しかし、一国の王子であり今後国を背負うべき者が、そういう行動をとるわけにもいかない。

「リフィ、ちゃんと身を守る武器はもったのか?」

「う、うん」

まるで小さい子に話しかけるよう、目線をリフィに合わせるように屈む。
兄に聞かれた事に応えるよう、腰に取り付けてある短剣を見せた。

それを見て満足したのか頷く彼だった。

「あまり無茶はするなよ、怪我でもしたら大変だからな」

そう言うと、妹の髪に触れ、雪をやさしく払い落す。

そんな主であるラファの行動に、エリアは苦笑した。

兄妹仲がいいのは良いことなのだが、オールフィアでは16を過ぎれば立派な成人。
妹思いなのか、それとも過保護なのか‥
そんなことを思いつつエリアが、ラファに言葉を向けた。

「あら、リフィ様は私がお守り致します。それともラファ様は私じゃご不満かしら?」

にこにこと微笑みながら、嫌味には聞こえないが意地悪そうに言う。
エリアのその言葉に、ラファは慌てたように弁解した。

「いや、そういうわけじゃ‥」

「ふふ、解ってます」

優しく微笑むと当時に、頭を擦りよせるペガサスの体を優しく撫でた。
雪が降り続ける中、ペガサスは落ち着きがなく、足で雪を蹴ってみたり
大きな翼を羽ばたかせたりしている。
その様子を、エリアはペガサスの鬣を撫で、そして言葉をつなげた。

「リフィ様、そろそろ行きましょう。この子、早く飛びたいみたい。」

まるでその通りだというように、ペガサスは一声あげる。

「ところで何処へ行くつもりなんだ?」


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