「まーたお前と同じクラスかよ」
「俺しか友達いねェから内心喜んでんだろィ、可愛くねーやつ」
「お前だけじゃねーよ、なあ山崎。俺たち友達だよなァ」
「え、たっ高杉くん!?それ友達に対する態度じゃなくない?めっちゃ怖いんですけどカツアゲされてる気分なんですけど!」

 新学期、遅刻欠席早退単位と色んな意味で進級が危ぶまれていた俺ではあったが、こうしてなんとか三学年へと上がることができたようだ。それに関して担任の銀時が俺がどれだけ頑張ったと…!とうるせえことをぬかしていたから、朝からあいつの脛を蹴る羽目になった。
 本当は始業式なんてどうだって良かったし、遅刻でも欠席でもしてやろうとは思ったが、お節介野郎山崎の押しかけ隣の朝ごはんの所為で俺は登校時刻十分前に教室に着いてしまって、つまんねーから山崎おちょくって遊んでいたがそれもあんまり楽しくない。
 そうこうしていると、ギリギリに沖田がやってきてクラス替えのやつ見にいかねェ?とその言葉でこうして今、クラス発表の紙が貼られた掲示板の前に俺たちはいる。

「つかZ組はほとんど同じやつばっかじゃねーか」
「阿呆の吹き溜まりなんじゃねえですかィ、高杉を筆頭に」
「んだとてめー沖田」
「ちょっと二人ともやめてくださいよー!」

 あんなに我こそは…とごった返していたこの掲示板の前も、俺たちの言い争いが始まってからみるみるうちに潮が引いていくみたいに人がいなくなった。ったくどいつもこいつも腑抜けた野郎ばっかだ。

「始業式はじまっからさっさと体育館いけー」
「あ、もうそんな時間か、ほら二人とも行きますよー」

 銀時が顔を合わせるなりさっきの蹴りすんげー痛かったんだけど!ちょっと俺もやり返していい?やり返していい?なんてまたウザく聞いてくるもんだから完璧シカトを貫いていると、先生泣いていい?とか言い始めて余計ウザくなる。

「あ、そういえば総悟くーん、わかってたなら言ってくれたらよかったのに」

 もう俺すんげー吃驚したんだからな!と沖田に話しかける銀時、でも沖田は何言ってんだこの馬鹿、というような顔。
 沖田にまで無視された銀八はそのまま山崎に絡み始めたが、二人に無視されたからってやめてくださいよ、と拒まれていた。
 あー始業式なんてかったりぃ、正直新任の教師も校長の挨拶も全部どうでもいいし興味ねえっつーの。

「…てめーらぶっ殺す」

 体育館について生徒たちは二列に並んでいく。正直面倒くさいが仕方ねえと、腰を下ろそうとすると俺の隣にはいつの間にか銀時がいて、その前列ににやにやとこっちを見てくる沖田と引き攣った表情の山崎。こいつら銀時の隣が嫌だからって俺に押しつけやがったな…!

「まあそうカリカリすんなって、先生と思春期について語りあおうぜ」
「なんでてめーとんなこと語り合わなきゃなんねーんだよ」
「高杉はまだ反抗期中の中二病患者なんで多めに見てやってくだせェ」
「うるせーんだよおめえは!」

 明らかに周りよりも騒々しい俺たちの元に、坂田先生お静かに、と巡回していた教頭がやってきて、怒られた銀時はお前らの所為で怒られたんですけどーなんてガキ臭いことを言う。こいつは本当に教師でいいのか。

「それではただいまより、始業式をはじめます」

 式が始まってある程度静かになる場内で、性懲りもなく銀時は俺に話しかけてくる。

「なー、新しい先生楽しみ?」
「は?興味ねーから」
「予想通りの反応でつまんねんだけどー」
「良いからお前黙れよ」
「まあ、でも…」

 惚れちゃダメなやつがいるから、と小さく俺に囁いた銀時は、そのままにやりと笑う。惚れちゃダメってセンコーに惚れるわけがないだろ、と適当に流したけれど、今思えば銀時はこのころから予防線を張っていたんだ。

「それでは、新任の先生方を紹介します」

 どうぞ、その教頭の言葉でステージ袖からでてきた数名の教師。そのうちの一人が女だから、銀時はこいつのこといってたのか?とまあ特に深く考えもせずにいると、前の沖田が何か呟くのが聞こえた。

「…名前?」
「あ、あれ沖田くんのお姉さんじゃない?」

 沖田の声は良く聞こえなかったが、そのあとの山崎の言葉でなんとなくつかめた。あ、あいつ沖田の姉ちゃんなわけ?うわー眼鏡もってくりゃよかったわ、遠くて全然見えねえ。

「あれ、総悟も知らなかったの?」
「…聞いてねェや」
「驚かせたかったんじゃない?」

 銀時、沖田、山崎の会話に一人入らずにいると、アナウンスでその沖田の姉ちゃんが沖田名前ということ、そして英語の担当でZ組の副担任になることがわかった。

「やるねー名前」
「家帰ったら問い詰めねェとな」
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