銀魂 小説 | ナノ


隣のお姉さん


憎らしいほどに太陽の光が降り注いで、まっすぐに伸びた道路の先が歪んで見えた。夏休み初日というには暑すぎる今日。
部活帰りだというだけでない疲労を抱えて、ちょっと寄り道をしてコンビニでアイスを買う元気すらなく家まで直帰。大体部活終わって片付けって時に総悟は早々と帰っちまうし、その後すぐに副部長の俺が部長会に出席しなくちゃなんねーのも頷けねえし。(部長の近藤さんが志村追っかけて再起不能ってとこで馬鹿げてる)

考え出したらきりがない。全部山崎に押し付けてやろうかとも思ったが、もうすでに山崎は総悟から防具やらなにやらを押し付けられていたところだった。ったくなんであいつは俺の邪魔ばっかり…!
そういえば今日から一週間、両親が家にいないんだった。旅行とか言ってたっけか。あーもう全部めんどくせえ、腹減った。
…帰ってシャワー浴びてから、弁当でも買いに行くか。

憂鬱な足取りで玄関のドアをあければ、なんともいいにおいがした。あれ、まだ母さんたちは行っていないのだろうか。いやそんなことはない、今朝キャリーケースを引っ張って出て行くところを見たばかりじゃないか。帰宅にしては早すぎるし、じゃあなんで…。


「あ、お帰り十四朗くん。
汗かいたでしょ?お昼はシャワー浴びてからね」
「…名前、さん?」


ほら行った行ったーそう言って風呂場まで俺の背中を押した彼女は、そのまま今日はチャーハンです、なんて笑ってドアを閉めた。
俺はというとそこに呆然と立ち尽くしていて、とりあえず汗でひっつく制服を脱いでシャワーを浴びる。

待てよ、名前さんというのは隣に住んでる女子大生で、昔はよく遊んでもらっていたし、姉弟のように感じていた部分もあった。最近では昔のように遊んだり…というのはないが、お互いの親同士仲良くやっているし、道で会えば挨拶はする。

ってそういうんじゃねえよ、俺が言いたいのはなんでこんなまるで成人向け雑誌にありがちな展開になっているのかってことだ。
帰ったら家には女子大生、みたいな。つーか別に俺そういうの読んでるわけじゃねえけど、銀八に前無理やり読まされただけっつーか、近藤さんに読まされたっつーか。
兎にも角にも、なんだっていうんだ、どうしたんだ。即効でシャワーを終わらせた俺は急いで拭いて、二階の部屋までダッシュでTシャツとジャージを着た。



「早かったね、じゃあご飯にしようか」
「え、あ、はい」




いただきます
あれ、俺なにしてんの…?




:)090707


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