ふにふに、ふにふに、
「あの、コウ君」
ノースリーブのワンピースから出てる二の腕をふにふにと触られて、くすぐったさに思わず声を上げた。
動じずに平然とした顔を向けられる、どうやら止める気はないらしい。
二の腕を触ることがコウ君の最近ブームらしい。
コウくんの部屋に来ると決まったように触られてる。
悪い気はしないけど、二の腕が気持ちいいって言われて喜ぶ女の子はいないんじゃないかな?
だって、お肉がいっぱい付いてるって言われてるみたいなんだもん。
「コウ君、二の腕ふにふに禁止!」
「はぁ?」
「だ、か、ら!」
「腹減った、喰う」
話を全く聞く様子がないことに呆れ返ってしまう。
ニヤリとしたコウ君の微笑みに嫌な予感しかしない。
「話聞いてる?」
「聞こえてんだよ」
「……聞こえてるじゃなくて」
コウ君の口が大きく開いた瞬間、嫌な予感が確信に変わった。
「ちょっ、と」
上げた声も当然のように無視されて、二の腕が口に含まれていた。
口に含まれたというより、カブりと勢いよく、食べられたに近い。
「んっ、もぅ」
わざとらしくため息を吐く。
ここまできたらどうしようもない。
コウ君を止められないことはもう何度も経験済み。
無理に抵抗するだけ、体力の無駄になる。
甘噛みされ、時折立てられる歯にびくりとしてしまう。
舌のざらつきに当たるたび思考がおかしくなる。
「ひゃう、んっ」
「こんなんで喘ぐな、……噛まれて感じてんのか」
「ちっ、違うよ」
「んな顔すんな。ヤリたくなる」
「馬鹿っ」
「へー、へー。どうとでも言え。もう遅ぇけどな」
背中を支えられながらベッドに押し倒されて、コウ君の体重が少しだけ掛かる。
影が重なって、吐息が甘く混じった。
二の腕に残された跡の多さに驚くのは、もう少し先。
「夏服なのに、どうすればいいのぉ」
fin.
―――
二の腕ふにふに大好き←
ある意味、キスマークより困る噛み跡。
琥さんは変なフェチを持っていそう。
20100802