手伝いとはいえ教師がお水として働くのはよろしくないこと。そんなことは重々承知なので、今後は控えるようにしよう。流石に学校にばれてしまってはまずい。お妙ちゃんももう無理は言わないからと言ってくれていたし…。ただ、久しぶりに花子ちゃんやおりょうちゃんに会えたのは嬉しかったな。あの二人とは本当に高校以来だったから。
 昔は典型的な悪の風貌だった二人をお妙ちゃんが牛耳っていて、今でも変わらぬそのパワーバランスは少し面白い。

「ただいまー」
「何時だと思ってんでィ」

 少しにやけた面持ちで帰宅すると、玄関には仁王立ちでぶすっとした顔の総ちゃんの姿。この態度の原因は容易に想像できる。

「怒ってる?」
「怒ってないように見えますかィ?」

 完璧に怒っていらっしゃる。私としてはちょっとしたサプライズというか驚かせたいなーっていう出来心からの行動だったのだけど、やっぱりというかなんというか。総ちゃんはお気に召さなかったらしい。

「なんで言ってくれなかったんでィ」

 ぶっすりとした総ちゃんをなんとかなだめてダイニングの椅子に座らせると、総ちゃんは私のことをじとっと睨んでそう言った。可愛いなあと思ってしまうのは、身内の贔屓目なんだろうか。

「でも驚いたでしょ?」
「でもじゃありやせんぜ」
「もー機嫌直してよー」

 お土産も買ってきたからさ!とコンビニで買ってきたプリンをテーブルに並べてご機嫌を伺うも、総ちゃんの表情は変わらない。

「仕方ない。じゃあ特別にあーんのサービス…」
「もう…」
「ん?」
「もう…」

 俺に隠し事とかやめてくだせェ。どんな些細なことでも。そう呟いた総ちゃん。そしてコンビニで貰ったスプーンのビニールを半分はがしたまま固まる私。なんだか昔の幼い総ちゃんの姿が一瞬ダブって見えた。

「てことで早くスプーンくだせェ」

 時計の針が十二時を回った頃。二人仲良くプリンを食べる姿は昔とちっとも変って無いなと考えさせられた。

「あーん」
「もう子供じゃないんですぜ」
「そう言いつつも口あけてるじゃない」
「うるふぇえ」
「ほら口にもの入れたまましゃべっちゃダメでしょ」

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